ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《85.誘 導3》

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告げられた言葉にピクリとも動かなくなってしまったロナルドの今の心境は如何ばかりなのだろうか?
あの指輪に掛けられているであろう呪術がどの様なものなのかを私は知らない。
アリシラ様の話では正当な持ち主には害が無いと言う事だから、例えあの指輪に本当に呪術が掛けられていたとしても、正式にアレクから譲り受けた私にはおそらく害は無いのだと思う。
害がある様なものであるならば、アレクが私に贈る筈が無い!
その事は信じられる。
呪術についての詳しい話をアリシラ様が話して下さったお蔭で、幾分私も心に余裕が出て来た。
ロナルドはと言えば、声を掛けて来た時の自信に満ち溢れていたあの威勢の良さは何処に置き忘れてしまったのかと思わせる程、この十分足らずの短い間に急に全く覇気すら感じられなくなっていた。
あれ程までに高飛車で傲慢だった男が、妹一人の世迷い事でこの座間だ。
妹とはそんなにも可愛いものなのだろうか?
兄妹の居ない私には、そこまでの心情的な思いは理解出来ないが、兄妹と言うものの存在が、何だか少しだけ羨ましいと言う思いに駆られた。

そんな事を思っていると、肩を落したロナルドが、ゆっくりと重い口を押し開いた。

「……では、妹の持っていると言う指輪にかけられている呪術とは、そんなに怪しいものなのですか?」

「さあ……。申しましたでしょ。私は異質な何かを感じる事が出来るだけで、それ以上の力がある訳では無いの。ただ、我が屋敷に残る呪術の施された宝石類とは何か違った大きさのようなものを感じるの……。何だか上手く言えないけれど、嫌な感じがするのよ。明らかに何か我が家のものとは呪術の系統が違うような……」

「系統が……違う?」

「こう……何と言うか、指輪から発せられる色とでも言うのかしら? 包まれている何かが違うのよ。上手く言葉にするのは難しいのだけれど……。だから結局の所、こう言うものをきちんと理解するには、過去においての契約時に交わされた文書が残っているかや、正確に伝承者に伝えられているかが重要になるのよ」

言葉を紡ぎながら、アリシラ様は自らが身に着けている首飾りに触れながら小首を傾げていた。
もしかして……。

「あの……、もしかして、その首飾りに……呪術が?」

「あら、マリエッタさんも感じるの?!」

柔らかな笑みを湛えながらサラリとそう言ってのけた。

いやいやいや。感じるも何も意味有り気にそんな話をされて、首飾りに触れられては今までの状況からして、そう聞いて欲しいと言っているようにしか聞こえないんですが……。

「お前も……、何か感じるのか?」

少し身を引いて尋ねて来るロナルドが、更に間抜けズラに見えてきた。
彼の頭の中は既に妹を心配するあまり何も考えられなくなっているのかもしれない。

「何となくよ、何となく」

私の言葉に耳を傾けた後、ロナルドが食い入るようにアリシラ様を見つめ凝視していた。

ロナルドは今、間違いなくアリシラ様の告げられていた力を信じ始めているのだと思う。
それと言うのも、過去において呪術師が力を成した時代、幾人かの術師が他国との諍い事から国を守った褒美にと、爵位が授けられたと言う話は教養ある貴族の者ならば歴史書にも記載されているし知っている筈だ。
貴族と言うものは余程の事が無い限り貴族間での結婚に拘りを持つ。
稀に富を築いた実業家との婚姻も認められる事もあるが、その数は断然少ない。
ならば時の流れの中でそう言う、アリシラ様が仰るような内に力を秘めた者が貴族社会に今なお居たとしても何ら不思議はない。

アリシラ様のその胸元に煌びやかに輝く首飾りに私は目を移すと、この宝石にどの様な呪術が隠されているのか、その時代の流れに少しだけ想いを馳せた。

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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。
売国奴も身内は可愛いようですね。大抵このくらいの悪役は家族すらなんだと思っていることが多いですので、そこはちょっとだけ見直しました。まあ、二人とも報いは受けてもらわないといけませんがね。

さて、売国奴もですが、マリーもどんどん呪術のことを気にし始めているようですね。
呪術の実在の真偽を別として、こういう話が語り継がれていってそして実際、不幸が起きたとしてそれが事故だったとしても呪いとして語られることもあるから呪いというのは言葉が生み出しているのかもしれませんね。

yama様 

今日は。

どんなアクドイ人間でも最初から悪だったりはないと思うんです。
中でも家族、特に兄から見た妹の存在って結構ペタッ可愛がりなイメージが私にはあって、ならばと言う事で今回ロナルドにはこうなって貰いました。

呪術の実在の真偽はもうこうなったらあまり意味をなさないかもと思いつつ、、、。
ですが長年皆が思い込んでいるものもあるし、こういうものは話が大きくなっていく傾向にあるのでそこが狙いだったり^^;

いつもコメント有り難うございます。
 

NoTitle 

ん・・・ああ、そうか。
モノにも呪術がある考えですものね。
深い考えです。
確かにその考えが今の世界にはないかもですね。

LandM様 

今日は。

はい。ここは異世界ですので、人間に拘る必要も無いと思うし、異世界だからこそ取り入れられる要素を何か入れたくて、こういう考えに至りました。
深いですか?有り難うございます^^

いつもコメント有り難うございます。
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