ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《90.解 読2》

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アリシラ様には感謝してもし切れない。
告げられた言葉に唯々納得して頷くばかりで、その凄さに感嘆を禁じ得ない。
けれど、そんな中でひとつだけ……、私の中に疑問が残っていた。

「あの……、アリシラ様。一つお伺いしても?」

「何かしら?」

「グラッセ侯爵から頂いた指輪の件なのですが……、あの指輪は彼のお母様から譲り受けたものとも聞いているのですが、呪術についての詳細を、何か伺ってはいらっしゃらないでしょうか?」

アレクの亡くなったお母様はアリシラ様の姉君だ。何か聞いていても不思議では無いと思っている。

「ああ、あの指輪ね。その事については私も詳しくは知らないのだけれど、おそらく何らかの呪術が施されていても不思議では無いと思っているわ」

今一つ確信を得られない状況に、如何答えて良いのか分らない……。

「そうだったのですか。私はてっきり色々御存知なのだとばかり思っていたものですから……」

ロナルドを散々問い詰めている時に、いつも何か含んだ物言いをしていたものだから、てっきり全て知っているのだとばかり思っていた。

「あんなもの虚実でも何でも言ったもの勝ちよ。それに今回の場合、公的機関からの要請もあったから手段は選ばなかったわ。けれど、あの指輪がおそらく嵌めることによって厄介な事になるのは間違いないと思うわ」

「それは如何いう……?」

確信が無きにせよ、やはり何か重要な事をアリシラ様は御存知だと思った。

「はっきりと姉から呪術がかけられていると聞いた訳では無いのだけれど、幼い頃……、私もあの指輪に魅せられた一人なの」

「それは、分かる気がします」

私が受け取ったアクアローズの指輪は、石の大きさもさることながら細工が一段と素晴らしく純度の高いアクアローズ特有の透明感のある淡い青紫色をしている。通常のものは青色が濃く出ているものが多い。

「あまりに美しい薔薇の細工に心を囚われてしまって、どうしても触れてみたくなってしまったの。貸してほしいと姉にタダを捏ねた事もあったわ。けれど何でも私の願いを聞き届けてくれていた姉が、それだけは危いからと言って断固として許してくれなかったの。結局姉がしぶしぶ許してくれたのは、姉の手に触れながら嵌めている指輪を上から撫ぜるだけだったわ。だから、あの指輪はきっと嵌めることによって何かの呪術が発する仕組みになっていると思うの」

当時の状況から言っても、おそらく何かの術が施されている可能性は凄く高いと思われると言うのがアリシラ様の見解だった。

「確かに……。では、あの指輪に呪術が掛けられていたとして、私が傍に行けば容易に取り返す事が可能だと思いますか?」

アリシラ様の指輪は宿主を求めてその指へ戻って来た。
ならば私の指輪もそれは可能では無いのだろうか?

「さあ……。それは如何かしら? おそらく貴女の指輪に掛けられている呪術と私の指輪に掛けられているものは系統が違うと思うの。束縛の術が掛けられていれば、一定の距離を離れると指に嵌めずとも手元に戻って来るものなのよ。だからそれでは無いと思うわ」

「そうですか……」

「けれど、嵌める事によって術が施される強いものならば、あの時は憶測で断言してしまったけれど、おそらくはやはり他者が指に嵌めることによって何らかの呪術が発っせられるものだと思うのよ」

「ならば、あの指輪をテロネーゼさんが嵌めれば、或いは何かが変わる?」

「はっきりとは断言できないけれど、そうね。おそらく嵌める事に耐え切れない状況にはなるのではないかしら?」

「嵌める事に……絶え切れない状況?」

「呪術には色々なタイプがあるようだけれど、指輪で良く耳にする呪術は、束縛、苦痛、幻聴よ。束縛の呪文は容易に嵌める事はままならないけれど、他のものは嵌めることによって術がかかるのよ」

「では、術に耐え切れなくなったら自ら手放す事も?」

「それは如何かしら? 術が発せられると自ら抜く事は困難だと言われているから……」

「では他の者なら抜く事が出来るのですか?」

「それは分らないわ。けれど、呪術は宿主に執着する傾向にあるから、呪術師か或いは宿主ならば……」

「では、あの指輪に本当に呪術がかけられてあったなら……、私ならば、取り返せる?」

「かもしれないわね」

話を耳にして、私は瞬時にある事を決意した!

「私、行きます!」

「えっ?」

「何としても行って、指輪をテロネーゼに嵌めさせて、テロネーゼが耐え切れなくなって指輪を手放すように仕向けます!」

「……マリエッタさん、あなた……」

何かを言いかけて、アリシラ様は急に話を止めて口ごもる。
けれどその後で柔らかな笑みを零した。

「いいわ。行きましょう。こちらよ」

「はい!」

私はアリシラ様に導かれるまま、その後ろにピタリと離れずその後を追った。

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~ Comment ~

NoTitle 

お、呪いっぽいですね。
確かに一般的にゲームでも出でくる呪いは束縛だったり幻聴ですもんね。そういえば、私の作品は呪いの要素がないんだよな。。。まあその辺はアイディアですね。
ありがとうございます。
(*^^)v

NoTitle 

更新、お疲れ様です。

ふむ、アリシラさんもあの指輪の呪いがどんな効果かわからないと。
とはいえ、それに加えてハッタリをつけさせ信じさせたもの勝ちですから、彼女の起点はさすがだと思います。

そしてマリー、さりげなくえげつないことを(笑)
たしかに、あの女が呪いにかかってもどうでもいいのですが、どういう呪いかわからない以上、嵌めたら想像以上の大変な出来事になりましたってことにもなるかもしれませんね。

とはいえ、それくらいの意気込みで何とかしようとするマリーに感心しました。
時間稼ぎは済んだことですし、あとは自分でできることをやっていくだけですね。

LandM様 

今日は。

ゲームの世界でもこんな感じに出て来るんですか?
私は漠然と頭の中で考えていた事が系統的に呪の類かな?的な漠然とした考えでした。
そういえばLandMさんの作品には有りそうでないかもですね。
こういう作品も何れ読んでみたいですね^^

いつもコメント有り難うございます。

yama様 

今日は。

これ書く時にアリシラ様に頭の中の尋ねたら、こういう答えが帰って来ました(笑)
彼女は考えなくても勝手に動いてくれるのでホントに助かります。

マリーにも少しずつ成長して貰わなければならないし、ちょっと過激発言でしたが、この先の事はもう頭の中にあるので、彼女の意気込みは認めてあげようと思っています。
とりあえず自ら行動しようとすることが今マリーを成長させることだと思っているので。
結果はどうなるのか?
温かく引き続き見守って頂ければ幸いです。

いつもコメント有り難うございます。

 

なんかマリーさんが自分からアクションを起こすと事態がより悪化するような気が。(^_^;)

それでも応援するぞ! 宰相の立派な妻になる日まで、がんばれマリーさん! 負けるなマリーさん! アレクの心は、あなたのものだっ!(^_^)/

ポール・ブリッツ様 

今日は。

マリー、今までが今までですからそう言う先入観は仕方ないですね^^;
さあ、どうなるのか?
少しずつ成長しているようなので、頑張ってくれることを祈るばかりです。
その声援がマリーに届きますように(笑)

いつもコメント有り難うございます。
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