ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《94.嘘 動4》(アレク視点)

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こちらの予測よりも些か訪れは遅かったように思えるが、とりあえずこの場に出向いてくれたこの者には感謝しておこう。
この者が来なければ、全ての計画がふいになる所だったのだから。

さて、こうなれば如何するか? 全てはこの者の出方次第だ!
リレントと二人で顔を見合わせ、冷ややかな視線を落し目の前に憮然と立ち塞がるその者を見つめ身構えた。

「何やら私の知らない所でこそこそとしていると思えば、花嫁探しですって? とんだ茶番ね。どういう事!?」

「何の話だ?」

いきなり我が物顔で突き付けられた現実に、おそらく一筋縄ではいかない事を示唆した。

「あら、惚ける気? いい度胸ね。私、全て聞いて知っているのよ! 花嫁を選定する為にダンスの相手ですって? 何て馬鹿馬鹿しい!!」

これだけ多くの令嬢等の集うこの場で、そのような強気な発言は如何なものかと思いつつ様子を伺っていれば案の定、目くじらを立てる輩が出て来た。

「馬鹿馬鹿しいですって!? 黙って聞いていれば、貴女何様のつもりよ!」

「そうよ! そうよ!!」

我等に話が向けられていると思っていた発言は、どうやら令嬢等にとって聞き捨て出来るものではなかったものらしく、周囲により強い反感を抱かれてしまったようだった。
このままでは直ぐに収拾がつくのは難しそうだ。
状況は非常に不味いと思う。然もすれば……。

「私はこう言う者よ!」

懸念していると、有ろうことか想像を遥かに超える行動に出られてしまった!

「……何?! 指……輪……?」

思わず額に手を当てた……。
その者は、懐からは見覚えのある薔薇の彫刻を施されたアクアローズの指輪を取り出したのだ!
それは正しくマリーが失くしたと言っていた、我が家に伝わるあの指輪だった。

「綺麗……。何て素敵なの!」

「これ……、貴女の指輪なの?」

指輪の出所の知らぬ者等が、輝きに吊られて吸い寄せられるようにちらほらと辺りに集まって来る。
だがその一方で数名の……、いつもこの者と共に姿を良く見かけていた令嬢等が指輪を見るなり急に眉間にシワを寄せる姿がそこにあった。

「酷いわ、テロネーゼ! 私達を騙したの!?」

「そうよ! そうよ!!」

どうやらかなり怒り心頭の様だ。

「ふっ、言葉は考えて口にした方が良いのではなくて? 貴女方、それを言える立場なの?」

「なッ!!……」

ふてぶてしいまでの人を小馬鹿にしたような抜けるような笑い。
この者等で無くても、見ているだけで腸が煮えたぎりそうになる!

「『指輪を探し出した者への望みは思いのまま』と言う話しを聞いて来たと騒いでいたのは何方だったかしら? それを私のせいにする気なの!?」

「それはッ、私だけど……。でも絶対、可笑しいわよ! あなた何か絶対にッ」

「今この指輪を手にしているのは私、それが全てよ!!」

「くッ……」

どうやら最悪の展開の話の流れの中で、マリーの事が一言も語られて居ない事に安堵した。
今ここで、マリーの存在が公に明かされるのは非常に不味い事になる。
とりあえずテロネーゼは無事もう一方の策を鵜呑みにしてくれている様だ。ならば、このまま穏便に事を運べさえすれば、それは上手い方向へと転がる可能性を秘めていると言う事になる。
そう思い、リレントと顔を見合わせ互いに身を引き締めていると……。

「ふっふふっ。ねえ、探している指輪は持って来たわ。望は約束道理叶えてくれるんでしょ?」

急にこちらへ目を向け不敵に微笑むテロネーゼの微笑に、思わず背筋に汗が流れ落ちるのを感じた。

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NoTitle 

更新、お疲れ様です。


やっぱり、投げたふりをして持っててましたか、この女。
望みを叶えると言ってはいますが、彼女、完全に策にはまっているようですね。
今は勢いでアレク達を押してるようですが、冷静になっていれば、何とかなるでしょう。

というか、この女、マリーやアレクが何もしなくても勝手に指輪をはめて勝手に呪いを受けて、「この女は本来の持ち主ではなく盗人だ」扱いされ勝手に自滅してしまいそうなほどのアホさですね。

アレクの作戦がうまくいくのか、高いですがとりあえずイレギュラーが起きても冷静さを持っててほしいですね。

yama様 

今日は。

はい。やっぱり持ってました(笑)
望みを叶えると言う情報をそのままテロネーゼは信じているようですがね。さあどうなりますかね?
とにかく今の所彼女は既に策にハマっている状況ではあるので、これからはアレク達の手腕の問題ですね。
一応地位的名しか出て来ていないあの方もこれから出て来る予定なので(誰でしょう?)またそこもお楽しみ頂ければと思っています。

あっ、既に読みに入ってる鋭いご意見が!!(爆)
でも、まだとりあえずここはノーコメントで(笑)
ただ、ここでやられたら話がもっと長くなるので、それは避けたいと思ってます。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

ま、貴族の世界なんて茶番だらけなような。
(´_ゝ`)

茶番は嫌いでないので付き合うのが大人の嗜みです。

LandM様 

今日は。

暫く茶番的展開が続きますが、話は進展して行く予定なのでもうしばらく楽しんで頂ければと思います。

おお、大人の余裕ですね。心強いです。

いつもコメント有り難うございます。
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