ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《95.嘘 動5》(アレク視点)

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全ての状況から示唆すれば、やはりあの指輪はテロネーゼが自ら隠し持っていたと言う事が正しいだろう。
共に居た令嬢等は何か変だとは思い疑念を抱いているようだが、その状況については理解出来ていない様に思われる。
マリーですら気づいていなかったのだから、もしこの令嬢等が何も気付けず我等の流した情報を真摯に受け止め、更にはテロネーゼが利己主義に囚われ単独的な行動に走ってくれればこれ程理想的な展開は無いと思っていたのだが、有難い事に現時点ではそれも順調な展開を見せているように思われる。
ならば更に今ここで、テロネーゼと一触即発ぎみの令嬢等をこちら側につけることが出来れば、この先これ程有利な展開は有り得ないだろう。
この令嬢等にしても、マリーを蔑にした奴等には変わりない。正直な所、テロネーゼ同様出来れば関わりたくはないと思っている。
だが、今後理想的な展開を望むのならば、ここは己の個人的な感情は捨てて彼女等に取り入る事も一考の余地はあるのでは無いだろうか?
色々な可能性を頭の中に巡らせながらリレントに目を向ければ、私が彼女等を目で追いながら考えていた事に気付いていたのだろう。彼もゆっくりと頷き、その懐に手を当てた。どうやら彼も同じ考えに辿り着いた様だ。
もう迷う事は無い。腹をくくった!

「指輪を探していると言う事は事実だ。だが『指輪を探し出した者への望みは思いのまま』と言うのは些か私が公言にした内容とは異なるのだがな」

「今更何言っているのよ! そんな話が通用する訳無いでしょ。私以外にも聞いている方々は沢山いるのよ! それを名のあるグラッセ家の当主が、今更覆すなんて許される筈が無いでしょう!!」

こう言えば、おそらく突っかかって来るだろうとは思ってはいたが、どうやら怒り心頭のようだ。
実を言えば、そう話を流したのはこちらの手の者なのだ。
あえてテロネーゼ等がこの話に食いつくように偽の情報を流した。
これは我等だけの策では無く、先に出向いた警務部で、たまたま出くわした我が親友にして警務騎士団統帥長パウウェル直属の士官の一人にこの状況を相談し、急遽このような措置を取ったのだ。
こう言う話と言うものは元々正確に伝わっていくものでは無い。ならばその風潮を利用してテロネーゼが飛びつきそうな話を先に彼女等の耳に入れるように仕向けるのが一番有効ではないかと言う話しになったのだ。
話しが違うと言われても、正式に公布したものでは無いのだからどの様にでも言い逃れは出来ると言うのが警務部の判断だ。
それにこちらには正式に記した書類もある。
幾らでもテロネーゼの話は覆す事が可能な筈だ!

「リレント、例の書類を」

「はい、旦那様。テロネーゼ様、こちらをご覧ください」

そう告げるとリレントは懐から1枚の書類を取り出した。

「こちらは先程内々に旦那様が警務部本部に指輪の紛失に関する届けを提出致しました時の書類の写しでございます。先程旦那様も仰っておりましたが、こちらで正式に謝礼として記録されておりますのは『指輪を探し出した者へはその価値に相当する報酬を支払う』とされております。ですから今テロネーゼ様が手にされておりますその指輪が本物であれば、グラッセ家と致しましてはその価値に見あう報酬をお支払する用意がございます」

「馬鹿にしないで、私が本物かどうかの見分けもつかないと思っているの!? 信じられないわ!」

「そう目くじらを立てるな。我が家の家宝とする指輪が紛失したのだ。事は慎重にもなる。故に捜査を依頼するのは当然の事だ」

「仰々しいったら有りはしないわ! けれど、もう見つかったのだから捜査は必要ないでしょ。即刻届を取り消して頂戴! それから指輪は間違いなく本物よ。それに見あう報酬は私が決めて私が頂くわ! この指輪無いと困るのでしょ?」

何だ? 人を脅す気なのか? 何処までふてぶてしいのだ!?
後ろめたさがあるならば、届を出したと聞いた時点で狼狽えるかと思っていたが、中々如何して届を下げろと言い出すとは……。見上げた根性だ。
だが、それは無理な相談だ。

「それもそうなのですが、実はこの件に関しましては現在紛失物としてだけではなく、盗難との双方での捜索をして頂いているので……」

「馬鹿馬鹿しい!」

「何でも話によれば数名の令嬢等と揉み合われている場を目撃されたとの情報もあったとの報告を受けております。今そちらの方を警務部で詳しい調査がなされてある最中です。じきに詳しい状況が上がって来る事でしょうが、それまでは私共が一存で動けないのです。既にこの件は警務部に託されているものですから」

「話にならないわ!」

強気なテロネーゼに反して他の共犯と思える令嬢等はかなり狼狽しているように見受けられる。

「そんな……」

「わっ、私……、そんな事になるなんて……。一体如何すれば……」

警務部に話しが委ねられていると聞けば、並みの神経の令嬢ならば、こうなるのが普通だと思う。

「何弱気になっているのよ。しっかりなさい!!」

仲間の……、いや、仲間だった令嬢等の弱気な発言に、必死になって喝を入れようとするテロネーゼだが、どうやらその言葉は彼女等の耳には届いていない様だった。
それ所か涙目だ。
その姿に何処かホッとして胸を撫ぜ下ろした。

『これはイケる!』

この時そう確信した。

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~ Comment ~

NoTitle 

こんばんわ~
楽しい展開になっている現在、ちょっとテロネーゼさんガンバ、とか思ってしまいました(*'-')
愛ゆえ、なのでしょうけど、意地と根性が際立っていて、どのくらい対決できるのか楽しみですw 目が離せません(^ω^) 更新お疲れ様です!

ユズキ様 

今日は^^

何かこういう場面は書く時は一気に書けないと纏まり付かなくなるので大変なんですが(中々纏まった時間が取れないので^^;)、それでも結構楽しいです♪
おお!まさかのテロネーゼ嬢への応援メッセージが!(笑)
何か油断すると、テロネーゼが優しくなっちゃうので気を引きつめて、これからも彼女には自らの役所に引き続き徹して貰いたいと思ってます。(結構重要な役所ですし)
さあ、どの位対抗できますかね? 私も書いてみないと分からない(笑)
でも、何とか頑張って貰いましょう!

コメント有り難うございました。

NoTitle 

・・・・。
・・・・・。

・・・・・・・。

真偽か。。。。

世の中真偽があるものの方が少ないような気がしますがね。
私は偽物でも美しければ好きですからね。

LandM様 

今日は。

……真偽……ですね。はい(笑)
美しいのか?美しく書けるのか?(笑)出来る範囲で頑張ります♪

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