ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《100.嘘 動10》(アレク視点)

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この兄妹が痣となるかもしれない一言を口にしたのは、それから間もなくの事だった。
どうしても指輪を手放そうとしないテロネーゼにロナルドがついに痺れを切らしたのだ。

「では、とにかく今は私が預かる。それなら良いだろう? 絶対にお前に悪いようにはしない。約束するから」

「そんな事言って、お兄様の言う事なんてもう信用できないわ!」

「テロネーゼッ!」

「だって、そうでしょ!? この侯爵様との縁談話だって『話はついた。じきに会わせてやる』と言っていたのに、いくら待っても結局全然場すら設けてもくれなかったじゃない! 私、ずっと待っていたにッ。……それなのに、あんな小娘が事も有ろうかグラッセ家の指輪をこっそり手にしていて……、ありえないわ! お兄様は手ぬるいのよ! お兄さまがそんなだからあの女がつけ上がって私がこんな目に遭わされなくちゃならなくなったのよ!!」

「テロネーゼッ!! だからあれは有力な仲介者が現れたから今話を進めて貰っている最中たとあれ程ッ……」

何かを口にしかけて、ロナルドはハッとし我に返った様に一瞬言葉を噤んだ。
有力な仲介者?! 何だ? それは……。誰だ?! そいつは……。

「あぁ、もう頼むから……。本当にもう少し大人しく私に任せておいてくれれば悪いようにはならなかったものを……。こう言う事は勝手に動かれては困るものなんだ。それを……」

小声で『お蔭で私の面子は丸つぶれだ』とか『先方の機嫌を損ねれば、纏まる話も纏まらなくなってしまう』等と言う声が微かにぶつぶつと聞こえて来ている様に思われるが……。

(……。何を言っているんだ?! コイツ等は……)

思わず額に手を当て、頭を抱え込んでしまった……。
私との、縁談話?!
有力な仲介者と言うのは何なんだ?
何だか胡散臭いな……。もしかして、奴の背後に誰か大物が……、こちら側に誰かが居ると言う事か?!
縁談話が数多くあったと言う事は、実はまだマリーには話していなかった。
別に隠していた訳でも無い。全てその場で断わっては来た。だが、一部の方々にだけは蔑にする事も出来ず、顔を立てる意味で茶会に出席する程度の協力はした事位はある。でも、その先へ進む話しは全て断って来たし、それなのに、こんな女と!? 先ず、有り得ない!
天地がひっくり返ろうとも、この世に女がこの者意外いなくなろうともッ!!
……思わず全身に力が入り、歯噛みし、固く握りしめた拳の震えを押さえるのに苦労した。

「もう良いわ。私、お兄様の事なんてアテにしない事にしたから」

「えっ?!」

「この指輪さえ手に入れば、全ては私のものになんだから。グラッセ侯爵もそんなに大切な指輪ならきっと私を受け入れて下さるに違いないわ。だから、もうお兄様の手はいらないわ!」

この女の反応は、既に私の想像を遥かに超えている……。
自己陶酔し、満足げに指輪を見つめるテロネーゼの姿に自分が不安の中で抱いた最悪の展開を垣間見た気がした。

「テロネーゼ、良いか? 話をよぉーく聞いてくれ。もう一度言うぞ」

「だから、そんな話はもう良いんだってば! 必要ないの。既にこの指輪は私の手の中にあるんだから。ふふっ」

「…………」

……奴が、言葉を無くす意味は理解出来る。
勿論、私の場合はこの目の前の男とは別の意味なのだが……。
しかし、こう言う馬鹿な女がある意味一番始末が悪いと思う一方で、ここで得られた情報は、ある意味凄い収獲になるかもしれないとにわかに心が揺さぶられた。
ともすれば、私にここ数か月の間に縁談話を持って来た誰かが裏でこの男と連んでいる可能性が出て来たのだから。
それはこの国内で彼以外にも誰か……、裏でもっと大物が後ろについている可能性を示唆させた。
これが事実ならば、確かに今まで奴の尻尾を中々掴めなかった理由も自ずと理解出来る。
大体、こうも調べを進めているにもかかわらず、未だロナルドの詳しい情報を捕らえられなかった事事態可笑しな話だったのだ。
誰だ? 絶対奴の後ろに居る! それは、誰なのだ?!

「何をしているんだ!!」

急に思考を遮る怒号を浴びせるような男の声に、考え込み煮えたぎりかけていた頭がの中が瞬時に呼びさまされた。
顔を上げてみれば、そこには兄の止める声より早く、有ろう事かテロネーゼが既にあの指輪を満足げに指に嵌めてしまっている姿が目の前に飛び込んで来た!

……ああ、不味い事になった。
またこれできっと一騒ぎになる! と思っていのたが……。

「ほら、見て。私に誂えた様にピッタリなの。ふっ、ふふっ」

……上機嫌のテロネーゼの表情を目にする以外、何も起こる様子も無く……。

(?? これは、如何いう事なのだ?! 確か、私が伝え聞いた話によれば……)

困惑し、リレントと二人で顔を見合せていると、そこに懐かしい声が聞こえて来た。

「あら、もう終わっちゃったの?! 残念だわぁ。子猫ちゃんの力量を是非、拝んでみたかったのにぃ……」

ゆったりと構えた呑気そうな凛とした声に、そして……。

「ふぅーっ。アリシラ様、歩くの早いんですもの……。はぁーっ。私、追いかけるのがやっとでした……」

息を切らせて弾む可愛い声。ああッ!

「マリー……」

そこには叔母であるベアレーゼ侯爵夫人と、愛してやまぬマリエッタの美しい姿があった。

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ついに、この作品も100話突破しちゃいました。
それも、Xmasに♪(ある意味凄い!?)
年内に終わる予定でしたが、どう考えても無理そうです^^;
でも、先は見えてきているので、もうそれほど長くはならないと思います。

それと、今までXmasと言えば何かとイベント方式で、色々特別投稿して来ましたが、今回それは無理そうです。
一つ話は頭の中に今日降りて来たんですが(出勤途中、信号停止中の車の中で急に降りて来ました)、とりあえず職場の駐車場でメモだけ取って、全然まだプロットとしてまとめる時間も無いので放置ですが、近日中にプロットだけは仕上げて、いつかまた書けると良いな。(書きたい話ばかり溜って、1本が長いので中々書けない私です^^;)

とりあえず、今回100話にして、Xmas&ヒロイン再登場も果たせ、自分的には何となく満足です。(別に狙っていた訳では無く全て偶然です)
今回も長い連載になりましたが、今までお付き合い頂き、有り難うございました。
今後とも宜しくお付き合い頂ければ幸いです。
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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。

そして100話到達、おめでとうございます。
このお話が、始まったのが、3月の初め、
マリーとアレクが結ばれたのが7月末だとすると、
ずいぶん長い間連載されてるなあと改めて思いました。
もう一度、二人が肌を重ね愛し合うのはいつごろになるのかなあと思いながらも来年もまたお話を楽しませていただきます。

それにしてもそんな大事なことを口に滑らせてしまうのはちょっと迂闊ですね。
おかげで、バックに誰かがいるのかが(まあこれくらいの売国行為を一家だけでできるわけはなかったのでしょうが)わかることだけでも大きな情報を得られたようですね。

そしてアホな女はあっさり指輪をはめてしまいましたが、何も起きない様子。
その指輪には何か発動のための条件が他にあるのか、それとも何かのエネルギー不足なのか。

アリシラさんは何かまだ知ってそうな雰囲気ですが、マリーが現れた所で状況がまた変わりそうですね。
マリーがこういう面での挽回に何をするのか楽しみです。

yama様 

今日は。

有り難うございます^^
本当に、1年まではならずに終われたらとは思ってますが、掘り下げて書くとどうしても長くなるので、ここまで来たらもうある程度分かって頂けると思うので、カットできる部分はカットして進めようかとも思っていたりします。
この迂闊発言も実は迷ったんですよね。
最初テロネーゼに設定したらもう話が終わっちゃう暴露話になるし、調べさせると掴むのに更に時間を要するので、ヒントだけ投下でこういう形に結局しちゃいました。(やっぱり春までには終わらせたいし^^;)
バックについているとしたら誰が色々思いを巡らせるのも楽しいかもしれませんね。(私の頭の中には既に勿論あります)

やっぱりテロネーゼの性格から行くと嵌めちゃいますねぇ(笑)
発動の為の条件か、如何かはマリーと、アリシラ様も登場してので数話中に明かされますのでそれまで楽しみにしていてくださいね。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

100話突破おめでとうございます(^ω^)
わたしはまだそこまでの境地に立ったこともないので、涼音さんの頑張りに拍手ですw
最後まで続き楽しみにしているので、頑張ってください!

テロネーゼさん、よくぞ100話まで指輪をはめずに頑張ってきた!(笑)
ある意味テロネーゼさんが一番忍耐強かった気が猛烈にするんですよねw
役に立たないお取り巻き、頑固なアレクさん、突如乱入してきたお兄様等等、妨害工作がめいっぱい張り巡らせられてきた中、辛抱強く指輪をはめずにしっかり握っていたし(笑)
アレクさんたちちょっとのんきに構えすぎw

ついにアリシラさんとマリーさん乱入で、場がいっそう盛り上がってまいりました! てところで次回ですね><!
次回楽しみにしていますw

ユズキ様 

今日は。

有り難うございます。
実は最初の設定上ではこの半分くらいで終わる予定だったんですが、カットしていたエピソードを再び入れ込んじゃったら、凄く大変な事になってしまって、またまた100話超えちゃいました^^;
私の場合ユズキさんより1話の文字数は随分少ないですが、何かコツコツと頑張って来た結果なのでそれなりに嬉しいです^^
何かこの作品は完全に仕事を始めてから書き始めたので、それまでの作品とは比べものにならない位自分的には書くことに苦労してしまいました^^;
それでも、書いていられるのは、やはり自分が書くことが好きだからと言う事と、何より読んで頂けてこうやって拍手やコメントを残して頂けることも本当に励みになっています。
本当に有り難いです。

さてさて、テロネーゼさん嵌めちゃいましたね^^;うん、彼女も頑張った♪
実はここ、書き直したんですよね。最初、皆を巻き込んでもっと早くに嵌めちゃう設定にしてたんですが、簡単にそこまで持って来てしまったら読みやすいかもしれませんが話が単調になりそうな気がして、テロネーゼには少し引っ掻き回してもらいました(笑)
でも、彼女の頑張りもそろそろここまでかな? やっとマリーも合流したので♪(次よりマリー視点に戻ります)

引き続き、楽しんで読んで頂ければ幸いです。
いつもコメント有り難うございます^^

NoTitle 

お、100話ですね。
おめでとうございます。
\(-o-)/

私も100話まで読み続けたのかあ。。。
と感慨深いものがある。。。
これからもよろしくお願いします。

LandM様 

今日は。

有り難うございます^^
何かいつも私の書く話は長くて。それなのにずっと読んで頂けて有り難いです。
コレが終わってもおそらくメインはまた長い話になりそうですが、こちらこそ、これからも宜しくお願い致します。

いつもコメント有り難うございます。
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