ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《105.真 実4》

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アレクシスの放った最後の一言は余程の効果があったようで、ロナルドから言葉を奪ってしまった。
ロナルドに限らず、心の内を読まれる等私でも抵抗がある。
だが、アレクシスの投げかけた言葉が言葉だっただけに、ロナルドが何も語らずとも言葉は勝手に独り歩きして、周囲には更なる噂話が飛び交い始めていた。
過去における呪術者の話で盛り上がっている者もいれば、私達の事を面白おかしく噂して略奪愛だの何だのと言い出す者、更にはアレクシスの焚き付けた一言で、何かロナルドが良からぬ事を隠し立てしているのではないかと推測し噂する者まで現れて、その声が大きくなって行くにつれて私はある事が心配になって来てしまった。
このまま更に噂が独り歩きして大きくなれば、今度は苦渋を強いられたロナルドが、また何か余計な事を言い出すのではないかと、流石に心配になって来た。
もし、これ以上私達の事を詮索するような言葉が彼の口から漏れれば、流石に収拾がつかなくなるのは必然だ。
ここは何としても現状維持を保ち、こちらの被害を最小限にとどめることが先決だと、私は勇気を振り絞り、声を掛けてみた。

「……あの……。私、これでもグラッセ侯爵よりも貴方がどんな方かは知っているつもりです。だから……、別に……」

「……施しのつもりか?」

「いえ、あの……べっ別にそんなつもりはッ それにこう言う事は、人から強制されて言うものでも無いと思っていますし、心にもなく謝られてもただ虚しいだけと言うか何と言うか……」

「今度は憐れみか……。無様だな」

如何してこの人は、物事をこう言う捉え方しか出来ないのだろうか?

「とっ、とにかく、貴方がどの様な行動を取る取らぬに関係なく……、謝罪云々に関係なく、私に出来る事があれば協力しますので……」

告げた途端、私の動向をずっと見守り続けてくれていたアレクシスの、ため息交じりの声が聞こえて来た。

「そんなにお人好しすぎては、社交界で良いカモにされるだけだぞ。だからこっちも目が離せなくなってしまうんだ……」

苦笑いを浮かべ、私の頭に片手を置くとクシャクシャっと少し粗っぽく撫ぜるアレクシス。
優しい眼差しでじっと見つめられ、思わずうっとりして見つめ返してしまったのだが、直ぐにそれが不味かった事に気が付いた。
懸念しているであろうロナルドに慌てて視線を移すと、如何いう訳か私達の絡み合う視線の理由を問いただすでもなく、詮索するような言葉一つ叩きつけて来ない。
ただ酷く仏頂な面構えをしてはいたが……。

流れる重苦しい空気の中で無表情を決めこんでいたロナルドが、やがて小さな声で突然呟いた。
少し他所向き加減ではあったが、その様子に私は呆気に取られてしまった。

「……妹が……、悪かったな」

「えっ?」

一瞬、我が耳を疑った。

「ッ! 余計なこと……しな……でッ!」

「テロネーゼ!!」

「テロネーゼさん!」

「ッ…………!」

顔を歪め、額から滲み出る汗で、相当な痛みである事が推測できる。

「この期に及んでも、自らの非は改めないとはな……。兄妹揃って強情な奴らだな」

「如何とでも言え」

「ふっ。愚かな奴だ」

苦笑いを浮かべ吐き捨てるようにそう告げた後、アレクシスはもうそれ以上挑発的な言葉を投げかけるような事はしなかった。

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NoTitle 

更新、お疲れ様です。


「つべこべつべこべと、何故ごめんなさいと言えんのだ」
こんな台詞を思い出しました(笑)

それにしてもマリー、く、苦しい…そしてやっぱりこの子こういうのには向いてねえって思いました。
そこで売国奴とその妹にばっと拒絶しないといつまでものさばるんだよって。
普段、アレクに対してはすれ違いの時を除いて堂々と言えるものを言ってしまえばいいのですけどねえ。

売国奴兄妹は強情さだけはありますね。クソ女もその度胸を良い方面で使えば良かったものを。

アレクも呆れ果てたようですが次はどんな風に追い込むのかな?

yama様 

今日は。

ホントにそうですね(笑)

マリー苦しいですね。
マリーにとってロナルドはやっぱり怖い人なんですよね。だから直接的な関わりとなると、どうしても構えすぎてこうなってしまいます^^;
きっと何かをきっかけに吹っ切れる時もくるのでしょうが(苦笑)

本当にこの兄妹は頑固ですよね。
恋は盲目と言いますが、独りよがりの想いをぶつけられても困りますよね^^;
次は、追い込むと言うよりもマリーの頑張らないといけない場面ですね(笑)

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

素直に謝るよりも言い訳をする。
防衛本能ですかね。
自分に対する。。。と思う一節。

LandM様 

今日は。

そうですね。中々素直に謝る事って難しいですよね。
特にロナルドのような性格の人だと。
防衛本能……確かに。それもまた一理ですね。

いつもコメント有り難うございます。
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