ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《108.真 実7》(アレク視点)

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人は自分を嫌悪している者に対して、ここまで懸命に優しく接する事が出来るものなのだろうか?
マリーの献身的格闘ぶりを見ていると、ある意味凄いと思わずにはいられない。私には到底真似できない。
少し天然的な所があるからなのだろうか?
アイツはその部分に苛立ちを覚えている様にも感じられるが、そこがまたマリーの可愛所だったりするのだ。

「ねっ。お願いだから、少しだけッ。ねっ」

(私だったらあんな風に可愛く『ねっ』等と正面切って告げられたら、思わず抱きしめて口づけられずにはいられないな……)

等と不埒な事を考えてしまったのが、あの女には聞こえていたのだろうか?
まさかな……。

「そうやって……、どうせッ……白薔薇ッ、の君にも……、媚び売ってッ、アアッ‼」

痛みで顔を歪めつつも、嫌味の一つも言ってのけるとは、良い根性だ。

「テロネーゼ、もう喋るな‼」

「……ぬっ、抜かずにッ……、何とかしなさ……よッ……。貴女が嵌めてッ」

「テロネーゼ、止せッ!!」

慌てて奴が妹の口に手を当てた。

(……今のは……、空耳では無いよな?!)

確証が欲しくて思わず叔母上に目を向ければ、微笑み返された。

「馬鹿だわね。所有者が誰だったか自供しちゃったわ」

王宮に入り、マリエッタは直ぐに控えの間の前まで送られている。
そこで叔母上以外に会ったのは、あの女たちの集団のみだったと言う。
勿論大勢の者達とすれ違い程度の接触はあっているだろうがで、その程度では指輪が見える事は無い筈だ。
マリエッタの今着ているドレスの袖口には、ふんだんにレースがあしらわれており腕を降ろした状態では指先しか見えない。
と言う事は手を取られるか、マリエッタ自身が腕を上げる行為を行わない限り指輪を嵌めているかどうかの有無も分らないと言う事だ。
あの女がどれだけ苦しい言い逃れをしようとも、この状況ではまず指輪略取参考人として事情を聞ける状況にある事は間違いない。
まさか、ここでこのような状況になるとは思いもしなかったが、これで風向きが少し変わってくるかもしれないと期待せずにはいられない。
勿論、今焦って事を急ぐ必要も無いのだが……。周囲で警戒し目を光らせている者達も居る事だし。

だが、マリエッタはその事におそらく気付いていない。
女の罵声を率直に受け止め、唯々懸命に対応しようとしている。
何処まで素直すぎる性格なのか。

「わかりました。ではとりあえず、唱えるだけ、唱えてみますけど……、駄目だったら引き抜きますからね。良いですね」

「めいれい……、しな……でッ」

「…………。では、始めます」

マリエッタは瞳を閉じて、大きく深呼吸を一つすると、目を見開き真剣な眼差しで女のしている指輪に注目した。

「ゆっ、指輪さん……、如何かテロネーゼさんを痛みから……」

マリーが緊張で声を震わせながら言葉をかけ始めると途端、如何した事か、みるみる内に女の表情が苦痛に満ちて来た。

「ぅう…………ッ」

「てっ、テロネーゼさん?!」

「ああぁぁぁーッ!!!」

どういう事なのだろうか?
共鳴する所か、まるで反作用でも起こしたのか、女は酷く呻きはじめた。

痛みに暴れ、のた打ち回っている。
鈍い微かな音がしたようなしないような?
うっ血していた指はみるみる腫れて膨らんでいき、これはきっと……。

何かが間違っていたのだと、そう感じた。

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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。

おーい、アレクさん?いくらなんでも恋人フィルターかけすぎだよ?
確かにマリーはお人よしにすぎるところがあるし良い子だとは思うけどいくらなんでもこんな時に心の中で惚気ってる場合じゃないでしょうが(笑)

マリーの台詞、この女から見れば確かに媚を売ってるとしか思えないんでしょうねえ、しかしいい加減見苦しいし、この女がいうことじゃないですけどね。

しかしとうとう自供に近いことをしゃべってしまいましたね。
あなたが嵌めてたものでしょうというつもりだったのでしょうが、アリシラさん、もしかしてこういう台詞が出るのを待っていたのかな?

第三者から見れば、何やってんだこいつら?から一気に疑いがこの兄妹に向かうことでしょうね、とはいっても私から見ても今コメディな状況にしか見えないんですけどね(笑)

しかし、マリーが指輪になにか問いかけようとした途端に、さらにこの女が苦しみ始める、まあ同情の余地はないですけど、いったいどういうことなのか、指輪の呪いのしかけはどういうものなのか気になりますね。

yama様 

今日は。

アレク、マリーとの一夜からずっと会えていない状況で、やっと会えたらコレなので、もう鬱憤溜りまくりです(笑)
多少?心の中の惚気は致し方ないかなと私は生暖かい目で苦笑いを浮かべて眺めています。

テロネーゼからしてみればマリーって邪魔者でしかありえない存在なので、そう見えるんでしょうね^^;

はい。ついに自供まがいの事喋っちゃいました!
おっ、流石鋭い! こういう事喋ってくれないかとずっと実は期待してましたが、アレクは策を講じた時は喋ってくれなかったので、もう半ば諦めていた所もあったので、まさかでした。
アリシラ様はまだまだイケると踏んでた感ありです。
そして、そうなった時に周囲の動向が何処に向かうのかも勿論計算済みです。
そろそろコメディぎみが終焉を迎えるかな?(笑)

マリーの指輪の反応については、次回明かされますので楽しみにして頂ければ幸いです。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

あらあら、というような指輪の謎が! こんばんわ(*´∀`*)
次回には明らかになるんですねw 楽しみ!

テロネーゼさんのこのど根性、きっと新しい恋でおなじエネルギーをもってすればいい相手に出会えるよ。うん。
熱く燃え上がっている恋人同士の間に割り込むことって、エネルギー以上に難しいもんだなあ、て、アレクさんの胸中を読んでいると思いました(笑) だって自分を恋い慕うあまり大暴走している相手すら、マリーさんを虐めている者なら容赦なしですもの。
マリーさんを深く愛するがゆえ、なんだろうけど、客観的立場で読んでいくと、さみしいなあ、とも思ってしまいましたw

今は指輪に集中しているマリーさん、どうするのか楽しみにしてますね♪

ユズキ様 

今日は。

ちょっと今回謎引きずっちゃいましたが、次回はある方が納得いく感じに解明して下さる予定なので(笑)

テロネーゼもホント、何かきっかけがあれば諦められるのでしょうが、今の彼女にはちょっと難しそうですね^^;
でも、いつかそんな彼女の一途さを分かってくれる人もいるかもしれませんね。
アレクの熱望ぶりは、確かにある意味淋しいですね。了見狭すぎです。仰る通りマリーへの愛故なんですが^^;

マリーは頑張ってますね。引き続き応援して頂ければ幸いです。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

宗教観の問題はありますよね。
あるいは、思想の問題かな。
天然とはまた違うと思います。
イスラムの考えは違いますし、日本の考えも違いますが。
キリスト教系だったら、憎しみで人を見るのはあまりないですからね。マリーはシスターになったらいいじゃないかなと思います。

LandM様 

今日は。

そうですね。ここでは思想の問題と思ってます。
天然……、言葉迷ったんですよね^^; マリーの場合ある程度しっかりしている所もあのますし。でもアレクからみればそれっぽくも見えるのかな?とそう事にしてしまいました。(何か良い言葉見つけたらこっそり訂正してるかも?(笑))

マリーは確かにシスターの器だと思います。
アレクから受け入れられていなかったら良いシスターになっていただろうな。
いつもコメント有り難うございます。
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