ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《121.術 後》

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何が起こっているのか分らぬまま、私はアレクの胸に身を委ね、アリシラ様と一緒にユリウスと呼ばれている黒衣に身を包んだ警務騎士のマントの中に蹲っていた。
言われたように必死に瞳を閉じていると、やがてうっすらと瞼の裏に薄明かりが照らされたような感覚に暫く囚われた。
今ここで行われている事は何なのか?
私に分かるのは、今ここでじっとして、瞳を閉じている事が安全であると言う事だけだった。

「どうやら終わったようですよ」

警護騎士の言葉に安心し、大きく息を吐き出した。
不安もあったけれど、アレクの腕の中に居る事で左程緊張を強いられているつもりは無かっのだけれど、やはり突然の出来事で顔は心なしか強張っていたのかもしれない。

「何だ、そんなに緊張していたのか?」

笑みを湛えながらアレクから言葉を投げかけられた。

「だって、急だったから……。でも、平気。アレクと一緒だったもの」

「そうか?」

「そうよ」

アレクの顔が突然近づいて来て、額がコツリとぶつかり絡まる視線。
ほんのり頬が染まるのを感じながら照れ隠しをするように笑みを作っていると、アレクも優しい笑みを返してくれた。

「ああ、もうすっかり二人の世界ね。そう言う事は余所でやって頂戴」

爽やかな笑みを浮かべたアリシラ様にそう告げられ、ハッとして我に返る。
ここが公の場であった事を思い出し狼狽えた。

「すっ、すみません」

慌ててアレクと距離を取り、全身が火照って行くのを感じながら深々と頭を下げていると、傍若無人たるアレクの態度に呆気に取られた。

「無理ですよ」

「まあ!」

その発言に、耳まで真っ赤になって行くの自覚した。

「まあ、ずっと真面に会えなかったのだろうからな。そこは大目に見てやるが、もうこれ以上被害を拡大する事だけは止めてくれよ」

こちらに歩み寄って来る警務騎士団統帥長閣下の言葉に、私は慌てて深々と頭を下げた。

「済まなかったな。要らぬ手間をかけさせてしまって」

「本当だな。もう今回限りにしてくれよ。全く……」

統帥長閣下と砕けた様な会話をするアレクを見て、二人の関係がかなり近しいものであることを再認識した。
アレクより、統帥長閣下とは旧知の仲だと言う話しは既に聞いていた。

「それよりも紹介してくれよ。そちらが例のマニエール男爵令嬢なのだろう?」

「ああ、愛しの我が姫だ。マリエッタ、彼が先日話した私の悪友のパウウェル・レナンド・サンドールだ」

「御目にかかれて光栄です、閣下。本日は色々お騒がせしてしまい、申し訳ございませんでした」

「ああ、その件はもう良い。既に解決した事だ」

「解決……した?」

意味が分からず詳しく話を伺ってみれば、先程の光がどうやら全て解決してくれ他との事だった。

何でも呪術に関する必要以外の情報の共有は人々を混乱に陥れる恐れも否めない事から、今回当事者以外の者で情報を共有してしまった全ての者に、忘却術を施す必要が有りとの判断が下されたとの事だった。
個々に追い駆け対処する方法も出来なくは無かったが、それには多くの黒騎士を配さなければならず、状況的に困難を極める。そこで早急に対応を求められている事から今回強硬手段として閣下が直々に手を下されたと言う事だった。
だが、これには多少のリスクもあるらしい。
術を一斉に発動させれば全ての者から新たに耳にした呪術についての記憶が失われる為、当時者となる我等の記憶を守る為に、周辺には防御を施すべく騎士にその身を守らせたと言う事だった。
成る程、そういえば私達以外にもリレントさんやアリシラ様の侍女も他の騎士の側で身を潜めていた。
改めて話を聞き、この閣下が本当に凄い方なのだと言う事を思い知らされた。
アレクが以前、閣下の事を『親友と呼ぶには烏滸がましいが、大切な……、尊敬に値する友人なのだ』と話してくれていた事を思い出し納得した。

「それはご苦労さまでございました」

術を施すには多大なる労力が必要だと聞く。
私達の為に、必要以上の苦労をお掛けしたことを深々と頭を下げて謝罪すれば、かなり恐縮しきっている様子だった。

「いや、そんなに頭を下げられる程の事ではない。その事はもう気にしないで頂きたい」

挨拶もそこそこに返ってくる話は現状況に対するものばかりだったので、かなり厳しい方なのかと思って少し緊張していたが、柔らかな笑みを向けられて少しだけ安心した。

「そうだよマリー。パウウェルは並の者とは違う。この程度の対応など朝飯前の出来事さ」

「お前がそれを言うのか?」

「ははっ、悪い。私が言えた義理では無かったな」

「まあ些か問題の生じる行動であった事は否めなかったが、実はお前のお蔭で隠れていた奴が分かったかもしれない。そこはイーブンと言う事にしておこう」

「何だって?!」

警務騎士団統帥長閣下の言葉に、アレクは身を乗り出し興味を強く示していた。

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NoTitle 

更新、お疲れ様です。


「ああ、もうすっかり二人の世界ね。そう言う事は余所でやって頂戴」

まったくだ(笑)
そしてアレクも即答するんじゃないっ。
こいつら、恋敵が退場していったので無意識にいちゃいちゃしやがって。
やってもいいけど、二人きりでやれって感じです。

さすがにこういう類の術は知る人が限られていた方がいいとは思いますからこの対処はまあ正しいですよね。
パウウェルさんは、アレク達が珍事を起こしてる間に着々と事件解決へと進んでいましたのね。
マリーが良い意味で囮になってたのでそこはちゃんと頑張ってたんだなって思います。

さてさて、黒幕の手がかりが見つかったようですがどうやって追い詰めていくのか、楽しみです。

yama様 

今日は。

もう、余計な邪魔者が居なくなったものだから、アレク箍が外れかかってますねぇ(笑)
アレクにとってみれば周りに居るのは親友と従者と叔母と近しい人たちばかりだから遠慮が無いんでしょうねぇ(爆)

はい。今回警務騎士側にとってはある意味アレクやマリーの件は囮に使えると踏んで裏で目を光らせていました。
黒幕の件は深く掘り下げずに報告的なものにしようかなとも思っていたのですが、何処まで書くかまた考えますね。
どちらに転んでも公表せずに終わらせる事はしないので、そこはご安心ください。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

恋は盲目とも言いますし。
それはそれでいいと思いますけどね。
突っ走れるだけ突っ走った方がいいと思います。
若い時はそれができますからね。

LandM様 

今日は。

当初この場面、設定には無かったんですが、書いていたら勝手にキャラが突っ走ってくれました(笑)
邪魔者が居なくなったものだから、黙ってられなかったみたいです^^
ここまで来るとキャラが勝手に走ってくれるので結構書きやすかったりします。
アレクもまだ20代前半ですからねぇ(笑)

いつもコメント有り難うございます。
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