ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《123.解 明1》

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事の様子を見届けながら、ベアレーゼ様付の侍女が待ち構えていたように今日何度目になるだろうか? 手にしていた懐中時計を開いたのは。

「大変ですわ、奥さま。今度こそ限界でございます。早々にお戻りになりませんとッ」

再三に渡り、『そろそろ戻りましょう』と声を掛けていた侍女だったが、その様子はかなり緊迫しており、本当にそろそろ限界の様だった。

その声掛けに対し、何処か不服そうなベアレーゼ様。まだ如何やらこちらに後ろ髪を引かれる事があるようだ。

「まだこれから楽しくなりそうな雰囲気なのよ。もう少しだけこちらにいてはいけないかしら?」

「もう無理でございますよ! 王太子妃殿下とのお約束の時間はゆうに超えておりますし、Ⅷの刻過ぎには隣国メリセベッテ国の第4王女様とリムリアード様の初対面の儀のお時間もありますし……」

懐中時計の文字盤を提示しながら説得を試みる侍女の姿はかなり緊迫しているように感じられた。

「ああ、そうだったわね……」

アレクの解説によると、ベアレーゼ様は今回王太子妃様や宰相夫人等と共に、来賓への接待を任されていたらしい。だが私の状況に気付き、後の事を妃殿下等に頼んでこちらへ赴いてくれた様なのだ。しかし如何やら今度の用向きは他の者では対応が難しい出来事の様だ。

「叔母上、それは御急ぎになりませんと! リムリの母たる叔母上がおらずに対面の儀も何もないでしょう。陛下のお顔を潰す事にもなりかねません!」

「そうよねぇ。それは流石に不味いわよねぇ……」

少し残念そうに再びため息をつくと、ベアレーゼ様はやっと重い腰を上げた様だった。

話しによれば今回ベアレーゼ様のご子息と隣国の末の王女様のご婚約が内々に決まり、良い機会だからと初の顔合わせの席を設けているのだそうだ。確かご子息は5歳になったばかりの筈だ。この年で既に婚約者が決まってしまうとは……。王室と近しい関係にある高家の子息も大変だなとつくづく思う。

「叔母上には本当に感謝しております。また日を改めて今回の事が全て片付きましたらマリエッタと共にお礼かたがた報告に参りますので、今日の所は早々にお戻りください。色々と有難うございました」

「本当に、ベアレーゼ様には何とお礼を言って良いやら……。助かりました。本当に有難うございました」

アレクシスと二人して深々と頭を下げて見送った。


「では、私もそろそろ戻るとしよう。部下にばかり色々と任せられないしな」

ベアレーゼ夫人を見送りながら統帥長閣下も早々に引き上げたい意向を訴えた。
だが、それはアレクシスによって征された。

「お前、どさくさに紛れて真相を隠したまま消えるつもりか?」

「まさか、こんな所で出来る話でも無いだろう? ここは日を改めて席を儲けるとしようじゃないか」

「待てるか! お前になら造作も無く周囲に知られない様に何処であろうとそう言う事は可能だろう?」

「本気で言っているのか? 人使いが荒いな。全く……」

統帥長閣下は、如何しても現段階での詳しい状況を知りたいと食い下がるアレクシスに半ば呆れ顔で……、だが深いため息を一つこぼし、どうやら根負けしたようだった。

周囲の人影は少なくなったが流石にここではと、場所を近くの東屋へ移す事になった。
どうせ秘密裏な話をするのならば屋内など、もっと人目を気にしなくても良い別の場所にすれば良いのにと私等は安易に考えてしまうのだけれど、二人して改まった場所へ身を移せば、また何かと詮索し噂する者も現れる可能性があるとの統帥長閣下からの意見で、今までも状況により何度か調書を取る為に東屋を利用する事もあったらしい事から、この場所に決めたとの事だった。
人が少ないとはいえ厳重を期す為に、既に話が周囲に漏れぬ様に結界と言うものも張っているらしい。
それがアレクシスの言っていた『お前になら造作も無くそう言う事は可能だろう?』と言う事だったらしく、それを張っていれば話が周囲に漏れる事は無いのだと聞いて驚かされた。

統帥長閣下は本当に凄い方だと感心していれば、規模の違いはあるが結界は黒騎士隊の誰もが張れるものと言うからまたまた驚かされた。
自国の事とはいえ、政務騎士団については公にされている情報も少ない。
私自身も今まで漠然と何らかの術が使える黒騎士隊と、武力に長けている青騎士隊と言う限られた情報しか耳にしていなかったものだから、今回は驚かされてばかりだった。

「それで? 以前の話では先ず鉱石について色々と調べると言う事だったが、それを交えて何か進展があったのだよな?」

「ああ。先ずは今一番疑惑の持たれているマニエール男爵の持つ鉱山から採掘された輸出前の荷の鉱石を一部再調査させた」

「で、結果は如何だったんだ?」

「男爵が鉱石輸出の手続きを取った当時の調査時データと現在採掘されている地層では、かなりの違いがあった」

「と言うと?」

「どうやら掘り進めるうちに違う断層とぶち当たったと見える。古い調査ではかなり軟化地質とされていた地層が、今ではどちらかといえば硬化地質よりとの判断が下った。男爵家の鉱山のようなマリオストロタイプの硬化地質の地層からはアクアローズの原石となるアクアチスが採取される事が多々ある。その為マリオストロタイプの硬化地質の地層から採掘された鉱石には現在国外への輸出の許可は認められていない。加えて更に今回多くのものを採取した結果、不純物が含まれてはいるが中からアクアローズの原石となるアクアチスがわずかだが採掘された」

それは私にとって、かなり衝撃的な結果だった。

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~ Comment ~

NoTitle 

ふうむ、確かに昔は鉱石を、あるいは鉱山を持っているかはアドバンテージでしたからね。それが財産であり、無限のお金に繋がるという・・・。持っているか持っていないかで大分違いますからね。この辺もファンタジーと中世の感じがでていいですね。(*'ω'*)

LandM様 

今日は^^

今回書くにあたり、かなり鉱石の事は調べました。そこにオリジナルのものも加えて色々試行錯誤し頭の中で纏め上げました。
持っている持っていないでも違いますし、それがどの程度の利益をもたらすかによっても色々と話は変わって来ます。
それを中世的なイメージと言う名の異世界に場所を変え現在展開している状況です。
後半になるにつれよりファンタジー感は出ていると思うので、よりお楽しみ頂ければ幸いです。

LandMさん、いつもコメント有り難うございます。
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