ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《124.解 明2》

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一体我が家の鉱山はどうなってしまうのだろうか?
二人の話に目が離せない……。

「……と言う事は、今後マニエール家の鉱石の輸出は……」

「国外へは無理だろうな。正式な調査書は未だだが、既に仮押さえされている状況だ。勿論男爵へは未だ伝えていない。今調査状況が漏れれば他の調査にも支障が生じるからな」

「そんな……」

既に結納金と称しロナルドの家からはお金を工面して貰っている。採掘を再開したばかりだと言うのに、頼りにしていた国外へ売る事が出来ないだなんて……。
これでは我がマニエール家の財政は、益々窮地に陥る事は確定だ。一体如何したら……。
不安気な眼差しで二人を見つめていれば統帥長閣下が少しこちらに向けて視線を落した。

「だが、輸出は無理でも国内の……、民間の中には純度に強い拘りを持たずに買い取り、平民向けに加工する事を生業とする者達も確か居る筈だ。まだ詳しく調べてはいないが、国内での新たな流通手段を見い出せれば、輸送する経費も少なくなるし悪いばかりの話では無いと思うが?」

「そうだな。確かそれについては認可を受けた流通機関の資料があった筈だ。色々と調べてみるよ。それに最近は私もたま宝石商との取引も始めたしね」

心配する私に向け優しく目配せをするアレクシス。
別邸に住まわせて貰うようになって知ったのだがここ数年、私との結婚を視野に入れていたアレクは幾つかの宝石を既に作らせているようだった。
柔らかな笑みは私に幾らかの安堵させる気持ちを植え付ける。
その視線に、私はゆっくりと頷いた。

「まあ男爵とは確執したままであっても、愛する姫の実家だものな。無下には出来ないか。私もそれとなく家の者と取引のある宝石商に当たってみよう。うちは結構出入りがあるからな」

「そうだろうな。頼むよ」

貴族の家にはだいたい懇意にしている宝石商があるものだ。だが我が家の様に頻繁に取引の無い家では中々詳しい内情を聞く事も出来ない。けれども名家との取引は店の方から御用達の名を欲するものだ。おそらく彼等の家はそれに類する筈だ。認可すればその関係性もかなり親密なものとなる。加えて統帥長閣下の家には年頃のお妹君が二人いるらしく、現在毎月のように何かと宝石商との取引があるそうだ。流石に天下に名だたる公爵家だ。格が違う。

「宜しくお願い致します」

同意して協力してくれると約束してくれた統帥長閣下に、私は深々と頭を下げた。


「それで?」

「……まだこれ以上、何か話があるのか?」

「惚けるな。ここからが本当は本題なんだろう?」

「…………」

無言のまま再び深いため息を一つ零すと、統帥長閣下はアレクシスを呆れるように見つめた。

「本当にお前は食えない奴だな」

「すまん。で? その調査結果と、先程聞いていた私の縁談話がここで如何結びつく事になるのだ? 何の意図も無くお前はこんな話をする奴では無いよな?」

「最もな意見だな。流石だ。実は今回マニエール男爵家の事を踏まえて、当時同じ地質判定の出ている鉱山を持つ領地も調べさせた。すると面白い事が分かった」

「と言うと?」

「お前がある者から紹介された複数の縁談先と、今回アクアチスの採取できる可能性をもつ鉱山の領主が符合した」

「……なん……だって?!……」

アレクシスはかなり動揺している様だった。

「中でもお前が茶会に出向いたと言う4件の地質はマニエール男爵家の持つ鉱山と似た点を幾つか持っている」

「……まさか……」

「本当だ。更にその内の2件からは、既に今回アクアチスが採取できたそうだ。私の言わんとしている事は分かるな?」

「だが、まさかあの方に限って……」

「お前のそう思いたい気持ちは理解出来る。だが、先程我が部下がお前の様子を伺う閣下の従者の姿を目撃している。加えて今回それ等の領主と、あのドワイヤル家の次男坊、それに閣下が視察と称しシュテガルドへの出国記録が複数回に渡り数日重なっている。それも供はお前では無く他の者が同行している時限定だ。これは勘の良いお前に詮索される事を恐れての行動だと私は睨んでいる。それでもお前はこれを唯の偶然だと思うのか?」

「それはッ!……」

「正にまさかの展開だったよ。私もこの知らせを受けた時は、我が耳を疑った」

「だっ、だが、それなら何故私にそんな領主の娘との縁談話を……。それも可笑しな話では無いのか?」

「こう言う事に疎かったお前は知らぬかもしれないが、貴族社会では得てして妻の実家を色々と詮索する事はタブーとされている。生真面目で常識派のお前だ。その事を知れば詮索するような無粋な真似は先ずしないだろう? 良い隠れ蓑になると踏んだんだろうな。お前の性格や気質を理解していなければ出来ない行動だな。お前は嵌められかけたんだ。良かったな知らぬ内に共犯にさせられなくて。これも全て姫のお蔭だな。お前の姫への一途な思いが、閣下からお前を守る事になったんだ」

「ッ…………」

額に手を当て、アレクシスはかなり悩ましげな表情をしていた。

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~ Comment ~

yama 

更新、お疲れ様です。


むむむ、マリーの実家の鉱山が禁輸されたものも含むとなると財政事情がとってもつらくなりますねえ。
マリーの父がそれを知ってたかどうかは知りませんが、娘を売るようなことをしてた報いが鬱陶したがっていたアレクに助けられるかもしれないということがある程度父にも留飲が下がりそうですね。

しかし元婚約者も含めて売国行為は意外とおおがかりなものだった模様。
もしかしたら父もその一員だったとすればマリーは辛いでしょうがさすがにそこまでクズじゃないことを祈ります。

アレクもアレクで黒幕が自分の信用する人物だそうでショックでしょうが、今彼が取り乱せばマリーは不安になるだけなのでしっかりしてもらいたいな。

yama様 

今日は。

マリーの実家、大変な事になっちゃいましたね^^;
父が知っていたか如何かは何れ明かされるとして……、どのみちアレクに対する見方は幾分変わらざるを得ないでしょうね^^;

この事件に関しては、現段階ではまだ詳しくお話しできないのですが、黒幕がかなりアレクと近しい大物だっただけにアレクにはかなり辛いものがありますね。
そうですね。アレクが取り乱すと大変ですよね~。
次の話は、アレクの状況が少し伺える話になっています。
そこに少しマリーの成長も感じられるかな?みたいな(笑)

引き続き、お楽しみ頂けると幸いです。
いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

私は財政事情は物語にしない主義ですが。
こういうのは大好きです。
金だけでは人を幸せにしない。
だけど、金がないと人は幸せになれない感じがでていて大好きです。(*'ω'*)

LandM様 

今日は。

結構こういう事情を書くのは面倒だったりするので、簡単にかいてしまおうかとも思ったんですが、書き始めたらどうも中途半端に書けない性分で、結構苦労しましたが、こういうのがお好きと言って頂けて良かったです^^

そうですね。お金だけでは人は幸せになれないし、大金と言う訳では無く、最低限持つべきものを携えてなくては人は根本的には幸せになれないと言うか、何かと苦しいものになってしまうと言うのが裏に隠されたイメージの一つです。
ご理解して頂けで良かったです^^

いつもコメント有り難うございます。
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