ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《128.回 想4》(アレク視点)

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内務尚書兼推進改革委員に内々に身を置くようになってから、その関係性から次第に王太子殿下との交流も深められて行くようになった。
時折城内の廊下で姿を目にした時等も殿下からお声を掛けて頂ける事もしばしばで、周囲の我等へ向ける認識も変わって行ったように思う。
その甲斐もあってか2年後には出仕3年目にして最年少の国務尚書補佐官として、末席に名を置く事を許された。
補佐官の名を賜った事で、閣下の名代として自ら視察へ赴く事も出来るようになった。
今までのような情報収拾等の雑用だけでなく、より近い目線で事態を捕らえ対応出来るようになった為、より短い時間で的確な判断を下せるようになったと思う。

閣下との関係性は距離を置くようになってからこちら何も変わるってはいない。
城に上がったばかりの頃のように閣下の膝下で政務を熟した後で食事へ誘われ同行する等と言うような私的な関係も、ここ2年程は全く無くなかった。
最近では以前の様にこちらから意識的に最低限の距離を保ち政務を熟していると言う訳でも無いのだがその位置は保たれており、原因として考えられるのは、おそらく今では閣下と同時刻に政務を終える事が難しくなったと言う点が一番の要因では無いかと考えられる。
近頃の私と閣下では退室時間にいつも2時間程の開きが生じる。
日々国外における我が国の利益を有する為の対策を考えながら、多彩な資料を纏めていれば時間など直ぐに過ぎてしまう。超過勤務も日常茶飯事だが、それがひいては陛下の御為になるのだと思えば全く気にならない。
今では以前ほど剣の鍛錬に身を置く時間も無くなってしまったが、パウウェルも昨年より政務騎士団に身を置くようになった為、夜間勤務もあるからそれも致し方ないと思っている。それでも有難い事に都合がつく日は今でも剣の稽古をつけて貰っている。
今の充実した日常を思えば、かつて閣下の膝下で過ごしていた日々がまるで遠い昔の様に感じられてならない。
そんな事を感じていたある日の事だった。

『久し振りに今度の視察に同行しないか?マニエラ国の公爵夫妻が是非君も一緒にと言っているのだよ。今回彼の国とは久し振りの取引となるが、マニエラ国との取引を最初に纏めたのは君の父君でね。色々と話したい事もあるようだ』

国務省で働く身だ。閣下の思し召しとあらば断る理由も無い。
それに父の纏めた国との再取り引きと言うのにも興味があった。
結局久し振りに私は閣下に同行して視察へ赴く事になったのだ。

マニエラ国では恙なく視察を終え、終始和やかな時を過ごさせて貰った。
再取引の詳細が明確に話し合われたが、相手が提示した内容は以前と変わりのないもので昔父が纏めたと言う取引の経緯などの話を聞きながら、違わず仮合意がなされた。
父のsとった政策は双方にほぼ同等の利益を齎すもので、それはどちらにとっても文句の無い内容だった。
後は陛下の採決を仰ぐのみだが、おそらく何の問題も無いように思われる。
父のとって来た政策を身近で感じることが出来、それはこれからも国務省に身を置く私にとっても、大いに得るものとなった。

とても満ち足りた気分で馬車に乗り込み、帰路についてた時の事だった。
思いもよらぬ話が閣下より告げられたのだ。

『既に侯爵家の当主としての祭り事の参加も義務付けられている身だ。加えて最年少にして国務尚書補佐官の地位に就いたのだ。今後女性同伴を求められる機会もますます増えるぞ。そろそろ縁談話も早くはないな。私も気に掛けておいておこう』

『いえ、私はその様な話はまだ……』

そう思っていたが、如何も年齢的にはそうでもないようなのだ。
実は、最初の婚姻に関する話は出仕して間もなくの頃より……あった。
家督を継いぎ父の喪が明けて直ぐより婚約者として我が娘をと押す数名の貴族等が現れた。
だが15歳で……、それも色々な事があり過ぎてそのような事を考える暇も余裕も無く、全て『その年頃になりましたら……』と話を濁しておいたのだ。
だが、閣下の話を聞く限りでは若くして爵位を継いだ貴族の婚姻は平均にして早いらしく、19歳から23歳がピークなのだと言う。
この話からすれば自分は既にその年齢へ差し掛かっていた。
それに、閣下の話の流れからすれば、今後この様な話は多くなりそうなのだ。
困った……。

その話を聞いて以来、私は邸へ帰ると色々と自分のこれからについて考えるようになって行った。
結婚……。私も父の様に焦がれる程の想いを抱ける相手に巡り逢えるのだろうか?
その事を考えた時、私の足は自然とあの懐かしい亡き母の別邸へと向けられていた。
母の部屋で共に過ごした想い出を懐かしみ、穏やかの一時を過ごしていた時に写真と共に飾られていた1枚の四葉のクローバーが目に入った。
懐かしい想い出の日々……。今でも目を瞑れば思い出せるあのクルクルと変わる豊かな表情。
マリエッタは今、如何しているのだろうか?
それからは時間を見つけては母の別邸で過ごす日々が多くなり、母との想い出と共にあの懐かしい日々の事に想いを馳せていた。そして、何時しか無性に彼女に会ってみたくなったのだ。

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~ Comment ~

NoTitle 

確かに昔は結婚も早かったですからね。
前田利家とまつの結婚も、21歳と12歳ですからね。。。
まつは13歳で子どもも産んでますからね。。。
二人は生涯仲が良かったという話ですからね。
そういうのも昔はありですよね。

LandM様 

今日は。

そうですね。昔はホントに早かったですよね。千姫とか嫁いだの7歳でしたっけ?
えっ、まつって13歳で子供産んでるんですか? 早かったと言う記憶はありましたが、そんなに早かったとは思ってませんでした。
流石に私はそこまで早いのは書きませんが(笑)

いつもコメント有り難うございます。


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