ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《134.決 断2》(アレク視点)

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「まっ、マリー?!」

「重いとか、負担が少ないとか……。私の事を思って心配して言ってくれているのかもしれないけれど、そんな事をして私が喜ぶとでも思っているの?!」

「そんな事って……」

マリーが何故こんなにも声を荒げているのかが、この時の私には全く理解出来なかった。

「アレクが私に無理をさせない為だけの理由で、また他の何も知らない令嬢を傷つけるような真似を、知っていて私がさせられると本気で思っているの?!」

「それはッ」

「他人を傷つけるかもしれない事を厭わずに、またアレクが考えたのだったら、それこそ迷惑な話だわ。ううん、見損なったわ! 私は私達の事で関係も無い人達をこれ以上傷つけるような真似はしたくないのッ」

「っ、マリー……」

そう言われて先程利用してしまった令嬢等の事が頭を過った。
「最初は……、私さえ我慢すればって思っていたわ。でも、テロネーゼさんにしても他の方にしても、あの出来事であらぬ期待を抱かせたのは事実だわ。そして傷つけてしまった……。私はこれ以上私達の為に何も知らない人たちを巻き込んで……。もう、関係ない人傷つけるのは嫌なのよ!」

マリーの強い思いに触れて己の愚かさに気付かされた。
あの計画は確かに私が個人的に全てを立てたものでは無い。だが、あのロナルド等をおびきだす為の一案を私も考え手段の一つとして同意した。相手の弱みに付け込み、こちらの保身の為に利用しようとしたのは事実だ。
その事に全く痛みを覚えないと言う事は無いが、事件の事を知らないマリーが、その事で心を痛めるのは最もの話だった。
元々マリーは自分の為に人を傷つけて黙っていられるような娘では無い。それが分かっていたのだからこちらにこそそれなりの配慮があってしかるべきだったのだ。
私が好きになったのは、人の痛みの分る、労りの心を持つ事の出来る優しいマリエッタなのだから……。

「……済まなかった。確かに色々あったとは言え、考えなしだった……」

あの計画にしても当初私は何処かで都合がいいと思っていた。
個人的に断っても断っても周囲に蔓延って来る煩わしい令嬢等を、これを機会に一掃できるかもしれないと言う邪念が無かったとは言えない。寧ろ好機と思い計画を実行した節もあった。
冷静に振り返ってみれば自身でさえそのように思えてしまうのだ。何も知らないマリーにしてみれば、自分たちの為に多くの令嬢を巻き込んで傷つけてしまった。そう思えるのも仕方のない事だった。
それに彼女等の中には単なる玉の輿狙いではなく、純粋に私に想いを寄せているように感じ取れる令嬢も確かにいた。その者等には確かに申し訳無かったと思う。だが、他の幼気な令嬢等を嘲笑った者等には微塵も同情する余地はないと今でも思っている。後悔はしていない。私はマリー程お人好しでは無いのだ。
その事に関してはこれまでの詳細な経緯を全て話せるようになれば、おそらくマリーも少しは理解してくれると思う。
だが今回の事に関しては……。
他に対応出来る手段があるにも関わらず、私はマリーの事ばかりを考えて、人の気持ちを害すると言う事をいとも簡単に考えてしまっていた。その事には関しては言い訳も何も通用しないと思っている。

「では、言って。元々そうするつもりだったのでしょう?」

「いや、それはそうだったけれど……。でも、本当に良いのかい?」

確かに今日のこの場で、私はマリーとの仲を公にするつもりでいた。ロナルドに対抗するつもりで。だがそれはまだマリーから正式な了承を得たものでは無かった。
色々あって、話はうやむやのままになってしまっていたのだ。

「良いも何も私は既に貴方とこれからの運命を共にすると決めているのよ。だったらこれ以上誰も巻き込む必要は無いし、当初の予定では既に公になっている筈の事柄なのだから、だった答えはもう決まっているわ」

(参った……。こうも潔く断言されるとは……)

誕生祭が始まる前と後では大違いだ。
何が彼女をこうも成長させたのか?
いや、色々と迷いを生じていたから何処かいつも不安気だったが、今の彼女は何かが吹っ切れた。まさにそんな感じだった。

「ではマリー、改めて頼む。私と一緒に閣下の許に出向いてくれるかい?」

「勿論よ!」

マリーは満面の笑顔で私の胸に飛び込んで来た。
彼女を抱きしめ口づけを交わそうとした正にその時、扉を叩く音が聞こえ全身に緊張が迸る。

「侯爵様、国務尚書閣下が東殿に入られました」

「そうか、ご苦労だった。直ぐ行く」

「いえ、それともう一つご報告が――」

「っ、何だって!?」

告げられた言葉に私は一瞬息を飲み、言葉を詰まらせた。

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~ Comment ~

NoTitle 

こんばんわ(^ω^)
ご無沙汰しちゃって間がかなりあいてしまったので、ちょっと遡って読ませていただきましたw いやあ・・・もう退場しちゃっているテロネーゼさん、やっぱ我が道を突っ走っていて面白くて好きです(笑)

アレクさん相変わらず自分の世界視点でマリーさんまで見ちゃってるから、思い焦がれていたわりには、マリーさんの変化や心が全部は判ってなかったようで。まあ、短時間の間に判れというのが無理難題ですけど、色々ぐるぐるしちゃって可愛いですw
性格にもよるけど、案外女のほうが度胸座っちゃうものですよね(・ω・)☆ 今回のマリーさんは中々にきっぱりしていて好感度アップでした(^ω^) 人物紹介も嬉しかったですw

そいえば、ずっと心にのTOPページ・・・目次ページ? いくと、50話まではズラッと表示されているんですが、それ以降の目次へどう行けばいいか判らず、INDEXのほうから遡って見つけていたのですが。一覧の場所があれば教えてくださいましヽ(・∀・)ノ

NoTitle 

更新、お疲れ様です。
人物紹介、お疲れさまでした、この人誰だっけってなった時にパッと調べれるのはやっぱり親切でいいですね。

マリーのセリフを聞いてて、ああそういえばそうだなあって思いましたね。
確かにマリーのためとはいっても、そのために第三者を間接的に陥れていることもあるってわけで、それに気付いたマリーが傷つかないはずがなかったんですね。
アレクはマリーだけを守ろうとしててその実彼女の心をまた傷つけてしまうところでしたので、はっきりとマリーが言ってくれたのは彼女がアレクを想っていてもアレクに流されすぎないようになるという一つの成長した証かもしれません。

ここからは二人で正々堂々と立ち向かうつもりでしょうが、一難去ってまた一難、かな?

NoTitle 

敵襲ですかッ!?

と反射的に考えてしまうシミュレーションゲームファン脳(笑)


いずれにしても、ふたりにはいろいろと試練がつきまとうようで……アレクくんは宰相になれるのかなほんとに(^^;)

ユズキ様 

今日は。
お帰りなさい~^^/。何やら忙しいのも一段落したようで良かったです^^

>いやあ・・・もう退場しちゃっているテロネーゼさん、やっぱ我が道を突っ走っていて面白くて好きです(笑)
有り難うございます。書いていて我が道を突き進まないのはもうテロネーゼじゃないので(爆)、彼女にはひたすら突っ走って貰いました^m^

アレクは本当にマリーの事となると色々考えすぎて冷静な判断が出来ない所があるので(笑)
これから一緒に過ごせる時間が長くなればまた変わって来るとは思うので、いつの日かもっとお互い自然体でいられるようになると良いと私も思ってます。

>性格にもよるけど、案外女のほうが度胸座っちゃうものですよね(・ω・)☆ 
そうなんですよ。1日ですが色々な事に直面して、マリーも段々状況に対応して行く内に少し肝が据わってきた感があります。
そして、やれやれと思った所に自分の父親がまた一騒動。何があっても互いに離れないと言う思いを互いに強くした所に今回の話。何かそこでスイッチ入って気も座っちゃった感があるようです(笑)

>一覧の場所があれば教えてくださいましヽ(・∀・)ノ
はい。↑の【◆All】から入って頂くと、新しいものから項目別に全ての作品の一覧が見れます。(今の所「ずっと」は47話から表示されてます)探せない時は↓の【Next】を押して頂くと古いものが見れます。

何だか佳境と言いつつ進み悪くて中々終わりませんが、引き続き楽しんで頂ければ嬉しいです。
いつもコメント有り難うございます。

yama 様 

今日は。

人物紹介、これだけ長いとやっぱりあった方が良いですよね~。そう言って頂くと作った甲斐があります^^

>マリーのセリフを聞いてて、ああそういえばそうだなあって思いましたね。
書いていて、やはりマリーはこういう所に目が行っちゃう娘だと思ったので、やっぱりそれは書いておかなきゃと思いました。
そう言う強い思いと、父の反撃がより彼女を強く成長させるきっかけとなりました。
やっと予てより書いて行きたかったマリーの意識的成長も何とか~。
そしていよいよそれを存分に発揮できる舞台も揃った模様です。

>一難去ってまた一難、かな?
この流れから行くと何かありそうですよね~(笑)

いつもコメント有り難うございます。

ポール・ブリッツ様 

今日は。

>敵襲ですかッ!?
敵?う~ん。ある意味闘わざるを得ない相手ではあるかな~(笑)
何かと試練がつきまとっちゃいますね。^^;

>アレクくんは宰相になれるのかなほんとに(^^;)
それはまだわかりませんね~。でも王太子閣下と良い関係が続いて行けば、ゆくゆくはこの調子だとそれに類する役職には上れそうな気はします。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

こんばんわヽ(・∀・)ノ

一覧教えていただきありがとうございました(´∀`)
なるほどそこを押せばいいのか! と、わたしこのテンプレ使ってないから全然気づいてなかったですよ~><
自分のイラストを色々差し替えていいなら使いたいんですがw

使い方分かったので、これからピンポイント読みが出来るので嬉しいです(^ω^)

ユズキ様 

今日は^^

このテンプレ、結構使い慣れれば便利です^^
イラストの差し替えは如何だろう?Novelさんの作られた テンプレートの中にはそう言うのもあるかもしれないので、覗いてみて下さい。
ご丁寧に有り難うございます^^

NoTitle 

そこは分かっていても黙っておくのが淑女さ!!
マリー(゜_゜>)

。。。なんてい言うわけにもいかないのか。
この辺は女性の価値観の相違によりますね。

LandM様 

今日は。

>そこは分かっていても黙っておくのが淑女さ!!

はっはは。マリーにはまだそう言うのは無理でしょう(笑)
それに仰る通り、この場合そう言う訳にもいかない所が。。。
各々の置かれた状況による部分もありますが、価値観の相違も多少頷けざるをえないですよね^^;

いつもコメント有り難うございます。
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