ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《137.対 面2》(アレク視点)

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マリエッタとロナルドの婚約については、まだ王室から正式な承認を得られていない事から、親類縁者等の一部の者しか詳しい事情は知らされていない事になっているとマリーは言っていた。
確かに今私が知り得ているのもマリーへの求婚の申し込みをした際に、男爵から断られる理由の一つとして聞かされたものに過ぎなかった。
他から耳にする話と言えば、何れも夜会などに二人で連れだって歩いている姿を度々見るようになったと言うものや、それにより周囲が想像を膨らませ婚約間近だとか何だのと噂を流していたに過ぎない程度のものだった。
その状況下で、閣下がマリーの名を聞くなり瞬時に他の者と婚約している等と言う断言的発言をするからにはそれ相応の理由があってしかるべきだ。
容易に導き出される答えとしては、ロナルドないしはそれに準ずる関わりのある者から以前より知り得ていた情報と言う所が正しい見解だろう。
だが、追い詰められ苦しまぎれでも、まさか正直に誰から聞いた等と言う事を閣下が口にするとは思えない。

「ぃっ、いや、ちと噂でな……」

また、噂か。都合が悪くなれば噂と発すればどうにかなるとでも思っているのか?
在り来たりの答えを耳にし、思わず鼻で笑ってしまった。

「閣下が確証も無しに、たかが噂程度の事でこの様な話を……、それも当事者を目の前にし、あからさまに口になさる方だとは思いもしませんでした」

「ぃゃ、噂と言っても確証に近い噂だ。いや、事実だ。過日……、信用のおける者から聞いたのだ」

「何方から?」

「いや、他言せぬよう実は言われておるから詳しい名は伏せるが、先日ある集まりがあってな」

「集まり? それはどの様な?」

「ぁー、定例の伯爵家の会合だ」

「会合?」

「伯爵家の統率を図る意味で行われたのだ。その折にドワイヤル伯爵家と近しいと言う者より話も聞いてな。兄弟揃って目出度い事だと話した記憶がある」

「初めて耳にしますね、伯爵家の会合……ですか……」

こう言った事は、叔母上が得意分野だ。目ざとく何処からか話を聞きつけて、いつも情報を流してくれるのだが、今回はその様なアクションが何一つ無かった。

「最近始めたばかりだからな。ほら何だ。伯爵家は何かにつけ対立や諍い事が多いであろう? その度に『また伯爵家の者が……』等と言われては、こちらも迷惑なのだ。それ故少しでも回避出来ないかとの事で、交流をはかろうと言う事になったのだ。中々全員参加と言う訳には行かなかったが、このボフテンヌ伯も参加してくれてな。一緒に聞いた口だ。そうだったなボフテンヌ伯」

「えっ? あっ、はい。そうです。私も参加させて頂き、その様に聞き及んでおります」

急に話しを振られて慌てて話を合わせようとするボフテンヌ伯爵と、額に汗を滲ませながらも、尤もらしい見解を見い出して何とか言い繕おうとする閣下。
苦し紛れの努力はかうが、必死にボフテンヌ伯爵へ熱い視線を送っている。
だが、それも何処か滑稽にしか見えない。

「ほぅ、最近……ですか。ですがそれでしたら伯爵家に限らず、他の爵位を持つ者への参加を促しても良かったのではありませんか? 対立関係を見い出す者は必ずしも伯爵家の者とは限りません。男爵家、子爵家においても、確かに割合としては少ないが色々と問題は上がって来ています」

「そうだな。確かにその通りだ。では次回からはそうしよう」

「ほぅ、発起人は閣下でしたか?」

「如何してだ?」

「今の発言は、まるで全てを閣下が仕切っている様にも伺えます」

途端に閣下の表情が変わった。
気付くのが遅すぎだ!
これだけ慌てふためき、しどろもどろの状況で、今の話をされても信憑性も欠く。それを信じろと言うのも無理な話だ。苦し紛れとしか思えない。
伯爵家定例の会合等と言うものも訝しいが、こう言う事を口にした時点で聞く者によっては疑心を抱く事があると言う事を、閣下も良く分かっている筈だ。

私の言葉で流石にその意味を感じ取ったのか、閣下は慌てて話を畳みかけて来た。

「まあ、そのような事は如何でも良いではないか。今日はマリエッタ嬢を紹介してくれるつもりで連れて来たのだろう? 私も色々と話を聞きたい。立ち話も何だ。こちらでゆっくり話をしようではないか」

私の機嫌を取ろうとでもしているのか?
部屋の隅に置かれてある来客用に用意された応接スペースに来るようにと促され、私はとりあえずマリエッタの手を引きながら、共にその場所まで移動し長椅子に腰を下ろした。

「失礼致します」

「……仲が良いのだな」

長椅子に座ってからも、つないだ手を離そうとはしない私達を見て、閣下が苦笑いを漏らした。

「当然です。思わぬ周囲の画策で一時期互いに誤解が生じる事もありましたが、今の私達の心は一つです」

そう告げた途端、何か鋭い視線を感じ目を向ければ、射抜くように睨まれていた。

「そんなのッ。あまりに身勝手ですわ。あの時アレクシス様は仰いました。機会があればと……。ですから私はそれを楽しみに致しておりましたのにッ」

「スザンヌ、落ち着きなさい!」

私達の仲睦まじき様子を見ていた令嬢が、見ていられなくなったのか、突如声を荒げた。

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~ Comment ~

NoTitle 

こんにちわ(^ω^)

閣下(笑)
誘導尋問に素直に反応しちゃうタイプですね><
話せば話すほどバケツを掘っていく閣下、憎めない・・w

しかしほんと、アレクさんの全てはマリーさんのためだけに、なのはイイのだけど、マリーさんへのアツイ想いはそのままに、でももうちょっと周囲に余裕ある考えや気持ちもあるといいな、とアレク視点を読んでいると思ってしまいます。そのへんは、少しずつ成長していくなかで解決するのかな(・∀・)

スザンヌさん、テロネーゼさんほどの気合が出せるか次回が楽しみです。ライバルというか障壁として、今のところテロネーゼさんの右に出るものはいない、と思ってます(笑)

ユズキ様 

今晩は^^

閣下、強くアレクに問われていると、元国務尚書であったアレクのお父様と重なって感じてしまう所があるようで、身構えてしまう感があるようです(笑)

>マリーさんへのアツイ想いはそのままに、でももうちょっと周囲に余裕ある考えや気持ちもあるといいな…
 これについては、多分次回ちょっと解決傾向になるかな~。
 アレクって腑に落ちない奴には容赦しないですが、(マリーが入ると特に)当人に非が無いと認識すれば、結構常識人だったりします。

>今のところテロネーゼさんの右に出るものはいない、と思ってます(笑)
私も彼女以上に強力なキャラは書ける気がしません(爆)
でも別の意味でちょっとインパクトはあるかな?彼女が如何いうキャラかは乞うご期待と言う事で♪

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

流石アレク。安定のマリー脳と熱血ですねえ。
(*´ω`)

しかし、若干仕事に集中しすぎで、マリーに嫌われてしまうぞ!!

LandM様 

今晩は。

アレクは相変わらずです(笑)

ははっ、仕事に集中してますね。
でも、マリーはこういう事は大丈夫です。
理解しているので^^

いつもコメント有り難うございます。
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