ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《138.対 面3》(アレク視点)

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制する父親の腕をも払い除け、感情を露わにする令嬢の姿。
かなり無知で我が強いタイプの様だ。

「いいえ、お父様。人は言った事に責任を持つべきだわ」

言っている事が最もなだけに、こう言う状況は少々厄介だ。
私があの時告げた言葉は、社交辞令として常識的な最も良く使われる言葉だった。
それが理解出来ていないと言う事は、もしかして……。

「失礼ですがボフテンヌ伯、令嬢は淑女教育過程を終えられているのですか?」

「それが、実は……」

言い出し難いと言った口調で、顔を歪めた。これは教育半ばと言う事か……。

通常貴族の令息・令嬢の社交界デビューは17歳だ。
貴族の家に生まれた者達は社交界デビューを目指し10歳よりある種の教育を受けることが義務付けられている。
令息は高士教育を、令嬢は淑女教育が7段階あり、1年1段階毎に上がって行くのが通例だ。国指定の家庭教師より1段階毎に審査が入り認められれば次の段階へ進む事が認められる為、短期で終了も可能だ。実際自分は4年で全てを終えていた為、社交界での正式なデビューこそ年齢が満たずに果たさなかったが、特例として15歳で成人としての資格を得て父の後を継ぎ出仕する事は認められた。
マリエッタは既に淑女教育過程は終了している。
教育過程は令息の高士教育については出仕する際には終了が義務付けられているが令嬢については別に終了の有無が左右する決まり事は無い。ただ、終了していない事が周囲に知れれば肩身が狭い思いをしなければならなくなる。
令嬢は通常17歳で社交界デビューを果すと2年以内に多くは嫁ぐのだが、終了が認めらていなければ良縁には先ず恵まれない。
婚期を逸脱してしまった者は中年層、或いは後妻として嫁ぐ事が多くなると言われているから、その年頃の令嬢を持つ親はかなり必死で婿を探す事になる。

「何処まで終えられているのだ?」

「……5段階を終えた所でして……」

「5段階!? 」

「……申し訳ありません……」

「いや、ボフテンヌ伯に謝って貰う事でも無いのだが……」

17歳で5段階を終えた所と言う事は、このペースではおそらく終了出来るのは20歳過ぎとなるのだろうが、まさか自分がその対象となり得る令嬢を掴まされるかもしれない状況下にあったとは、想像すらしていなかったが、勿論有り得ないッ。
マリエッタが例えいなかったとして見合いまがいの状況だったとしても、その選択肢は先ず無い。
出向いたのは茶会の席ではあったが、当初は見合いとして勧められていた話しだった。
だが、仮にも貴族同士の縁談として成立させようと思えば、通常淑女教育過程の終了及び近くしてその見込みのない者との縁談は先ず勧めないのは暗黙の了解事だ。
故に閣下よりそのような令嬢を紹介されること事態、本来ならば有り得なかったのだ。

「っ……、閣下……」

私はやや涼しげな眼差しで、閣下を見据えた。

「えっ? あ……いや、私は何も知らぬぞ。あの折16歳と聞いた故、じき誕生なら年齢的にもつり合いが取れて丁度良いと思って勧めただけだ……。ボフテンヌ伯! それならそうと説明があってしかるべきであったであろう?」

「申し訳ございません……、つい娘可愛さに……」

「何故お父様に謝る必要があるのよ! 」

……これは、イタダケない。
我は強い令嬢だとは思っていたが、今話した内容ですら如何やら常識的には理解出来ていないようだ。
既にだ嬢をむかえ17歳だと言うのに、これではおそらく後妻としても今後縁談に容易に恵まれるとはとても思えない。

……稀に体裁が悪いと淑女教育過程が終了するまで社交界デビューを遅らせる令嬢もいると聞くが、遅れても普通はせいぜい1年以内だ。
病で取得が遅れたと言う者でも17歳で5段階は、私も未だかつて聞いた事が無かった。
閣下にしてみれば令嬢の年齢的状況から単に都合がいいと見込んで、おそらく鉱石の話を持ち込んだのだろう。一方のボフテンヌ伯は、行き遅れになりそうな令嬢に降って湧いたような好条件の縁談話が舞い込んだと思い込み、おそらくは娘の行く末を案じていた事もあり、閣下の話に頷き話を纏めようとしていたのかもしれない。
見た所、この伯はとても悪い事に手を染めるタイプとも思えない。
ともすれば詳しい状況は何も知らずに閣下に利用されている口なのかもしれない。
そうなれば鉱石の話は、まだこの場で話すべきではない。

だが、知らなかった事とはいえ蓋を開ければとんだ茶番話だ。
この際閣下とボフテンヌ伯がどの程度状況を知り得ていたのか等は如何でも良い。
おそらく二人とも何らかの意図があって私とこの令嬢の結婚話を進めたいと思っていたのは事実だ。
二人に情けをかける言われはなさそうだが状況的に見て、淑女教育過程の5段階クラスの令嬢にこの事が理解できるとも思えない。
罪はないかもしれないが、この年齢でこれ程の無知なのも御免だが。

「あの時『機会があれば』と言いましたのは社交辞令的方便です」

「社交辞令的方便? 如何言う事!?」

「そう言う事も、まだお分かりになられないのか……」

「何なの? お父様、侯爵様は何を仰っているのッ」

私は大きく溜息をつくと、令嬢に現段階でも分り易いように説明を促した。

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※後半一部文字抜けしていました。Wordで書いた原稿をそのままコピーして貼り付けているのにムーンさまでも同じ現象が起こっていて、貼り直しても抜けちゃって……、手打ちしましたが、過去にこのような事無かったですよね??気付いてないとか><;
もし、見つけられた方がいらしたらお知らせください。訂正しますので^^;

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~ Comment ~

NoTitle 

閣下~~(笑)
こんばんわ(^ω^)

やはり、テロネーゼ様の足元にも及ばないご令嬢でしたか>< まさに「顔洗って出直していらっしゃい!」ものですね。いやはや、レディ教育もマトモにしないで、いくら娘可愛さでも父上w
最終的に大恥かくのは娘なんだから(・ω・)

社交界でびうするのもタイヘンなんですね~。
アレクさんもやはり貴公子、ちゃんと中身を見ているから、マリーさんのことがなくてもきっちりチェックですね。

このシーンのお話は、マリーさんの視点でも読んでみたいですねw この展開をどう心に感じて思うのかなって気になる。スザンヌさんに対する心情。さすがに同情とは違うものを考えてそうだけど><
アレクさん説明がんばれ!w

NoTitle 

淑女教育過程があるのですか!!
(*_*;

こっちらの学園にもお嬢様学科がありますが、それとは比べものにならない濃密な過程だ。。。。私の設定がペラペラなのが良く分かります。。。

社交界も大変だなあ。。。

ユズキ様 

今晩は^^/

閣下、ダメですねぇ(爆)

>まさに「顔洗って出直していらっしゃい!」
彼女はやはりテロネーゼの足元にも及ばない雑魚でした。ある意味今のスザンヌを作ったのは激甘な父の所業ですね^^;

>社交界でびうするのもタイヘンなんですね~。
はい、この世界では 一般市民にもきちんと教育を受ける権利を与えられているので、貴族もより高みを目指す教育が開始されました。アレクも侯爵家を守らなくてはならない人なので、それなりに考えは持ってます。

>このシーンのお話は、マリーさんの視点でも読んでみたいですねw
途中からマリー視点に持っていきたいと思いつつ、中々切り返しが難しくて戻れないと言う^^;
スザンヌに対する感情としては表向きはどうあれ内心複雑でしょうねぇ。そこは書かないと上手く表現できないと思うので、出来れば何処かで切り替えたいと思っています。

いつもコメント有り難うございます。

LandM様 

今晩は。

>淑女教育過程があるのですか!! (*_*;
はい。こちらの世界では一般市民も一定の教育が施されるようになってから、貴族社会もより高度な教育をと言う事で正式なカリキュラム式なものがつくられました。

>こっちらの学園にもお嬢様学科がありますが……
おお!お嬢様学科があるんですね。やっぱり礼儀作法全般の教育はあるんでしょうね。
こっちも学校的なものも実は設定として一度考えたんですが、そぐわない気がして却下しました。
設定として大筋は考えてますが、私も細かい所は書きながら頭の中で纏めている部分も沢山ありますよ。
書いていると映像として漠然と見えて来る事も多いのでそういう時は助かります(笑)

いつもコメント有り難うございます。

貴族社会は生きづらい…… 

VRゲーム冒険系ライトノベル投稿サイト
夢園日記を運営している岡崎 大介です。

わずか17歳で婚期を逸脱って今の世じゃ
考えられませんね。

とは言っても世界史的には10何歳で
他家に嫁ぐなんて話はよくあったみたい
ですから、それほど浮世離れな話では
ないようですね。

30歳以降でも結婚できていない現代
社会の現状を見てマリエッタがどう反応
するか見てみたいです
(これこそ浮世離れですがね……)

岡崎 大介様 

今晩は。お久しぶりです。返信遅くなりました。

>わずか17歳で婚期を逸脱って今の世じゃ考えられませんね。
17歳から2年以内なので、17歳~19歳が婚期となる設定です。
 今の時代からしてみれぱ早婚になりますが、異世界設定では婚期が早いのは常識化している感も否めませんね。特に令嬢の場合は。(子息の場合はそうでなかったりもありますが)

日本でも戦前はかなり早婚でしたし、江戸時代などは女性は15~19歳が一般の初婚年齢で、24歳で未婚だと「塔がたった」などと言われていたようですよ。
海外でも今よりも昔の方が早婚傾向にありましたしね。

マリエッタが今の社会現状を見たらきっと、正に浮世離れの世界でしょうね。
「こういう世界もあるのですね……」
とか、言いそう(笑)

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