ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《139.対 面4》(アレク視点)

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「貴女は未だ御存知無かったようだが『また会いたい』と言われれば『機会があれば』『何れ、また』と言うのは、あからさまに否定するのが失礼だと感じた時に使う社交辞令的返答なのです。ですからあの時貴女に告げた言葉は形式的な社交辞令にすぎません。お分かりになられますか?」

「でも機会があれば会って下さるのでしょう? 今日もこうやってお会いして下さっているのだし」

「望んで会っているのでは無く、正確には強制的に会わされているにすぎません。正に不意打ちと言う状況です。貴女とは偶然何らかの席でお会いする事があったとしても、声を掛けられれば面識のある者として無視をしない程度に挨拶位は交すでしょうが、私から声を掛けることは有り得ない。その程度と言う事です。まあ、面識が有る無しに関わらず声を掛けられれば誰とでも挨拶はしますけれどね。社交的常識としてね」

「でも、お父様はそんな事を仰らなかったわッ。侯爵様は私に好意を寄せている様だと……」

「ボフテンヌ伯が貴女に私の事を何と思い告げたのかは関係ない。私はあの茶会の席で一貴族としての社交的立場で常識的な態度を取っただけの事。貴女に社交辞令的以上の特別な感情を持ちあわせている訳では無い。許よりそのような事は有り得ない! このマリエッタ以外の女性にはね」

「そんな……」

「貴女は御存知ないかもしれませんが、私が閣下を介してお会いした令嬢は貴女お一人ではありません」

「「えっ?」」

意外だった。これは如何やらボフテンヌ伯爵も知らなかったようだ。

「実は貴女を含め4人の令嬢方にお会いしました。当初全てお断り申し上げたのですが、上司たる閣下の顔を立てる意味で、一度だけとの条件で貴女同様にお会い致しました。しかし、このような事態になるのであれば、やはりお会いするべきでは無かった。今更申し上げても詮無い事ですが」

「ホントだわ。私はずっと以前より侯爵様をお慕いしていましたのにッ」

「同じような言葉を、私は夜会に顔を出す度に何人もの令嬢等から耳にしています。ですが誰の言葉にも今まで頷いた事は無い。それは何故だと思われますか?」

そう告げると、私は感情の赴くままマリエッタを愛しげに見つめた。
マリエッタは途端に頬を染め、恥じらいながらも私を見つめ返してくれている。

「アレクシス……」

「しっ、信じられないわッ。……何なのよ!」

心なしか令嬢の頬も少し高揚している。我等にあてられたのか?

「お分かりいただけましたか? 私にはこのマリエッタ以外有り得ないのです」

「……おっ、お父様ッ、何とか言ってよ! お父様が任せておけって仰ったのよッ」

「あー……、いや、スザンヌ……。だが、この状況では……」

「しっかりしてよ! お父様だけが頼りなのにッ!!」

「そっ、そうだな。うん、よし。任せておけ!」

「…………」

有り得ない……。
しどろもどろで、何処か不安気だったボフテンヌ伯爵の表情が一気にして好転した。
駄目だ……。伯は娘の言いなりだ。
こんな風だからこのような我儘な令嬢が育つのだ!。

「あー……、グラッセ侯爵、そっ、その令嬢には既に婚約者がいるようだからだな……、その様な令嬢と懇意になっても先の望みはないのでだなぁ……」

……言いたい事は分かるが全く説得力が無い。

「正式には婚約申請をしている者が居ると言う事です。既に申請からひと月以上になりますが認められてはいない。希望は持てます」

「だ、だが先が見えないのであればその様な令嬢よりも他の……」

「そうだ。グラッセ侯爵、何もよりにもよってそのような令嬢を選ばずともそなたほどの人材ならば幾らでも他の……。そうだ! このスザンヌ嬢が気に入らぬのなら、ヨルダン家のパシリア嬢は如何だ? 彼女は確かその者と同じ茶褐色の髪に似たような瞳の色をしておった。気立ても良かったぞ。うん」

「閣下! それではお話が違うではありませんか!」

「だが、当人がここまで有り得ないと言っているものを無理強いは出来ぬだろう? あの話は如何様にでもするから」

「……そう言う事でしたら……。すまない、スザンヌ。私の力不足だ」

「何を言っているのよ、力不足って……。酷いわお父様ッ。何故説得できないのよッ。お父様だけが頼りなのに。私の望みは今まで全て叶えて下さったじゃない。だのに何故侯爵様は出来ないのよ!」

「…………」

……そんな約束事をするからこんなに我儘な娘が育つのだ。
きっと淑女教育も計画性も無く娘の気分に合わせて進めていたのだろう。
話しにならないな。こんな事では20歳所かそれを過ぎても終わるとは到底思えない。
それにこの期に及んで今度は内輪揉めとは呆れ返る……。
おまけに今の『あの話し』とは何だ?
やはり、二人の間には何かの盟約がありそうだ。

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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。


それにしても閣下も伯爵も事がうまくいかないのか完全にアホになってますね。
その状態でよく今まで陰謀巡らせてこれたなって思います。
スザンヌにつきましては、確かに甘やかされすぎてどうしようもないですし、なにこの茶番って思ってしまいます(笑)

とはいえ呆れながらもちゃんと探りをかけてるアレク、マリーとの仲を見せつけながらもやることはやろうとしてるのですね。
あともう少し、アレクは茶番劇を我慢して真相を掴んでほしいな。

NoTitle 

こんにちわ(^ω^)

伯爵と閣下(笑)
まともに相手をさせられるアレクさんが可哀想な展開にw
世間知らず度を猛烈アピールする結果に終わっただけのスザンヌさんはもうしょうがないけど、パパ上降参早すぎ(笑)

パパ上と閣下はどんな悪巧みをしていたのでしょう。しょうもなさそうな感じはしますが(・ω・)
アレクさんとマリーさんの前に立ちふさがる障害としては、役不足満点な感じの三人ですネ☆

yama様 

今晩は。

閣下は今まで従順だったアレクが急に変わってしまって戸惑っている感があります。加えて時折睨まれたりするとアレク、実はお父様似で、父である元上司に睨まれているようで実に居心地が悪いようです。(いつか閣下目線で書けたらまた面白そうですが(笑))

スザンヌは思いっ切り周囲を引っ掻き回してますね^^;
でも、彼女のお蔭で周囲が巻き込まれてボロが出ている状況なので、その連鎖反応が良いように出てくれればと思っています。
その中で、アレクには何かを見つけて貰わなければならないので、彼は大変そうですが、頑張って貰いたいですね。

いつもコメント有り難うございます。

ユズキ様 

今晩は。

>伯爵と閣下(笑) まともに相手をさせられるアレクさんが可哀想な展開にw
本当にアレク、いい迷惑です(笑)
閣下が余分な人材を連れて来ることは予定外だったので何か思いっ切り大変そうです^^;

>パパ上降参早すぎ(笑)
ここ、実はちょっと悩んだんですが、ずるずる長くするのも何だか時間の無駄のような気がしたので思いっ切りカットしちゃいました(笑) どのみち閣下に靡いて貰わなくてはならなかったので。。。

>パパ上と閣下はどんな悪巧みをしていたのでしょう。しょうもなさそうな感じはしますが(・ω・)
おっ、スルドイ! 確かにしょうもない理由です。でも、パパにしてみれば可愛い娘の為に重要だったんでしょうね(苦笑)

>アレクさんとマリーさんの前に立ちふさがる障害としては、役不足満点な感じの三人です。
正しくそうですね。アレクもマリーも意思は硬いので見事返討にしてくれる事でしょう^^

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

こ・・・これでは淑女じゃないYO!!
<(`^´)>

淑女はもっと気品とエレガントかつ相手を追い詰めないと・・・。
これでは単なる我が儘娘なだけではないか。。。
( 一一)

LandM様 

今日は。

はい、全然淑女じゃないですね。ただの我儘娘です^^;
これだから17にもなって淑女教育終了出来ないんだw(苦笑)

いつもコメント有り難うございます。
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