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ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《145.決 心》

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帰路につく馬車の中で、思いがけない言葉をアレクシスから貰った。

「今日のマリーには本当に感心させられた。想定外の出来事から始まって、どうなる事かと気を揉んでしまった事もあったけれど、本当に良くやってくれたよ」

「そんな。何もかも助けられてばかりで……。最初は本当に如何しようかと思ったのよ。あの大切な指輪をなくしてしまって、アレクに会わす顔が無くて……。見つからなかったら……、ううん。何があっても失くすなんて許されるものではないと、おもっ」

「それは無いッ。何があろうと何が起ころうとマリーに対してそれだけは有り得ない! それもあんな指輪一つごときで……。私のマリーを思う気持ちの大きさを見くびらないで欲しいな」

言葉を紡ぎかけた途中で、間髪入れずに否定されてしまった。

「……あんな指輪ごときって、家宝の指輪なのよ!?」

グラッセ家に代々伝わる王家より降嫁時に王女様が託されたと言う家宝の指輪を、ご・と・き・で片付けられるアレクシスの神経が理解できない……。

「でも、物は物だ。形あるものは壊れる事もあるだろうし、ましてやあんな小さな指輪だ。失くしても責められないよ。今回はマリーが悪い訳じゃない。盗まれたんだ、不可抗力だよ。それに私の周囲を色々と騒がせていた連中を見くびっていたのは私自身だ。あれ程の手段に出られるとは思っていなかったから落ち度は私にもある。だからこれはいわば上手く配慮できなかった私の責任でもあるんだ。マリーが責任を感じることは何一つない。詫びるのは私の方なんだ。私のせいで、マリーには随分と嫌な思いをさせてしまったて、すまなかった……」

「そんなッ」

まさかアレクシスから謝られるなんて思ってもいなかった。

「それに手段を選ぶ暇が無かったとはいえ、多くの令嬢を巻き込み傷つけてしまった事も事実だ。マリーにはこれからも色々と教えて貰わなければならない事が多くありそうだ。マリーのように広い心が持てるように私もしなければね」

「私こそ! 今回の事で、行動力と決断力の大切さを身に染みて理解したわ。私……色々とつい考えてしまうから駄目なのよね……。直ぐには変われないと思うけれど『どうしよう……』って思ったら『考え込まない!』って自分に言い聞かせようって思っているの。私もっと強くなりたい。お母様やアリシラ様のように。そしてアレクの隣に居ても誰からも何も言われることの無い立派なレディになりたいわ」

「ああ、マリーッ」

いきなり引き寄せられ、強く抱き締められた。

「アレク……シス……」

「嬉しいよ、その言葉。私の為にそこまで決断してくれたことが……。マリーは優しすぎるから中々に難しい事かもしれないけど、確かにそう言う考え方は今後私の隣に立つなら更に必要になって行く事だと思うからね。我が家のようにややこしい家では色々難癖つけてくる輩もいるし、強くなれてそれにこしたことはないからね。でも無理だけはしないでくれよ。私の前では今のままのマリーでも全然構わないんだから」

薄笑いを浮かべながらアレクシスは優しげにそう告げた。
グラッセ家は王室との繋がりもある由緒正しき家柄だ。それを思えば当然の事だと思う。
私の知る限り、そう言う家の奥方は皆かなりしっかりとされている方々ばかりだ。幸いその中にはあのアリシラ様もおり、筆頭として携わっているように思われる。

「私、アリシラ様になりたいわ」

「えっ? あの、叔母上のように?!」

私の言葉に、抱き締める腕を緩めて少し途惑ったようにまじまじと私の顔を見つめている。
何か、不味い事を言ってしまっただろうか……?

「いつでも凛とされていて、とても素敵だもの。憧れるわ」

「……いや、それは、如何……かな?」

「どうして? アレクはアリシラ様を尊敬していらっしゃらないの?」

「勿論尊敬はしているよ。ただマリーに叔母上程の完璧主義にはなって欲しくはないかな……。マリーには傍に居て安らげる人でずっと居て欲しいから」

「私といると安らげるの?」

「勿論。マリー程私の心のオアシスになれる者はいないよ」

「嬉しいわ。でも、そう……。うん、分かった。ではアレクの傍では変わらない私でいるわ。それ以外はアリシラ様を目指すわ」

「うーん、少し微妙な気もするけど、マリーが叔母上程完璧になれるとは思えないから、分かった。ならば応援するよ」

「何? その言い方、複雑だわ」

「はははっ。マリーにそう言う気持ちがあるならば、そんなに気負わなくても良いよ。こういう事は何事も経験だから。その内上手くなって行けるものだよ」

苦笑いが微妙なのだけど……。

これから先、まだまだ色々な問題もあるし今の私には大変そうだけれど、アレクの傍にずっといられるのならば、何でも頑張れる気がした。

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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。

ふふふっ、話数としてはかなり長い1日の出来事となりましたよね。
それだけとっても濃くて展開が大きく動いたのでしょう。

マリーもどうなるかと思ったけどお疲れ様、ほとんどアレク達の指示に従ったようなものですけど、前よりかは上手に立ちまわれるようになったかな。

『どうしよう……』って思ったら『考え込まない!』

まあ、そうですよね、マリーのようなタイプは負の思考スパイラルに陥りやすいからそういう取り組み方はいいかもね。
ただ何も考えていないようになるのはやめてほしいけど(笑)

まあ、アレクも今のままのマリーでもいいかもしれないけど成長の阻害になるほどまではあまり甘やかしすぎないようにしてね。

yama様 

今晩は。

私もこんなに長い1日になるとは思ってもいませんでした^^;
最初エピソードが短すぎると思い、カットしたものを元に戻したら長くなりすぎたと言う^^;でも、その分内容は濃くなったのではないかと思ってます。

人間急には変われるものではありませんがマリーも、この濃い1日でかなり得るものはあったと思うので、それが今後の成長に促されて行く事を祈るばかりです。

>ただ何も考えていないようになるのはやめてほしいけど(笑)
確かにマリーは素直すぎるので、そこと、アレクの甘やかし振りも注意が必要ですよね(爆)
アレク、マリーが何をしても許しそうだから(笑)

いつもコメント有り難うございます。

  

NoTitle 

おはようございます(^ω^)
溜まっていたぶん、一気に拝読しました~。

閣下の狼狽えっぷりが可愛いような可哀想なような(笑) そうかあ、アレクさんのお父上を彷彿とするほど、アレクさんは立派に育ったってことなんですね~。きっと、小僧め、小僧め! とか絶対思っていただろうけど(笑) ハッと気づけば慌てちゃうほど追い詰められちゃって、ナンカとにかく閣下ガンバレ!w

マリーさんの目標はアリシラ様ですか・・・w キャラが違うから無理そう、というのはアレクさんと同意見だけど(笑) もっとも身近なお母様を目指したほうがいいかもマリーさん!w でも、マリーさんはきっとマイペースなまま大人になっていきそうな気はします(・∀・) 男って自分色に染めたがるところがあるじゃないですか。でもマリーさんはそういう染まり方はしない感じがするw

NoTitle 

長い一日?でしたね。
それだけマリーと会えた感激はひとしおですね。
アリシラ様が目標!!

・・・目標の人物がいることは言いと思いますが、
マリーが凛とした人物になることがあまり想像しにくい。。。
確かにマリーが淑女!!になっていく過程を見ていくのは楽しみでござる。(*´ω`)

ユズキ様 

おはようございます。返信遅くなりました。
一気に拝読有り難うございます^^/

>閣下の狼狽えっぷりが可愛いような可哀想なような(笑)
ここで実はマリー視点を入れようか悩んだんですが、マリーの気持ちは想像できても、閣下の心情までは皆さんきっと容易に理解して頂けないだろうなと思い、反応怖かったですが思い切って入れる事にしてみました~。そう言って頂けて良かったです^^

>マリーさんの目標はアリシラ様ですか・・・w 
そうなんですよ。目標は高く! きっとマリーではお母様のようになるのもおそらく無理とは思うんですが^^;
>マリーさんはきっとマイペースなまま大人になっていきそうな気はします(・∀・)
そうそう。自ら先んじてテキパキ行動に移せるようになれるとは思いません。皆さんの輪の中に入って静かに話を聞き平素を保つ。いわばマイペース。でも、追い詰められればそれなりの対応は取れる人だと思ってます。(悪く言えば追い詰められないと行動に移せない派(笑))
うん。マリーは、何色にも染まらず、どちらかといえばきっといつの間にか周囲が巻き込まれて「あれ?」って感じになりそうな気がします^^

いつもコメント有り難うございます。

LandM様 

おはようございます。返信遅くなりました。

>長い一日?でしたね。 それだけマリーと会えた感激はひとしおですね。
本当に!こんなに長くなる予定は無かったんですが^^;(笑)

>アリシラ様が目標!!
目標は高く! 
私も、絶対にマリーはアリシラ様のようにはなれないと思います(爆)
 どちらかと言えば、状況を読み取り人に気付かれないようにこっそり対処していそう。
 目標は高く、でもそれと同じになる必要はない。マリーはマリーのままでしっかりアレクをサポートしていければいいのです♪
 
 何処までマリーの成長過程を書けるか分かりませんが頑張ります^^/

いつもコメント有り難うございます。
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