ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《148.事 情1》

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こっちは真剣なのに、アレクシスは声をあげて笑っている。

「何よぉ。信じられない……」

余裕有あり気であからさまな態度に何だか少しムカついた。

「その頬、リスみたいだね。マリーは本当に可愛いなぁ~」

「可愛くなんかありませんッ」

恥ずかしくて真っ赤になりながらも、確かに頬は膨らませて叩きまくっていたかもしれないけど、リスって何よ、リスってッ!

「何? もしかして、怒っているの? マリーが怒るなんて珍しいよね。あっ、もしかして妊娠した? 妊婦はホルモンのバランスで怒りやすいって確か聞ぃ」

「ッ、してません!!(多分……)」

あまりに羞恥の無さすぎる発言に、咄嗟に声を張り上げ頬を膨らませて睨みつけた。

こんな話を普通馬車の中でするものだろうか?
それにアレクって、こんなに軽くて羞恥心の無い人だった?

無作法な発言に頬を真っ赤に染めながらも、その言葉をかろうじて呑み込んだ。

「そうか。それは残念……」

「全然残念なんかじゃありません!」

けれど、続くアレクからの言葉はあまりに意外なものだったので、抱いた不穏な感情はみるみるみるうちに鎮静化してしまった。

「何それ、傷つくなぁ……」

「えっ? 傷つくって……、訳が分らないわ」

正直に言うと妊娠の有無はハッキリ言ってまだ分らない。
これと言った自覚症状はまだ無い。強いてあげれば月経の不規則により計り知れないものはあるけれど、それは多分大丈夫だと思う。
元々私はストレスから月経が不規則になる方で、ロナルドとの婚約話を聞いてからずっと止まっていた。その後、アレクの所に来て多少ストレスから解放されたのか、直ぐに一度はおとずれたものの、けれどそれも数日で終わってしまい現在に至っている。
こう言う不規則な状況ではおそらく妊娠なんてしにくいだろうと思うし、元々マニエール家は子宝に恵まれ難い家系だ。女性についての有無は分らないが、特別な話は聞いた事が無かった。どちらにしても、一夜の出来事で……と言うのは、確率的にも少ないと思っている。

「だって、マリーは最低でも男の子二人は欲しいんだろう? だったら早い方がいい。性別の比率から考えても最低4人は産まなきゃならないだろうし、家系からしてマリーが男腹だとは到底思えない。うちも比率は平均的だし、きっとそれ以上は産まなきゃならないと思うんだよなぁ……」

「ええっ?!」

「『ええっ?!』て……、何? マリーは、そう言う事全然何も考えてなかったの?」

「えっと、いえ、それは勿論考えてはいたけれど、漠然と……。できれば男の子が必要だとは思っていたけれど、そんなの生まれてみなければ分らないし、それにアレクは子供の有無に関係なく私を受け入れてくれるって言ってくれていたから、自然に任せていればその内って……。それにやっぱりこう言う事はきちんと正式に式を挙げてから、普通は計画的にするべきものなのでしょう?」

「勿論普通はそうだよ。けれど、我等の場合状況的にそんな事を考えている余裕はないと思うんだ」

「……如何言う事?」

「マニエール家は家系的に出生率が少ない家系なのだろう? だったら早い内からこう言う事は考えておくにこした事は無いと思わないかい? 私は出来る努力を惜しむつもりはないよ。幸いにして私達は健康体だし、マリー相手に特別計画的な事とか考える余裕も無いとは思うんだけど、そこはきちんと考えて行かないといけないよね。特に私達は跡継ぎ問題を他家より多く抱えている訳だし、男子を授かる為の努力はしないといけないと思うんだ」

どさくさに紛れて何だか恥ずかしい事を言われた気もするけど、アレクがそこまで私の家の事も真摯に考えてくれていたのだと思うと、少し感動した。
私は出来る事ならば何とかしたいとは思ってはいたけれど、そう言う所は漠然的にしか考えていなかった。

「有難うアレク。マニエール家の事をそこまで気に掛けてくれて……」

「だって、マリーに出来れば無理はさせたくないしね」

「無理って?」

「マニエール家の問題は、実の所医術的根拠が何も分かっている訳では無いのだろう?」

「ええ、そう聞いているわ。けれど中々子供には恵まれ難いみたいで……」

「女性については私の調べた所、そう問題視されていないようだけれど、医術的根拠が何も見つかっていないのであれば、それについても皆無だろう? 今までの出来事をマニエール家では遺伝的なものとして受け入れ続けている様だけれど、だったらマリーにその遺伝が無いと言いきれないと思わないかい?」

「!!……。私、そこまで考えてみた事無かったわ……」

「確かにマリーの曽祖父の姉君は多くの子供に恵まれているし、問題は無いのかもしれないけれど、はっきり分かっていないのであれば尚更そこは慎重になっていて損は無いと思うんだ。マニエール男爵は結婚13年目で生まれた唯一の子なんだよね?」

「ええ、そう聞いているわ」

「だったら最悪その計算で行くと、運よく続けて男児を授かったとしても胎児が体内に留まる時間を考えると28年の歳月が必要な計算になるから二人目を授かる確率はかなり高齢になる訳だけど、マリーは大丈夫?」

「えっ?」

「私は心配なんだけど……」

何だか話が飛躍しすぎている気もするけど、突き付けられた現実を冷静に捉えている自分がそこにいた。

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~ Comment ~

NoTitle 

まあ、現実問題世継ぎとの兼ね合いもあるので。
側室とかあると子だくさんになりますけど。
まあ、利家とまつみたいに11人つくる人もいますからね。
あり得なくない話ですけどね。

LandM様 

今日は。

貴族の家にとって後継ぎ問題は大切ですからね。
まあアレクの精神は、意識的には利家とまつに近いかなぁ(爆)
マリーはそこまでは考えていないと思いますが、ある程度はアレクら流されそうな気がする(笑)

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