パウリンの娘

パウリンの娘《第13章1》

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ローレライはゼロに甘えたままではいけないと思っていた。

「怖いなら傍にいてやるぞ」

ゼロが優しくそう言ってくれた。

「大丈夫、お兄様についていて貰うから」

ローレライは無理矢理気丈に振る舞おうとしていた。
本当はずっと傍に居て欲しい。どんな時でも貴方の傍に・・・・。
でも、それは許されない。

「そうか・・・・」

ゼロは少し寂しげにフッと笑った。

何と思っただろうか!?
あれ程までに傍に居て欲しいと願ったのは自分なのに、婚約者が分かるかもしれないと知った途端に自分は不要な者のように扱われていると思ってはいないだろうか!?
そんな事は無い。ローレライの心の中には何時でもゼロが住んでいる。
だから怖かったのだ。
婚約者が分かってしまったら、自分はきっと酷く取り乱してしまう。
ゼロを想い、縋り付いて激しく泣き出してしまうかもしれない。
そのような醜態をゼロの前で曝す訳にはいかなかった。


夕食は部屋に運んでもらい兄と二人で食べた。

「お前と二人きりで夜を過ごすなんて子供の時以来だな。父上と母上が何処かの舞踏会に出かけていて俺の部屋に食事を運んでもらって、夜も一緒に寝たよな」

「そうね。ランドンが来る前は二人だけだった時はいつも一緒だった」

食後の紅茶を飲みながら昔話を懐かしんだ。
パウリンはとても気まぐれだった。
望んでいない時はあんなに光っていたのに、待っていると中々光ってはくれない。
今日はずっと待っているのにゼロと別れて兄と二人きりになると、ずっと変化はないままだった。

“心を見透かしているみたい・・・・”

ローレライはそう思った。
 
ずっと光らないでくれたら少しでも長くゼロと一緒にいられる!?
そうしたら私は・・・・。
そう思った時だった。

「レライ! 光ってる!!」

兄が声を上げた。
服の内側から微かに光が漏れていた。
ローレライは首に掛けられたパウリンの絹袋をそっと外した。
布袋に指を入れパウリンに触れる。
心臓は自分の物で無いように高鳴り打ち続ける。
思わず目を閉じた。
大きく深呼吸するとパウリンを掴み取り出した。
目を開きそっと覗き込むと、そこには黒髪の男性が軍のようなものを指揮する姿が映し出されていた。

“・・・・似て・・・・いる!?・・・・”

遠目で顔立ちまでははっきりとは分らない。
しかし髪を振り乱し、叫ぶその勇ましい姿にローレライは釘付けになった。

「もっと近くに・・・・」

無意識に、パウリンに向かってそう呟いていた。
すると映像が近づき、そして映し出されたその姿、瞳の色にローレライは震えた。

「お兄様・・・・どうしよう・・・・私・・・・」

ローレライは止めどなく流れる涙を抑える事が出来なかった。

「レライ!? 見えたのか!? どんな奴だった!?」

兄の質問攻めにローレライは泣きながらニッコリ微笑んだ。
見間違える筈はない。
あの素敵な薄紫の瞳を!

「嬉しい・・・・」

ローレライは確かにそう呟いた。

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NoTitle 

わぁ~~~v-10
思わず顔はにやけてしまいましt~~~v-238
でもまぁ、事はすんなり進まないでしょうねぇ~…e-263
でも楽しみにしてますね~^^/

はのん様 

有り難うございます^^
私も書いてて顔ニヤケテました(笑)
こう言う場面は書いててホントに楽しいよね♪
今までの流れから言ってすんなり進んだらちょっと作風変わっちゃうし、基本ジレ甘作品なので(苦笑)
でも、お楽しみに^^♪
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