ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《149.事 情2》

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言われた現実に目の前が一瞬、真っ暗になった。
確かに母は男児を産む事が叶わず、父は結婚13年目に生まれたと聞いていた。マニエール家では子は一人でも授かればそれで良しとされる傾向の様なものがあるらしく、私の様に女であっても跡継ぎの為に『次は男児を!』と周囲から責め立てられる事は殆ど無いと聞く。子を授かる事が出来ない時は親戚から養子を貰っており一番最近では曽祖父が一番近しい親族から男の子を養子に迎えたと聞いている。それが数年前隠居した祖父に当たる。

「……、私そこまでは全然考えてなかったわ……」

「だろう?」

確か母が私を産んだのは結婚8年目だと聞いている。母の実家は兄妹も多く、どちらかと言えば多産系の家系だ。その母ですら妊娠までにそれだけの期間を要したのだ。もし私が生殖的遺伝において父に似てしまったとしたら?
今までマニエール家の女子でそう問題を抱えていると言う話しは聞いた事が無かったが、はっきりとした原因が分かってい無い以上、遺伝的な事も踏まえて私に何も無いとは言い切れない所があるかもしれない。。。
そう考えるとマニエール家だけでは無く、これからグラッセ家にも跡継ぎ問題を今後抱えさせてしまうのではないだろうか?

「状況が如何か掴め無い以上、とりあえず第1子は早い方がいいと思わない?」

「確かに、そうかも……」

「とりあえず私は、3年は自分たちの力で頑張ってみても良いのではないかと思っているんだ。新婚の内は周囲から色々邪魔されたくないと言う思いもあるんだけど、子を望んでいる夫婦のひとつの節目とされているのが3年目だからね。それでできなければ医術師に相談するのも一つの手ではないかと思っているんだ。私達はまだ若いしそれで十分だろう?それに最近では王太子殿下の御子の問題で医術師も色々研究して色々な薬を新たに開発したと聞くからね。色々な意味で私達の生まれた頃より確実に医術は進歩していると思うんだ。きっと何か良い対策方法を見い出せるかもしれないしね」

「……そうね……」

王太子夫妻には結婚3年を過ぎても御子が授かる気配が無く、心配した王陛下が医術師に対策を求めたのは有名な話だ。結果その後、現在3歳になる王子様と1歳になる王女様がいらっしゃる。

アレクは笑顔でそう言ってくれたけれど、その現実を受け止めると、私は何だか急に落ち着かなくなって来てしまった。

「マリー?」

「……あのね、アレク……私ッ……」

言葉が詰まる……。私の心は乱れていた。
最悪、子供に恵まれなければ……、マニエール家は駄目でもせめてグラッセ家だけは絶対に絶やせないと思った。
私が生む事が叶わなければ、或いは……。
考えるのは止そうと思いつつもある事が頭をよぎる。この国では跡継ぎのいない場合婚外子の存在も認められている。
一瞬だけ考えてしまったが、アレクの告げてくれた言葉を思い出し大きく首を横に振った。

大きな溜息を一つこぼし頭を擡げると、そこには今の今までずっと笑顔を絶やさなかったアレクシスの表情が険しいものとなっていた。

「……まさかとは思うけれど、馬鹿な事は考えいないよね? 変な事を言い出したら、今度こそ許・さ・な・い・か・ら・ね、マリー……」

ゆっくりとした口調で静かにそう告げられ、急に寒気が走り背中に冷たいものが何か流れた。

「かっ、考えてないわよ。うん、全然考えてないわ!」

私は慌てて脳内に浮かびかけた言葉を打ち消し、大きく首を再び横に振りながら叫んだ。

「私はね、何があっても、もう絶対マリーを離さないと決めているんだからね! 念のために言っておくけどグラッセ家には親戚縁者はごまんといる。私一人に子が成せなかった位で大きな問題にはならない。声をかければ皆喜んで跡継ぎになってくれると思うよ」

「そっ、そうなの。それは良かったわ。うん、心強いわッ」

苦笑いを浮かべながらそう取り繕ってはみたけれど、どうやら私の考えている事なんてアレクにはみなお見通しのようだ。
『自身の事において下手な口は叩けない』
この時、真剣にそう思った。
と同時にここまで大切に思われている事が嬉しくてならなかった。
全てにおいて私はアレクに劣っていると思う。けれどそんな私がアレクの為に出来る事があるならば何でもしたいと言う思いは日に日に強くなっている。
私がアレクの為に成し遂げられる可能性のある唯一の偉業はといえば、やはりアレクの子を産み落とす事以外他にないと思う。ならば……。

「……いえ、そうじゃないわ」

「えっ?」

「そんな事はさせないわ!私、頑張るからッ。絶対にグラッセ家の跡継ぎを産んで見せるから!!」

「うん、その粋。では、今夜から頑張ろうね」

「えっ?」

破顔しそうなほどの満面な笑みでそう告げられて、私は頬を赤らめながらも少し嵌められた気がした……。


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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。

もともと血筋で子供ができにくいとかそういうことはよくわからないのですが、やっぱり夫婦間で子供ができるできないってのはやっぱり気になる人はいるんでしょうね。

マリーだって自分が子供を生みにくい体質かもしれないと不安がるのはわかるけどアレクの言うとおり、バカなことを考えるのはそれこそアレクを傷つけるのでそこは自信を持ってほしいですね。

幸いなのはアレクの言うとおり、不妊対策を国で行おうとしている事、こういう時女性が一方的に責められることが多いのでそこはアレクやマリーのこれからの努力で変えていってほしいですね。


『では、今夜から頑張ろうね』

このセリフでいろいろ吹っ飛びました(笑)あんたそれが言いたかったのもあるじゃんってっ!(笑)

抱けば抱くほど独占欲が湧く、そしてどうしても彼女のお腹に自分も命を宿らせたいって気持ちが溢れて溢れてしかたないんでしょうねえ。

読んでる側としても避妊してるかしてないか、そして妊娠を意識したイチャイチャかどうかがr18ものとしての醍醐味でドキドキ感が増していってニヤニヤがとまらなくなるんですねえ(笑)

マリーだって困惑してるもののやや嬉しそうなもよう、今夜は頑張るとしてもどんな風に愛されるのかなあ。

yama様 

今晩は。

この子供ができにくいと言う一つの要因としては現在の世で言う所のものは実は考えていたりします。でも、それを表だっていう事は医術的にそこまでの研究が進むと言うのは有りえないと思えるのでそれは多分伏せるかな?可能性として考えられる事としてもしかしたら何時かチラッと明かされるかもしれませんが。。。
やはり不妊の場合、原因がはっきりしないと、どうしても責められるのは決まって女性なんですよね。それにより離婚を強いる事があるのも事実です。悲しい事ですが。。。
でも、こちらの場合はアレクは問題にしていないようですし、口を挟む親もいないしこういうケースとしてはマリーは恵まれた環境にあるのだと思います。

>このセリフでいろいろ吹っ飛びました(笑)あんたそれが言いたかったのもあるじゃんってっ!(笑)

はい。そうなんです。当初の予定ではアレクならそれ考えそうだと思いつつも、私は話を早く先に進めたい意向があったのでそれを回避することを試みて話を書き始めていたんですが、結局なんか勝手に結局アレクが突っ走ってくれたと言う^^;
何かこのセリフはもう天命だと思い受け入れ、とりあえず採用させて頂きました。(いくら排除しようとしても流れ的に出て来るセリフはやはり必要だと思う事にしています)
それにとってもアレクの心情を表した最もらしいセリフですしね(爆)

さあ、それで結局どうなるかは、これからですねぇ。。。
得意な場面ではないので、とりあえずちょっと考えている所はあるんですが……、とりあえず頑張ります!(笑)

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

まあ、利家とまつも織田信長に一回クビにされて収入がないときでものすごい貧乏な生活をしていたときでも子どもつくっていましたし。愛と子どもさえあればなんでも乗り切れる・・・??かな。
何にしても利家とまつが参考になりそうなカップルですね。
なんといっても、二人だけで子ども11人も作った戦国時代を代表するバカップルですからね。

LandM様 

今晩は。

そんなに利家とまつを彷彿とさせる二人ですか?(笑)
確かにバカップルですからね(爆)
この二人はどんなに子沢山になったとしても金に困る事は無さそうですがね。

>愛と子どもさえあればなんでも乗り切れる・・・??かな。
そうですねぇ。最低限の生活が守られ、その上で貧困な食生活でも文句言わずに黙々と食べてくれればクリアできると思います。私的には(笑)

いつもコメント有り難うございます。
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