ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《151.帰 宅2》

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去りゆく馬車を見送りながら、火照った頬を夜風で沈めようと馬車の姿が見えなくなるまで頬を手で押さえながら時折風を送っていると、ヨハンナさんが笑顔で目を細めながらこちらを見ている姿に気付き、慌てて夜空を見上げた。

「きっ、今日は星が綺麗ね。明日もきっと良いお天気になりそうで良かったわ」

「明日はマス二エラまで出かけられるとか。旦那様もお忙しい方ですので、休日の間ずっとゆっくり過ごすと言う事は出来ないと思いますが2、3日、羽を伸ばされるのもいいかもしれませんね。マス二エラは良い所ですよ。叔母が子供の頃に行ったことがございますが、気候も温暖ですし……」

「そうね」

ヨハンナさんはマス二エラまで行く事情についてはまだ何も知らない。
今日ここに戻るなりアレクシスから『明日から2、3日マス二エラまで出かけるからマリエッタの仕度頼んだよ』と言われただけなのだ。

「あら、マリエッタ様はマス二エラに行かれた事が?」

「えっ? ええ」

「あちらにお知り合いが?」

「ええ、まあそんな所です……」

祖父に会う事を私の口からヨハンナさんに話しても良いものか、私は瞬時に判断がつかずにこの時は口を濁してしまった。
その私の様子を見て、いつも瞬時に状況を読み取り理解してくれるヨハンナさんは、にっこりとほほ笑むとそれ以上は何も聞かずに話題を変えてくれた。

「明日も出かけられるのでしたら今日はもう遅いですし早めに休まれた方が良いですね。お食事は如何なさいますか? 軽食でしたら直ぐにご用意できますが、お疲れでしたら先にお湯になさいますか?」

「そっ、そうね。先にお湯を頂こうかしら。今日は色々あって疲れたので……」

「ではそう致しましょうね」

そう告げるとヨハンナさんは私を邸の中へ入る様に促した。




「お嬢様、お湯加減は如何でございますか?」

半身浴で湯船に浸かった私の肩に湯をかけながらヨハンナさんが声をかけた。

「大丈夫よ。後はもう、本当に大丈夫だから」

「そうでございますか? でも、最後までしっかりとお世話をさせて頂く事が私の役目ですので……」

「でも、今日は一人でゆっくり考えたい気分なの。今日の事やこれからの事についても……。色々あったし、意を汲んで頂けると有難いのだけれど……。ねっ?」

「……これから……の?」

そう告げると今度は少し慌てた様に言葉を付け加えた。

「あっ、そうですね。そうでございますね。それは失礼致しましたッ。では、何かございましたら直ぐに仰って下さいね。あちらで待機しておりますので」

「ええ、有難うございます」

湯場から出て行くヨハンナさんを見送りながら、何か勘違いされているのではないかと思いつつも、何故かひどく疲れていたので、大きく息を吐き出しながら先程受けたばかりの羞恥を再び思い出し、湯船のお湯をパシャリッと顔に掛けると心を沈めようと試みた。



実はあの後邸の中へ入り直ぐに湯場へと向かっていると、後からヨハンナさんが追い駆けて来て手伝うと言い出した。
確かに締め上げられたコルセットを緩めるのは大変だろうと思っていたし、脱ぐのを手伝ってもらい最初はとても有難かったのだが、まさか後になって中まで入って来るとは思わなかったのだ。

「いえ、大丈夫です。自分で出来ますからッ」

「今日はお疲れでしょう? 大活躍なさったと息子からも聞いております。これ位の事はさせて下さいな」

そう言いながら全身を剥ぎ取られ、たっぷりの泡を立てたクリームのような泡で背中を洗われながら、それでも多少の抵抗は試みた。
うちでも侍女に洗ってもらう事もあったが、基本背中以外は自分一人でも私は平気な方なので、一人で洗う事に慣れていた。

「もう、本当に大丈夫ですから……」

今度は前を洗うと言われて、同じ女性とは言え恥ずかしくて一応前は必死で隠した。

「そうですか? でも、アレクシス様から頼まれておりますのに……」

「えっ? アレクから?」

アレクが『後の事は頼んだよ』と言った言葉の中には、こう言う事もまさか入っていると?
いやいやいや、でもそれは流石に……。

「お久し振りですものね。旦那様の為に、このヨハンナが玉の肌に磨き上げて見せますからね」

「ッ!!……」

ヨハンナさんの意味有り気な言葉に、まだ湯に浸かっている訳でも無いのに、全身が火照って来た。

「まあ、なんて綺麗な桜色の肌なんでしょう。洗い甲斐がありますわ~」

とっても嬉しそうなヨハンナさんの言葉とはうらはらに、私は羞恥心を試されている気分になった。

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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。

女の子は抱かれれば綺麗になるとは聞きますが、
お風呂場でヨハンナさんが語ったようにマリーはとっても洗い甲斐のある状態だったんでしょうね(笑)

そしてマリーの反応からみるにたぶんアレクが帰ったらそういうことになるだろうと、変な意味でやるきなヨハンナさんですねえ。

アレクはアレクで自分のするべきことを終えたらそれこそ手加減はしないでしょうし、これからマリーは体力的にも精神的にもがんばれっって言いたくなる状況ですね。

yama様 

今晩は。

ヨハンナさんはアレクを生まれた時から知っている人なのでアレクが何を思いこういう状況下で如何行動するのかも全てお見通しですので、思ったまま、アレクが少しでも喜んでくれるであろう状況作りに必死です(笑)

何を期待してなんて、もはや愚問ですが、少しでもアレクに喜んでもらおうと頑張っています^^

マリーはと言えば、まだ慣れていない状況ですから一つ一つの言葉に翻弄されてなんか初々しいですよね♪

アレクはもう必死でしょうね。
彼がどうなるかは、既に精神的領域を超えているか?(笑)

まあ、誰に言われなくても、死ぬ気で頑張っている所でしょうからね
(爆)

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

確かに身体を清らかにするのも淑女の嗜みさ!!
マリー!!こういうのを繰り返すことで珠のように美しい肌を作り出すのさ。(・´з`・)

LandM様 

今日は。

そうそうそう。やはりアレクの所のような大きなお屋敷ではこうなっちゃいますねぇ。
マリーの所は貴族とは言えどちらかと言え金に困っている家ですからねぇ。
まあ、マリーもその内馴れて来るかな?(笑)
洗練されて、いつかは誰もが羨む侯爵夫人になって貰いたいですよね♪

いつもコメント有り難うございます。
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