パウリンの娘

パウリンの娘《第13章2》

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ルシオンは想像もしていなかったローレライの反応に呆気にとられた。

「・・・・うれ・・・・しい!?」

あれだけパウリンを覘く事を怖がっていた妹が、覘いた途端に涙し、嬉しい等と呟くとは万分の一にも思ってもいない出来事だった。
レライはゼロに恋していた筈だ。
あいつが相手でなければそんな反応はあり得ないと・・・・!!

「まさか・・・・ゼロ・・・・なのか!?」

.ルシオンも信じられないと言った表情で言葉を口にした。
コクリと笑顔で頷く妹に、掛ける言葉は一つしか無かった。

「良かったな、レライ。本当に良かった・・・・」

優しい笑顔でそう呟くルシオンの姿は少しだけ寂しげだった。

長い抱擁の後で、直ぐに報告に行った方が良いと兄に促され、ローレライは隣の部屋へ報告に向かった。


ゼロは自室に戻ると食事の席以外で殆ど飲むことの無いワインを手にしていた。
ここに来て自室に持ち込む事など無かったが、とても素面な状態でローレライの婚約者が誰であるかと言う結果を待つ等出来なかった。

調査報告に部屋を訪れたシドは、そのゼロの普段あり得ない姿に凝視した。
元々酒は強いのでいくら飲んでも醜態を見せる事は無いがそれでも一人でボトルを空ける程飲むのは珍しい。
既に2本空けている状況にただ事ではない事を理解した。

「何があった!?」

「婚約者を探していたんだ・・・・。仔馬の件も皆、それに繋がっている」

“ああ、それでヤケ酒か!”

シドが“クッ”っと笑った。

「何が可笑しい!?」

「いや、お前らしくないと思って。即断即決即実行がモットーのお前が、そんな事位で何故酒を煽る必要がある!? もぅ自分の気持ちに気付いていたんだろ!? だったら何モタモタしているんだ?」

「何も無かったら、既に言っている。だが、昨夜あの様な事があって、もぅ少し落ち着いたらと思っていた」 

「それで、待っていたらその様か!? ああ、情けない。これだから恋愛音痴の奴には・・・・。ちょっと待て。・・・・何も無かったら既に言ってるって、今まで気付いて無かったのか!?」

「放っといてくれ!」

「何時気付いた!?」

「・・・・昨夜」

「マジかよぉ・・・・」

あれだけ二人の世界作っておいて、今まで気付いて無かったと言うのはゼロらしいと言えば、ゼロらしいが、シドはこれで少しは肩の荷が下りた気分だった。
とは言え、あの娘に婚約者と言うのは寝耳に水だった。
あの娘もゼロに気がある素振りだったよなぁ・・・・。

「それで、婚約者と言うのは!?」

「もぅ直ぐ分かる筈だ」

「あの娘も知らない奴なのか!? だったら奪ってしまえよ!! あの娘の気持ちはお前に向いてるぞ」

「出来る事ならな・・・・。しかし、あいつの背負った運命はそんな生半可のものでは無い。この国の運命がかかっている。私一人がどう足掻こうと如何にかできるものでは無い」

「お前、何言ってるんだ!?」

「後になれば分かる・・・・」

ゼロとあの娘が何かとてつも無い事に関わっている事は確かだろう。
俺にも話せない事とは一体何なのか!?
分らないが、何かシドは大きな歯車が動き出した事は確かであろうと予感した。
ゼロがそこまで言い切るのならば、あの娘との事は終わらせるつもりなのかもしれない。
だとすれば、如何いった形で今後関わって行くつもりなのか?

「ではあの娘をもぅ女として見る事は止めるんだな!?」

「何を言ってる!? 私はあいつを女として見た事等一度もないぞ!」

ゼロは怪訝な表情を浮かべた。

「マジかよぉ・・・・」

シドがそう告げた時だった。
扉の外に気配を感じたシドがゼロと目配せし、合図を送りお互いを黙らせた。
そっと扉に近付くと勢いよく開けた!
・・・・しかし、そこには既に誰の姿も無かった。

ローレライはゼロの部屋の扉の前に立っていた。
中からシドと二人で話している声がする。
他の者に聞かれるのは不味いと思い、後で来ようとその場を立ち去ろうとした時だった。
ゼロの荒げた声が聞こえて来た。
その言葉を耳にし、ローレライはゼロの言う“あいつ”と言う言葉の意味を理解すると瞳に涙を浮かべながらその場を立ち去った。
ゼロの真意も知らずに・・・・。

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