パウリンに導かれて

パウリンに導かれて《第3章3》

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翌朝、目が覚めたローレライは自分がどうやって部屋へ戻ってきたのか直ぐには思い出せなかった。

あれは夢だったのだろうか?

ぼんやりと頭の中に過る記憶を必死で辿ろうとしてみる。
ドレスは普段着では無く、来客用に使われているいつも着るものより上等な素材のもので普段は堅苦しくて身に付けていないコルセットは緩められてはいたが身に付けたまま。夜着に着替える事無くずのまま床に就いてしまったようだった。
そして極めつけはいつも胸に吊るしてあるはずりパウリンが左手にしっかり握ぎり締められていた。

「あっ……」

昨夜の出来事が鮮明に思い出される。
あの出来事は、やはり夢では無かったのだ……。

深いため息をついた時、誰かが扉の外側を叩く音が聞こえて来た。

「お嬢様、お目覚めでいらっしゃいますか? 昨夜は随分とお疲れのご様子でしたけれど、お加減は如何ですか? 大丈夫なようでしたら湯の用意も出来ておりますけれど、如何なさいますか?」

声をかけて来たのは侍女のメイテルだった。

「入るわ」

昨夜コルセットを緩めてくれたのもおぼろげな記憶だが、きっとメイテルに違いない。
聞きたい事もあるだろうに気持ちを察して何も聞かずにいつもと変わらぬ笑顔で世話をしてくれる侍女の心遣いが今はとても有難かった。



湯に入り、少し気分を落ち着かせて食堂へ行くとザビーネは既に食事を終えた所だった。
軽く挨拶を済ませ、自分も席に着く。
ザビーネは今日の午後には発つと聞いている。
昨夜は聞いた事実があまりにも衝撃的過ぎて混乱して何も聞く事ができなかったけれど、落ち着いて来ると聞いてみたい事が頭をよぎり始める。

ローレライは身に付けようとしていたナプキンを再びテーブルに置くと、何か思いを決めたかのように勢いよく立ち上がり、立ち去って行くザビーネの後を追いかけた。

「あのッ、後程お茶にお誘いしても宜しいでしょうか?」

引き止めると咄嗟にそう口にしていた。
その眼差しは逸らす事無く真剣そのもので、ザビーネを射抜くように見つめている。

ザビーネは立ち止まり一瞬驚いた様に目を見開くと、優しく微笑んだ。

「嬉しいわローレライ。私も実はもう少しお話したいと思っていた所よ」

快く承諾してくれたザビーネの言葉に、ローレライは大きく息を吐き出すと、少し肩の力が抜けた気がした。


先程湯に浸かり少し落ち着きを取り戻した時、昨夜驚嘆して言葉を失ってしまった後、ザビーネが自分を労り、話を切り上げて休むように言ってくれたことを思い出した。
だが、落ち着きを取り戻し冷静になればなるほど、もしかしたらまだ聞いておかなくてはならない事があったのかもしれないと思いはじめたのだ。

はっきりいってまだ自分の中で全てが消化しきれていないし、畏怖に囚われてもいる。
けれどザビーネが去ってからでは遅いのだ。
『あの時聞いておけば良かった』と後になって後悔したくはないと言う思いが、ローレライに今までに無く積極的な行動に走らせた。

去りゆくザビーネの姿が見えなくなるまで深々と頭を下げるとローレライの姿には、何か決意にも似たものが感じられた。

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※この作品は「パウリンの娘」の改稿作品です。


現在「小説家になろう」サイトで先行改稿中
●『パウリンに導かれて』を読む(掲載中の「小説家になろうサイト」内に移動します)
こちらでは只今第7章1(30話分)まで改稿中です。

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