パウリンの娘

パウリンの娘《第13章3》

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「悪い。取り逃がした」

聞かれて支障を来すような話でも無かったし、まぁ大した事はないだせろうとシドは再びゼロの対面に腰を下ろした。

「違ったか・・・・。俺はてっきりお前はあの娘に気があると踏んでたんだがなぁ」

「・・・・あいつはあいつだ」

そう言ったゼロの瞳は愛しい者に向けられる男の姿だった。

「・・・・お前・・・・」

「ただの女等と言う悍ましい生き物とあいつを一緒にしないでくれ・・・・」

切なげにそう告げるゼロの姿にシドは複雑な気持ちだった。
あの娘ならゼロを変えてくれるかもしれないと期待した。
確かにゼロは変わった。
自分では気づいていないかもしれないが、女性に対する接し方も今までの様なあからさまに嫌がる素振りを見せる事も無く、寛容な対応を取っている。
それは画期的な出来事だった。
女性に対する特異的な価値観も周囲に害を及ぼすことが無くなれば人がとやかく言えるものでは無い。
もぅ以前の様な害は感じられない。

人や物事に対する価値観は人様々だ。
そう言えばゼロは母親ですら女と認めない。
“母上は母上で女等ではない”と言うのがゼロの自論だ。
特異的な捉え方だがゼロにとって世間一般の言う“女として認めない=特別な存在”なのだ。
それにあの娘は加わる事を許されたのだ。
ゼロの女性観が変わってくれればと思ったのは自分だ。
あの娘と上手く行くようにも嗾けて来た。
だが、この様な形で悩ませ事になろうとは夢にも思っていなかった。
ゼロは一度決めた事を途中で放り出すような者では無い。
あの娘への気持ちを自覚したのならば、奴ならそれなりの覚悟を決めるだろう。
ここまで来たらもぅ見守るしかないとシドは思った。

「まぁ、何があるのか良く分らんが、何れは教えてくれるのだろ!? お前の気持ちがそこまで固まっているならそれで良い。もぅ何も言わんから好きなようにやれ。自分が後で後悔しないようにな」

ゼロはグラスを取ると中に入っていたワインを一気に飲み干した。

「・・・・・私はこれからも、何があろうとあいつ以外の者を傍に置く事は考えられん。あいつに騎士の誓いを立てようと思う。私にはもぅあいつにそれ位の事しかしてやれんだろうからな」

そうでもしなければ、この想いを断ち切る事はきっと出来ない。
ゼロにとって、どんなに落ちぶれようとも騎士としての生き方は自分にとって誇りだった。
新王を立て、国を再建する手助けをする事はゼロにとっての悲願だった。
だが、あいつを手に入れる王に等仕える事は出来ない。
ならば、あいつ自身に誓いを立てれば良い。
王を導くパウリンの所有者を守る事は、国を守る事にもなるのだから。
決断に迷いは無かった。


“パタン”と扉が開かれた音がした。
あまりに早く戻って来たのでゼロは留守にしていたのかとルシオンは思った。

「レライ、早かったな。留守だったのか!?」

にこやかに兄がそう告げた。

「いえ。・・・・シド・・・・シザーレがね、来てたみたいで・・・。あの・・・・込み入った話をしていたのが聞こえたから明日にするわ。私今日は疲れたから、もぅ寝る。お兄様もお部屋に戻って。もぅ大丈夫だから。おやすみなさい」

早口でそう告げるとサッサと寝室に入って行った。

“何なんだ!?”

ルシオンは呆気に取られた。
しかし、部屋に戻って来たローレライの表情は先程の様な上気したものではなかった。

「何か今の・・・・変じゃなかったか!?」

思わず言葉を口にした。

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~ Comment ~

NoTitle 

そうくるのね~~~~!!!
や~ん!じれったい~~~(悶え)
でも楽しい~(笑)
ジレジレいいよぉ~v-218

はのん様 

はい。そう来ました~^^
この誤解がないとラストが変わっちゃうのでこれは絶対に外せないの(笑)
ジレジレ楽しい!?
有り難うございます^^良かったわ♪
では、暫くじっくりジレジレを楽しんで下さいね(笑)
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