パウリンの娘

パウリンの娘《第13章4》

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ローレライは寝室のベッドにそのままうつ伏せた。
寝室の扉を閉めた途端気が緩み、涙が溢れ出した。

“あいつを女として見た事等一度もないぞ!”

確かにゼロはそう言った・・・・。
ゼロの言う“あいつ”とは自分の事だ。
ゼロはローレライの事を普段から名前で呼ぶことは殆どしない。
“お前”若しくは“あいつ”が殆どだ。
他にゼロの身近に女性は誰も居ない。
ならば自然とゼロの言った“あいつ”と言うのは自分以外にありえない。

自分は今まで何を浮ついていたのだろう!?
ゼロの優しさを勘違いして、婚約者の事を告げたら喜んでくれると心の何処かできっと思っていた。
だからあれ程浮かれてしまった。
嫌われてはいないと思う。
けれど、女性として見られていないと言う事は婚約者としては最悪な状況だった。
パウリンの導きは絶対的なもの。新王となるのはゼロ以外あり得ない。
ゼロが自分の事をどう思っていようとも、自分はゼロが婚約者でとても嬉しいのは事実だ。
運命を変えられないのも事実。
パウリンの力を信じているゼロは告げられればきっと運命には逆らえない。
今までゼロにあれだけ迷惑ばかりかけてきて、傷が癒えたら少しはゼロの役に立てる人間になりたいと思っていたのに、今度は一生を左右する選択を押し付けなければならないのだ。
結婚するのならば誰にでも選ぶ権利は普通ある。
自分は特別な運命を背負って生まれてきて、使命を聞いて心の準備は漠然とだけれど出来ていた。
しかし、ゼロは違うのだ。
突然婚約者を告げられて、選択権も与えられない。運命を受け入れるしか無いのだ。
しかも相手は女性と思えない者なのだ。
ならば、少しでもゼロの負担が無いようにしてあげなくては・・・・。
ゼロの気持ちはどうあれ、自分にとっては最高に恵まれた運命の導きなのだから。
ローレライは涙を拭うと、ゼロにとって一番負担にならない方法を模索した。

ローレライは明け方少しウトウトしたが、結局昨夜は殆ど寝られなかった。
ゼロに傍に居て貰えず落ち着かないのもあったが、一番の原因はやはり昨日聞いたゼロの一言だった。
ゼロが婚約者だと分かってとても嬉しかった。
自分はゼロが婚約者であって欲しいとずっと心の中で願っていた。
それは現実の事になったが、ゼロは違う。
でも、この事は絶対に言わなくてはならない事。
サザーランド国を治める事になる次の王は彼なのだから。
民の為には一日でも早く新王を迎える事こそが救いの道へと繋がる筈だ。
我王の政権下では先は見えている。
ならば潔くしなければと早々に着替えるとローレライはゼロの部屋へ向かった。

ゼロも昨夜は眠れぬ夜を過ごしていた。
パウリンが告げるローレライの婚約者の事が気になって、ずっと眠れなかった。
こんな事ならばやはりずっと傍に付いていれば良かったと思っていた。
酔い覚ましに早朝に湯を浴び、身支度を整えた時だった。
トントンと小さく扉を叩く音がした。
少し遠慮がちなノックの仕方に、“もしや!”と思い、急いで駆け寄ると扉を開けた。
やはり、ローレライだった。
昨夜は怖くて寝られなかったのか? 少し腫れぼったい目をしていた。

「大丈夫か!?」

思わず心配で掛けた言葉だった。

「はい・・・・朝早くにすみません。どうしてもお話ししておきたいことがあって・・・・」

「ああ。分かっている」

ゼロはローレライをソファーに座らせるとティーセットに手を伸ばした。
ローレライはゼロの目を見てきちんと言える自信が無かったので、この時ぞとばかりに不意を突いた。 

「パウリンに映し出されたのは私が良く知る方でした」

ゼロの手が止まった。

「それは、誰た!?」

振り返る事無くゼロが問う。

「・・・・アイスラント・・・・貴方でした」

振り向き、信じられないと言う表情でゼロはローレライを見つめた。

「私は運命には逆らえないと思っています」

「勿論だ!」

ゼロは歓喜した。

ゼロは自分の事を女として見れないと言っていた。
グッと零れそうになる涙を噛みしめ飲み込もうと深く呼吸した。

「・・・・形だけの妻でも構わないから・・・・私と結婚して新王になって下さい」

ローレライは深々と頭を下げた。

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NoTitle 

きゅんキター!
いいね!誤解誤解誤解!
そして最後はハピエン♪……だよね?(汗)

はのん様 

ありがとうございます^^/
誤解が誤解を呼んで、こう言うの書いててとっっても楽しいの♪
そして、最後はねぇ・・・・ハピエン♪だと思う!?
《ヒント》私、恋愛ものは浮気ご法度、純粋、一途がモロ好みでハピエンでないと許せません!!(笑)

NoTitle 

・・・・あれ。
あ、いや、正しい帰結なんでしょうか。
久しぶりの「よきにはからえ」なような感じがするような。
ゼロが過ちを犯すとは思えませんが、、、これが一般臣民だったら、絶大的な言葉ばような気がします。

LandM 様 

正しくないです。全然です!^^;
誤解が誤解を生んでます。
ここからが結構かなり複雑です。
ゼロが過ちを犯す事はありませんが、恋をすれば臆病になる人もいるという事だけは確かです。
以降も温かく見守って頂ければと思います^^

いつも有り難うございます^^
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