パウリンに導かれて

パウリンに導かれて《第7章7》

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ローレライの突然の発言に、兄ルシオンは身を乗り出しておそるおそる問正す。

「えっ? ……出来るの? レライ……」

「領地の収穫量の計算なんてお手のものだわ。毎年お手伝いしているもの。お兄様だって知っているじゃない!」

自信満々にローレライの口から吐き出された答えは、皆が何処か納得するものだった。

「ふぶッ、正しく天然だな」

「………」

必死になって自分の意見を主張しようとするローレライの姿に、最初にシドが噴出し、他の者も何処か堪えるような含んだような笑みをこぼしていたのだが、唯一人ゼロだけが無言を決めこんでいた。


ゼロは依然として憮然とした態度を崩さないまま、それでも明らかに先程とは違う表情を覗かせていた。
自分が信頼する腹心の愛弟子、それに側近たる親友、他の仲間も皆が口を揃えてあの女を如何言う訳か庇護しているように感じられるからだ。
その事が、ゼロには不思議でならなかった。
状況から判断するに、あの女が如何やら『計算高い』と言う言葉とは程遠い次元に居るのは確かなようだと認めざるを得ない。
だが、ならば如何言う者なのかと言う判断を、自身でもつきかねていた。
何故だか分らないが、この者を見ていると今までに自分の知る女と名のつく存在とはあまりにもかけ離れている様にも感じられる気がしてならなかった。
よくよく考えてみれば、まかりなりにも貴族と名のつく家の令嬢が、率先して馬の世話をする等普通は考えられない事だった。

「……変な奴だな……」

呟くように突如ゼロの口から零れ出た言葉に、ローレライ不思議そうな眼差しを送りながら小首を傾げた。

「えっ? ……変……って??」

「……言葉道理だ……」

「……??……」

ゼロと長い付き合いの者にはそれなりに理解出来る返答なのかもしれにいが、今日出会ったばかりのローレライにゼロのそれを分かれと言うのも無理があるだろう。
じっと主ゼロを目で追っているローレライの姿に、フリードルは苦笑いを浮か補足した。

「変……と言いますか、確かに王都の貴族の令嬢方には無い感覚を持っているかもしれませんね」

自らをひけらかす事も無く、かと言って人の掌の中で踊らされるほど愚かでも無い。だが、王都の貴族の令嬢等には無い行動を取るのも事実だ。

「確かに居ないタイプだな。だが、変わっていると言えば変わってるとも言えなくもないか……」

シドは何処かゼロの考えに納得している様だが、ローレライの事を認めてくれているのも事実だ。

「何を基準にするかの問題だと思いますが、私の見知った者の中にはローレライ嬢程の行動力はありませんが、似たような印象を受ける者もおります。柔らかな……、とでも言いましょうか何と言いますか……」

周囲に吊られるように、今度はそれにサビエルも加わってくれたのだが、何処か抽象的過ぎて的を得ない。勿論その答えにもルシオンは何処か納得できないでいた。

「だから、レライを他の人と比べないでよ。レライはとにかく純なのッ。で、鈍な所もあるけど、行動力バッチリだし、絶対他所には居ないタイプなんだからッ」

「ルシオン様、絶対と言う言葉は、そう安易に使うものではありませんよ」

「五月蠅いッ、」

「では、どの基準にも当てはまらない……と、言う事ですか?」

「ならばやはり、やはり変と言う事だな」

するとゼロが、何処か納得したように呟いた。

行きつく所はやはり最終的にはゼロの意見の様だ。
皆は結局、それ以上の言葉を求めなくなってしまった……。

「……だから、その言い方は止めてくれって……」

ルシオンが苦笑いを浮かべながら、最後の悪あがきを見せていた。

「天然で……、純粋で……、変……なの? 私って……」

ローレライは自らその言葉を復唱した。
自分では今迄気付く事は無かったが、皆がそう言うのならば、そうなのかもしれないと思えて来ていた。ならば、これから自分は如何すれば良いのか?

「では私は……、これから如何変われば宜しいのでしょうか?」

ローレライは真剣な眼差しで、皆の意見を求めた。

「そのままで良い!」
「別に気になさる事では……」
「変わる必要はない」
「そのままで……」
「問題無い」

ゼロ以外の、各々の声が重なった。

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※この作品は「パウリンの娘」の改稿作品です。


現在「小説家になろう」サイトで先行改稿中でしたが、追いついてしまったで、今後は改稿済み次第の投稿となります。

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