パウリンの娘

パウリンの娘《第13章8》

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ランドンが荷物を纏めて公爵邸に着くと、既に話はついていて執事から直ぐに案内された。
部屋は先に従者としてやって来たサビエル等の並びで、そこはルシオンの部屋の斜めだった。
部屋へ入り荷物を置くとその足で主の部屋を訪ねた。

「ルシオン様、ご無沙汰しております。私です」

「開いてるよ」

暢気そうに、でも、懐かしいその声にランドンは主の許に帰って来たのだと改めて心が躍った。

「ルシオン様。扉に鍵を掛けていないのは物騒です。きちんと鍵をしてください」

「なんだ。久し振りに会ったと思ったら、もぅ説教か!? お前が来ると聞いたから開けておいたんだ。普段はだいたい掛けているんだけどな。あっ、でも最近は開けてる事多いかも」

「何なんですか? それ・・・・」

ランドンは少し呆れ気味だった。

「お前、今呆れてるだろ・・・・」

「良くお分かりですね。流石ルシオン様です」

にこやかにランドンが言う。 
ああ、やはりここは自分が一番落ち着ける場所だとランドンは思った。

「レライがさぁ、最近良く部屋へ来るんだ。俺なんかより、ゼロの所へ行けば良いのになぁ」

「ゼロ様ですか!?」

「ああ、婚約したんだし・・・・」

「婚約したんですか!? お嬢様が!!」

「あっ、知らないよな、お前。したんだゼロと。形式的なものは全然なんだけど、そう言う約束になったらしい」

「それは、おめでとうございます」

ランドンも予てから二人はそうなるのではないかと思っていたが、こんなに早く婚約するとは思ってもいなかった。

「うん。ありがとう」

「お嬢様にもゼロ様にもお祝いを言いに行かなければいけませんね」

「あっ、今は込み入った話をしているみたいだ。この婚約は結構複雑な事情を抱えているからなぁ」

「そうなのですか!?」

公爵が叔父と言う位だからゼロの家柄は確かだろう。伯爵家の息女と言う立場は家柄的には互いに何の問題も無いはずだ。
問題があるとすればゼロの方に親の決めた婚約者が既に居て反対されていると言う場合位だが、ニック宅に居る時に聞いた話ではゼロはこの2年ずっと仲間と行動を共にしているらしく、そのような様子もない。
では、何が問題なのだろうか!?

「まぁ、何れお前も協力してやってくれ」

「それは、私に出来る事でしたらご協力は致しますが・・・・」

何だか要領を得ないが、普通の問題を抱えている訳では無いような気がした。

「とりあえず、俺は二人の話がついたら内容聞いて一度家に戻ろうと思う。きちんと父上と母上には報告しておかないとな。一緒に来てくれるか!?」

「はい勿論です。ですが、報告だけで宜しいのですか!? 勝手に話しを進められたのでは後で不味い事になりませんか!?」

「・・・・う~ん・・・・。ゼロとレライを連れて行く訳には行かないしなぁ。でも、ウチの方は多分大丈夫だと思う。これはレライの使命で運命だから」

「そうなんですか?」

「問題が出て来るとしたら、ゼロの家の方かもしれないけど、それは無視しても大丈夫と思う。ゼロが決めた事に反対は出来ない筈だから」

何か歯に物が挟まったような言い回しに、ランドンは少し歯痒かったが、多分今は言えない事なのだろうと言う事は何となく理解した。

「何か難しそうですね」

「そうなんだよ~。お前には全部話したいんだけどさ。これだけは無理なんだよ」

そう告げるとルシオンは深いため息をついた。

「いいですよ。話せる時が来たら話して下さるのでしょ!? それは分かっていますから気にしないで下さい」

ニッコリと笑顔を作ってそう告げた。

「やっぱりお前が居ると精神的にかなり楽だ。もぅ貸し出さないからな」

「そうなんですか!? ゼロ様にまた呼ばれる筈なんですが・・・・」

「ゼロだと断れないかぁ‥‥」

頭を抱えるルシオンの姿を見て、ランドンは自分の居場所はやはりこの主の傍なのだと言う事を再確認した。

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~ Comment ~

NoTitle 

この二人好きだな~~~v-238
ほのぼのする…(笑)
従の方がちょっと強気なのがいいのよね♪
そしておっとり主(笑)
長男じゃそうなるか(大笑)

はのん様 

有り難うございます^^
私も書いててホッ出来る二人です。
設定上周りが堅物揃いになるから出て来ることになった二人で、ローレライの兄なら呑気かなぁ、そしたら従者は強気でないとと安易な発想で出来たキャラでした。
が、ホントに良く動いてくれます(笑)
憎まれ口をたたく従って書いてて楽しいよ♪(爆)

NoTitle 

13章読みました。

なんか川原泉先生の漫画「笑う大天使」の斉木夫妻の婚約申し込みのエピソードを思い出しました。

早くよりがもどればいいのですが……。

ポール・ブリッツ様 

有り難うございます。
似たようなエピソードがあるのですか!?
読んだことは無いのですが、聞き覚えはある題名なので結構有名な作品ですよね?
それは一度読んでみなくてはですね。

この作品はじれじれが一つのキーワードにもなっておりますので、ご期待道理に進みますでしょうか^^;?

いつも有り難うございます^^

NoTitle 

いや、『愛し合えたはずの夫婦』が、二、三語の言葉から深刻なまでの溝を作ってしまう、ということにつながるものを覚えたということで……。

川原先生の「笑う大天使(ミカエル)」は爆笑コメディですから、その言葉の行き違いも悶絶して笑えるギャグになってます。けれどもその結果は深刻なものだったのです……。白泉社花とゆめコミックスから、今は漫画文庫に落ちていたかな。おすすめです。

ポール・ブリッツ様 

楽しそうなお話ですね。
言葉ってホントに大切ですものね。
正に今この二人が恋に臆病な上で、そう言った方向に突き進んでいます。

今度探してみます。色々教えて頂き有り難うございました。

NoTitle 

大体、今の日本でも同性愛者は結婚は異性として、恋人は同姓であるという人も結構いますからね。
男性も女性も本来的には同性愛者なんですけど、形式的に結婚して夫婦になっている。男性も女性も同姓の恋人がいる・・・というのが日本ではいます。それで、養子を取る。
建前と本音はね、必要なんですよ。今も昔も。
形式が必要なときがあったりします。
社会的な身分を維持するためにも。

LandM 様 

そうですね。色々な形がありますね。

>男性も女性も本来的には同性愛者なんですけど、形式的に結婚して夫婦になっている。

成程、ちょっぴり興味深いお話ですね。
確かに親密な侍従関係は厳密にはそう言えなくもないかもしれませんね。
成程、ちょっと考えさせられました。

いつも有り難うございます^^
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