離婚しましょう? 旦那様ッ

離婚しましょう? 旦那様ッ 2

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結婚休暇の最終日、流石に明日からの職務に差支えがあっては不味いからと、その日は酒を朝から一滴も飲まなかった。

『旦那様は……、私の事がお好きなのですか?』

『なッ……』

愛しすぎて手が出せずにいる妻から告げられた言葉に、私は我が耳を疑った。

これ程の深い思いを既に妻となったこの者に抱いていると言うのに、その事がまさか妻に伝わっていなかったとは……。
もしかすると妻は別に深い意味があって、そう言う言葉を発した訳では無かったのかもしれないが、そう思われているのかもしれないと思うと、私の心は酷く痛んだ。
だがよくよく考えてみれば婚姻をし、夫婦が1週間も閨を取らないと言うのは通常有り得ない事だった。
そう思われても致しかたないと思い、考えを改めた。
きっと妻も婚姻に際し色々と、最低限には教えられてきているのだろうから……。

少しはにかんだように頬を染め、そう告げる妻から目が離せなくなった。
その姿には全身に聡明さが漲っている。
まだ、私には妻に触れる資格は無いのかもしれない。
けれど……、酒も飲まずに正常的意識下にある今の状況の中で、妻と何もせずに目を合わせ純粋に睦み合うだけと言うものには、非常に辛いものがあった。

『今まですまなかった。私は長い間結婚には恵まれなかったから、部下たちが過剰なほどの祝いをしてくれてね。寂しい思いをさせてしまっていたかい?』

そう思いつつもわずかに漂う欲望の影を必死に抑え込みながらそう告げると、妻は小さく頷いた。

『……はい……』

妻にだけは、心の奥底に蔓延る邪念を見透かされたくはないと思っていたのだが、もうそれも限界だった。

『やばいッ……』

『えっ?』

『いや……』

思わず視線を外し、顔を反らす。
顔が熱い……。
こんな恋も知らぬ間男のように頬を染めている自分は有り得ないと思った。
今まで女には不自由等していなかったし、ましてやこんな小娘にこれ程の感情を抱けるとは思ってもいなかった。

だが、これからも側に身を置く事が許されるならば……。

(心を入れ替えて今後は妻にだけ尽くそう!)

そう決めたその日、私達はついに初めて結ばれた。

私は結婚式の当日、久方ぶりに目にしたばかりに過ぎない13歳も年の離れた娘に、この日永遠に恋に落ちてしまった事を自覚した……。


と思っていたのに、それなのに何故、こんな事になっているのか!?

「お願いです。離婚してください、旦那様ッ」

「どうしてだ?! 私達は……仲良くやっていけていると……、私は思っていた!」

「私、だって……そうです。ですが、結婚後何故旦那様が週末以外、私と枕を共になさらなかったのか理由が分かってしまった今、私……、耐えられなぃッ。ううっ……」

「えっ?!」

そう告げると、妻はしくしくと泣き出してしまった?

「…………」

何故妻が泣く?
離婚を言い出したのはシルビアの方なのに……。

「……本日、旦那様のお仕事の奥様方との集まりがあり……、そこで、全てを聞きましたの……」

「なっ、何だって?!」

まさか、ついにバレてしまったのか?!
結婚前の所業の数々が……。
勘弁してくれッ。泣きたいのは私の方だ!

妻は聡明で、出来れば結婚前の自分の姿など耳に入れたくはないと思っていた。
だから、部下たちには戒厳令を布いて徹底させていた。
周囲にもそれを促していたのだが、やはりこう言う事は奥方からは漏れるものなのだと言う事に気付き、額に手を当てた頭を下げた。

「すっ、すまない!」

「ずっと……不思議に思っておりましたの。新婚の内は日々睦み合うものだと聞いておりましたのに、旦那様は帰宅の早い時も中々私を求めては下さらず……。うっく……。でも、旦那様のお仕事は護衛騎士と言う大変なお仕事だと伺っておりましたから……、お身体を休める為に必要なお時間なのだと、ずっとそう思い込もうと思っておりました……。でっ、でも、もう無理ですぅッ」

そう告げると、妻は大きく泣き崩れた……。

「許してくれ、シルビア!」

「ずっと……好きでしたのにぃ……っ」

「私もだ」

「嘘を仰らないで!」

「嘘じゃない!!」

「だって、今まで……、言ってくれた事も……ッ」

「えっ?!」

「好きって、言ってくれた事……、ありませんのにぃ」

「いや、そんな筈は……」

「言ってませんッ!」

涙ながらに必死に訴える妻の想いに応える為に、私は頭の中をフル稼働させ思い巡らす……。
愛しい妻との閨での出来事を、思うだけで実際は今も己を押さえ切れなくなり、迸るものもあるのだが、今はそれに気をやっている余裕もなければ状況も無い。
そして、思い出されたのは、自らの奥底に押しこめた真実の想い……。
『好き』とか『愛しい』とか『愛している』等と言う言葉を口にすれば、欲しいと言う思いを押さえ切れずに、幼い妻を何度も抱きつぶしてしまうと言う自信があったから、自らに呪文をかけるように戒めたのだ。妻を想い……。

「あっ……」

だから、確かに、内に秘めた想いは……口にしていなかったかも……しれない……。

「……好きなんだ……」

「いっ、今更……。そっ、そんな、口先だけの好きだなんて、要りません!」

「ならば、如何しろとッ……」

「それに、けっ、婚して、二月も経つのに、まだ7回とか可笑しいって言われましたッ」

「はあ?!」

「ひっ、一晩で、それだけ求められる奥様方もいるって……」

「それはッ」

「お母様はッ、……けっ、結婚式の夜は、お父様に求められすぎて、……何回求められたか分らない程だったって仰っていました!」

「それは、凄いな……」

「感心なさらないで下さい! なのに、旦那様は、私に見向きもなさらずに、毎日お酒ばかりで……」

「だから、それは言っただろう? 部下の者達が……」

「分かっています! でも、悔しいんです! 私が旦那様の一番なれるチャンスだったのに、私にはそれが許されなかった……。それって、私は、旦那様の部下の方たち以上にはなれないって事ですよね?!……」

「そんな事は無い! 私は誰よりもお前を、愛して……」

「ならば何故、旦那様はいつも1回だけなのですか? お強いって皆様言ってらっしゃいました! 1回とか絶対に有り得ないってッ」

「いや、だからそれは……」

「絶対に、やっ、夜勤とか言って、浮気してるって……」

「えっ?」

「……本当に……、夜勤だったんですか?」

「何を言って……」

「プロムヴェザー家のマゼレーゼ様が、御実家に戻られているのは、御主人以外の方の御子をご懐妊されたからだと伺いました。お身受けなさるのでしょう?」

「はあ?」

「……週に3回、……通われていたのだとか……」

「知って、……いたのか?」

「やっぱり……、そうだったのですね……うぅ……っ」

「いや、違う……ッ、そうではなくて!……」

ああ、何てことだ! 妻は私の以前の所業を知っていたのだッ。
それに加えて、ややこしい話も加わって……っ、てか……。待てよ……。
今の、妻の話では……、マゼレーゼの腹の子の父親が、私だと疑っている……、と言う事なのか?!

「まだ、続いていただなんて……」

「違うッ、それは違うから!」

「お願い……、離婚して下さいッ……ぅっく……」

「だから、違うんだッ。以前の事は否定出来ないが、神にかけて誓う! 私は、結婚後は一切浮気などしていない! お前だけを愛しているんだ!!」

私は、半ば吠えるように、言葉を吐き出し、涙に濡れる妻を抱きしめた。


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NoTitle 

お前だけを愛しているんだ~~!!
・・・なんて、男が本心で言うわけないYO!!

男はちょっと誘惑にかられたら、
それだけで引っかかるのだから。
騙されるな!!
( `ー´)ノ

LandM様 

今日は^^

そこはハッピーエンド推進サイトなので(笑)

旦那様、信じて貰おうと必死です。
気持ちは本気です!
でも、男性って色々あるでしょうしね。
後は気力と精神力で何処まで回避できるのか?
それが今外部で書いている続編のもう一つの隠されたテーマだったりします。
でも、私の書いてるのはハッピーエンド推進ものですからね(笑)
何処までが許されるのか、只今自分の中で模索中です(苦笑)←これってある意味続編のネタバレか?

いつもコメント有り難うございます。
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