離婚しましょう? 旦那様ッ

離婚しましょう? 旦那様ッ 3

 ←離婚しましょう? 旦那様ッ 2 →離婚しましょう? 旦那様ッ 4 (R-15)
「はっ、はなして下さいッ、痛い!」

「いや、離さない!!」

妻は私の腕の中を、あわよくばすり抜けようと身を捩りもがいていた。

「拘束するなんてズルいですッ」

「拘束している訳では無い。きちんと私の話を聞いて欲しいだけだ!」

「いっ、今更話なんて……、見苦しいです! 多くの浮名を流した男が、こんに小娘相手に、いっ、言い訳とか……。世間に知れたら、いい笑い者です!」

妻は私を怒らせるつもりなのか?
だが、その策に乗るほど私も愚かでは無い。

「貴女の心を取り戻せるのならば、幾ら見苦しくても良いッ! 王都中でシルビアを愛していると叫び歩いても良い!!」

「なっ、何を馬鹿な事を……」

妻が少しだけたじろいで、頬を高揚させている……。

「馬鹿な事では無い、私は本気だ!」

「っ……。」

声を張り上げそう叫んだら、妻の目元からじんわりと涙が滲んでいた。
かすかに唇が震えている……。少しは私の想いが届いているのか?

「……もう一度言うが、私は結婚後に不貞は一切はたらいていないッ!」

そこには確固たるものがあったので、私は自信をもってそう訴えた。

「で、でもッ……」

だが、妻はそれでも怯まなかった。
それは一体何故なのか?!

「『でもッ』何だ?」

「では何故……、結婚後もお会いになられていたのですか?!」

「えっ?!」

いや、ちょっと待ってくれ。何故知って……。
違うッ。浮気はしていない、浮気はッ!

「うちの者……、いえ、実家の者の話では、結婚後もそれぞれの方とお会いになっていたとか……」

何と言う事か……。
何やら最近、良くつけられているとは思っていたが、まさかそれが妻の実家の者だったとは……。
風貌が庶民的だったから、てっきり時折やってくる平民の弟子志願者かと思って様子を見ていたのだが……。

「それはッ……」

「……それは?!」

妻に詰め寄られ……、少しだけたじろいだ……。
いや、別に妻に後ろめたいことがあるからでは無く……。内容が少なからず言いにくいと言うか、言いたくないと言うか……何と言うか、口籠ってしまった……。

確かに夜では無いが、会っていたのは事実だった。
勿論、断じて不貞ははたらいていない!

「言い逃れ……、出来ますか?」

妻を説得するには、やはり全てを暴露しなければならないのか?
私としては、出来る事ならば過去の事には極力触れず、穏便に話しをつけたかったのだが……。

(はあーっ……)

額に手を当て、深いため息を落すと、私は重い口を開く決意を固めた……。

「……実は……。結婚前に付き合っていた者達と、結婚後も一度ずつだけ……会った……」

「ッ! やっぱり――っ!!」

止まりかけていた妻の涙が、またはらはらと、零れはじめた……。

「いや、違うッ。そうでは無い! 実は……、私は……。お前と結婚する当初の私は……かなりの邪な考えを持っていた。その事は許してほしいッ。本当に済まなかった!! 結婚後もお前を愛おしく思えなければ、今後も関係を続けて行く等と言う馬鹿な約束もしていて……」

「酷い……」

確かに酷い話だ。だから言いたくなかったのだ……。

更に妻は涙を浮かべ上目使いで私を見上げると、かすかに震え出し、鼻まで啜り始めた。

「すずっ……。ぅぅ……っ、うっく……」

「ああ、だから、違うのだッ。アーッ、もう!」

私は頭を両手でグシャグシャに掻きむしり……そして、覚悟を決めた。

「良いか? 良く聞けッ!!」

「(ビクンッ!!)」

「…………」

声を張り上げると妻は身を震わせ、ゆっくりと涙を流しながらおずおずと再び私を見上げてくれた……。
ああ、たまらないッ。
私に怯え、慄く姿まで可愛いと感じてしまうなんて……。もう重症だと思った。

「あの者達にそれぞれ会ったのは、ある確認と……、約束を反故にする為に一度ずつ会った。一・度・ず・つ・ダ・ケ・だ。後は会ってないッ」

「……っ!! わあぁーんッ、やっ、ぱりぃ――っ」

妻は俯き、再び大きな声で泣きじゃくる……。

(ああ、もう泣かないでくれ……。頼むから……)

私は心の中で大きく溜息をつきながら、何故“一度だけ”と強調したのかの意味を考えて欲しいと切に願った。

「……きちんと別れた後、……月のモノが訪れたかの確認をした……」

「……えっ?」

かなり間が空き、妻はぽかんと口を小さく開けたまま固まっていた。

「皆、夫のある身だったから、避妊には自主的に気を付けている者達ばかりだったし、それに私も気を付けていた……。それでもそう言う関係にはあった事実は拭えない。お前には常に誠実でありたいと思っていたから、確固たる証明をもって何があっても今後はお前を安心させる事の出来る自分でありたかったのだ。そう思っての行動だった。それでも私を許せないか?」

「だっ、旦那……さま……」

「その者達には、きちんと妻を愛してしまったから、結婚前の約束は反故にしたいと正式に申し出た。皆、各々納得してくれた……。だが、お前に誠実にありたいと願い出た行動が、よもやそれが痣になってしまい、離婚を切り出される事になろうとは……」

「で……、では本当に……マゼレーゼ様のお腹の御子は旦那様の御子では……?」

「違うッ。……マゼレーゼには、私以外にもつきあっている男が他にもいた。だから、その子はその者達何れかの子なのだろう。だが、もし仮に私との間の子の可能性があったとしても、申し訳ないがマゼレーゼを身受けするつもりは無かった」

「えっ?!」

「だってそうだろう? 酷い話かもしれないが、お前を心の底から愛していると気付いた今、例え自分の子であったとしても、その者の産んだ子を愛おしく思えるとは思えない。それなりの生活援助はするだろうが、身受けする事だけは有り得ない!」

「本当に酷い方……」

妻は少し呆れた様に、微笑んだ。

「酷くてもしょうがない……。私はそれ程に、お前だけを欲しているのだから」

「旦那様ッ…ンっ……」

妻を抱きしめると、その唇を食む様に奪い何度も口づけた。
だが、それだけで満足できる筈もなく、次第に深く舌を絡め合う……。

「ぁふっ、……んっ……、旦那……さま……、いき……出来ない……」

ああ、もう駄目だ。理性が保てない!

「離婚は認めない、良いな?」

「っ……、はい、旦那様ッ……ぁん」

妻の返答に満足げに微笑むと、私はその首筋に唇を這わせながら、そのままソファーに妻を押し倒した。

★押して頂けると励みになります

にほんブログ村
にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村



総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【離婚しましょう? 旦那様ッ 2】へ
  • 【離婚しましょう? 旦那様ッ 4 (R-15)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【離婚しましょう? 旦那様ッ 2】へ
  • 【離婚しましょう? 旦那様ッ 4 (R-15)】へ