ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《169.邸 前3》

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如何やら、マリーの祖父君との対面は、一筋縄ではいかないようだ……。

「ねえ、お爺様は? お爺様は何処なの?! せっかくアレクシスがこうやって来てくれたのに、そんな……『友人としてなら』って酷過ぎるわ!」

「マリー、落ち着いて。良いから。全て許容範囲内だから……」

「でもッ」

「本当に、大丈夫だから……」

取り乱したマリーを落ちつかせる為に、私は柔らかな笑みを浮かべながらそっと抱きしめた。 

「私、絶対にアレクの側を離れないから!」

「分かってる……」

私の為に祖父君に怒りをぶつけようとしてくれているマリーの態度は嬉しいものだが、そう言う事をさせるわけには行かない。
マリーの軽はずみな行動は祖父君が既に私に憤りを感じているのならば、更なる怒りを煽るきっかけにもなり兼ねない。ここはマリーにも冷静になって欲しかった。

近付く馬車の音を気に掛ける様子も無く、久し振りに会う孫の訪れを何時ものように待ちわび、歓迎し出迎える様子も見せなかった時点で、おそらく自分が歓迎されて居ない事は示唆出来た。
まあ息子であるマニエール男爵よりも祖父君の方が、人伝に聞いた話では今までの経緯をきちんと筋を通し話させて貰えれば、理解してもらえる可能性も高そうな気はする。事実はおそらく捻じ曲げられて話されているであろうだけに……。
待ちわび、握手を求められ歓迎されるとは元々思ってはいなかったし、最悪、門前払いも有り得ると思っていた。だから『友人としてなら会う』と言って貰えた言葉に、私は少なからず安堵していた。
これならば、心配し用意してくれたリレントの封書が十分に活かせる確率も高い。

「あなた達……」

私達の様子を見ていた夫人は、二人の間に何かを感じ取ったようだった。

「せっかくのお心遣いですが、私はただの友人としてならば、男爵にお会いする事は出来ません。ご子息より男爵が私の事をどの様にお聞きなさっているのかは分りませんが、私は誠意をもってこの地に足を踏み入れています。マリエッタ嬢との事を認めて頂きたくて!」

「グラッセ侯爵……」

夫人は私とマリーが一緒にこの地を訪れた真意を感じ取り、同情に満ちた眼差しで私を見つめていた。

「お願いよ、お婆様。私、アレクシスが……、グラッセ侯爵が私の思う方なの! お父様は反対していらっしゃるけれど、如何してもこの思いだけは諦めるなんて出来ないッ!!」

「マリー……」

思いがけないマリーからの告白に、私は更なる勇気を貰う。

「現状況で、マリエッタ嬢のお父君でありますマニエール男爵が私を受け入れられない理由は理解出来ます。常識的に考えれば最もな事です。こちらの男爵から見られましても、現時点での私は、おそらく孫娘の良縁に水を差す厄介者と言う所なのでしょう。何時如何なる時でも家の存続について考えるのが当主と言うものです。マニエール家の存続を一番に考えておられるご当主のお気持ちは十分に理解出来ます。私も考えるべき立場ですから……。ですからマニエール家の事情をぞんざいに扱うつもりもありません。ですが、人には決して諦める事の出来ない感情と言うものがあります! その事だけは、こちらの男爵ご夫妻には御理解頂けると私は信じて、本日はこの地に足を踏み入れました」

「グラッセ侯爵……」

「お願いよ、お婆様ッ。私達の味方になって! 私とアレクシスを助けて!!」

「貴方の……グラッセ侯爵のマリエッタをお慕い下さるお気持ちは十分に理解出来ました。けれど本当に色々と難しい問題だわねぇ……」

「だからお婆様にはせめてご協力頂きたいのよ!」

食い入るように自分を見つめる孫娘の表情に、何処か困ったような表情をしている夫人の姿。
けれど段々と、縋りつくような孫娘の表情に耐え切れなくなったのか苦笑いを浮かべた。

「マリエッタは本当にそれで良いのね? ドワイヤル家のご子息に未練は無いのね?」

「未練なんて有る訳無いわ! あんな野蛮な方と一緒になるなんて、死んでも嫌!!」

「そう……。貴女がそこまで人を嫌うなんて珍しいわね。ならば仕方ないわね。けれど、こんなにもあの子の話と食い違があるだなんて……」

孫娘と息子の話の違いに、夫人は何処か戸惑いを覚えている様子だ。
男爵はマリーの進言に耳も傾けなかったと言うし、マリーが奴にどんな仕打ちを受けたかなど、おそらく夫人は知る由もないだろう。
だが知ったら最後黙っておけない事だろう。

「元々お父様は何としてもドワイヤル家のご子息を迎えたいのだからその為なら何だって自分の都合のいいようにお話しするわよ。私の言う事には全く耳を傾けても下さらくてもね」

「……分かったわ。とりあえずお爺様には私からお話してみるけれど、あまり期待しないでね?」

「有り難うお婆様!」

マリーは嬉しさのあまり夫人の首に抱きついている。
無邪気に喜びを露わにするマリーの可愛い表情に、私は思わず笑みがこぼれた。

「では、侯爵は今しばらくこちらでお待ちください。さあ、では行きましょうか、マリエッタ」

マリーの腕を引き寄せ、夫人はマリーの入室を促した。
しかし当のマリーはと言えば、優しく包む夫人の腕を解きはじめた。

「えっ? マリエッタ??」

マリーは大きく首を横に振っていた。

「それはできないわ、お婆様! お爺様のお返事を私もここでアレクシスと待ちます。彼を受け入れて下さらないのであれば、私もこのままお爺様にはお会いしません!」

マリーははっきりとした口調で、己の主張を露わにした。

「マリー……」

その言葉には、愛しさと共に胸に込み上げてくるものがあった。

私はそっと胸元に手を差し入れると一通の封書を取り出した。
本来ならば、会って頂ければ男爵に直接手渡すつもりでいた封書だった。

「是非、こちらの封書を男爵に見て頂きたい」

「……これは?」

「ご挨拶の代わりに……、と言う事でお渡し頂きたい」

「分かりました」

「アレクシス……」

心配そうに、不安気な眼差しで私を見つめるマリー。
私はその腰にそっと腕を回すと、自分の方へと優しく引き寄せた。

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~ Comment ~

NoTitle 

最後に愛が勝つ!!
・・・というストーリーになるのかな。
まあ、祖父が結婚に口出すぐらいに祖父も権力がまだあるということなのだろうか。。。
私は祖父母がいなかったので、よくわからない世界ですが。。。

LandM 様 

今晩は。

はい、正に仰る通り♪
うちはそうならなければいけない設定です(笑)
はっきり言って祖父に既に父以上の決定権はありません。
ただ結婚のための婚約申請の申し仕込みの際、父以外に一番推薦人としてふさわしいのがお爺様と判断しての協力要請です。
私も祖父母を知らないのですが、新たに申請書を提出する際しアレクは過去に受理された色々な例を調べています。今回そこから導き出したのがお爺様でした。確か以前書いた記憶がありますが何処までこの設定を詳しく書いたか既に覚えてないという^^;
なのでそれに向けてアレクは頑張っている所です。

いつもコメント有り難うございます。


































































































































































































































































































































































































































































































































































































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