離婚しましょう? 旦那様ッ

離婚しましょう? 旦那様ッ 本編《シルビア視点》4

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「ならば何故、旦那様はいつも1回だけなのですか? お強いって皆様言ってらっしゃいました! 1回とか絶対に有り得ないってッ」

旦那様の今までの所業を思えば尚の事。
私が知っているだけでも、結婚前より長い間お付き合いのあるご婦人は、3人は居た筈。
その方たちを他所に、どの口がたった結婚して2か月の間に7回しか睦み合う事の無かった妻に対し愛している等とのたまうのかを私は知りたい!

「いや、だからそれは……」

言い淀んでいると言う事は、やはり私に何かがあって多く抱く気になれなかった……、と言う事なのだろう。
やはり、いくら頑張ろうとは思っていても、私にとって閨での事は何もかもが初めての事。
それなりに著書を読んで知識だけは頭の中に押し詰めてみても、現実は思い道理に運ばない。
羞恥を覚えながらも何度か実行してみようと試みて、旦那様のモノを手にとってはみたものの、結局はその度に旦那様から『無理をする事はありませんよ』とか『私にお任せください』等と軽くかわされたと言うのが現実だった。
今にして思えば、旦那様からしてみれば、あまりにぎこちなさすぎて己のモノを任せる気にならなかったのかもしれない。現実はそう甘くは無かったと言う事だ。
だから実際には旦那様に特別な事なんて何一つして差し上げられなかったし、そんな私が閨の中で旦那様と長い間お付き合いのあるご婦人等に太刀打ちできる訳も無い。
ただご婦人の等の持っていないもので私が持ち合わせているものがあるとすれば、それは初々しさと若さだけ。
それは考えれば考える程、心許ないものだった。

結果、私の躰は旦那様が何度も求めたくなるほどのものでは無い。おそらくは……。
だから、私を愛していると少しは感じてくれていながらも、己の欲求を満たす為だけの為に今まで付き合いのあったご婦人達の下へも通い続けていたと?
拙い妻との閨に満足できずに、満たされない欲求を得る為に暴走するように愛し合い、結果……。
ああ、その言葉を口にするのは、今となってもとても辛い……。

「絶対に、やっ、夜勤とか言って、浮気してるって……」

「えっ?」

「……本当に……、夜勤だったんですか?」

「何を言って……」

ああ、お願いですから旦那様、これ以上私に言わせないで下さい。
私だってこれ以上の言葉を口にするのは胸が締め付けられる程の想いなのですッ。

「プロムヴェザー家のマゼレーゼ様が、御実家に戻られているのは、御主人以外の方の御子をご懐妊されたからだと伺いました。お身受けなさるのでしょう?」

「はあ?」

「……週に3回、……通われていたのだとか……」

「知って、……いたのか?」

「やっぱり……、そうだったのですね……うぅ……っ」

起こってしまった事は取り消す事は出来ない。新しく芽生えた命には罪は無いのだから……。
ならばここは旦那様のこれからの幸せの為にも、やはり私が涙を呑む他ッ……。

「いや、違う……ッ、そうではなくて!……」

この期に及んで言い訳なんて聞きたくないです、旦那様ッ!

「まだ、続いていただなんて……」

「違うッ、それは違うから!」

「お願い……、離婚して下さいッ……ぅっく……」

旦那様の告げられる言葉が、耳の奥まで入って来ない。
何か膜でも貼られているようにぼんやりと聞こえて来て……。
私はただ、その場で大粒の涙に濡れながら崩れ落ちた。

「だから、違うんだッ。以前の事は否定出来ないが、神にかけて誓う! 私は、結婚後は一切浮気などしていない! お前だけを愛しているんだ!!」

私を支えながら、半ば吠えるように言葉を吐き出し、強く私を抱きしめる旦那様。
まるでそれは拘束するかのように激しいものだった。

「はっ、はなして下さいッ、痛い!」

「いや、離さない!!」

私は、身をひるがえし、あわよくばすり抜けようと捩りもがいた。

「拘束するなんてズルいですッ」

「拘束している訳では無い。きちんと私の話を聞いて欲しいだけだ!」

今更私に話しを聞いて欲しいだなんて、有り得ない!

「いっ、今更話なんて……、見苦しいです! 多くの浮名を流した男が、こんに小娘相手に、いっ、言い訳とか……。世間に知れたら、いい笑い者です!」

牽制し、旦那様の怒りをかう事が叶えば、おそらくはこの辛く苦しい時間から、私は解き放たれる事が出来るかもしれない。
そう思い、必死で抵抗を試みたけれど、旦那様はそれにも怯む事は無かった。
それ所か……。

「貴女の心を取り戻せるのならば、幾ら見苦しくても良いッ! 王都中でシルビアを愛していると叫び歩いても良い!!」

「なっ、何を馬鹿な事を……」

思いがけない告白に、みるみる内に頬が染まり全身が高揚して来るのが自分でも分かった。

「馬鹿な事では無い、私は本気だ!」

「っ……。」

気迫に満ちたその言葉に、一度止まりかけた涙が、また再び溢れはじめる。

「……もう一度言うが、私は結婚後に不貞は一切はたらいていないッ!」

背に回された腕に、一層の力が込められるのを感じた。

(痛い……。痛いです。苦しいです、旦那様ッ)

「で、でもッ……」

言葉を紡ぎかけた時、私は同時にある事に気付いた。
旦那様の……、背に回されたその腕が、かすかだけれど震えていると言う事に……。

(ああ、旦那様……)

本当に、貴方を信じても良いですか? 旦那様ッ。

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NoTitle 

「旦那様はいつも1回だけなのですか? 」
・・・とありますが。

男の立場からすると、
男は非情にセンチメンタルで。
愛欲とは愛情とか気持ちとかはリンクしないのでござる。。。
(-_-メ)

LandM様 

今晩は^^

おお!男性視点来たーっ(笑)
ちょっと前まで欲におぼれていた男ですが、今はセンチメンタルなんです♪
初めて知った本気の恋にちょっと感傷的になっている旦那様。今までの行いが今までだけに、ここはこれからの行動で挽回するしかないですね。
頑張れ!旦那様♪

いつもコメント有り難うございます。
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