離婚しましょう? 旦那様ッ

離婚しましょう? 旦那様ッ 本編《シルビア視点》5

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頭が混乱し言い淀む私に、旦那様は腰をかがめ覗き込むように優しく問いかけてくれた。

「『でもッ』何だ?」

「では何故……、結婚後もお会いになられていたのですか?!」

「えっ?!」

旦那様が、固まった。とても驚いているような表情で……。
けれどその様子は、予想に反して何処か気まずく思い目線を反らすでもなく、本当に呆気にとられている、正しくそう呼ぶことが相応しいとさえ思えるものだった。

……これは一体どう捉えれば良いのだろうか?

「うちの者……、いえ、実家の者の話では、結婚後もそれぞれの方とお会いになっていたとか……」

父が旦那様の行動を心配し、毎日では無いが様子を探る為に時折忍ばせてくれていたと言う者の話では、夜に忍ばれる事は無かったようだが、昼間や夜勤明けの日の早朝、帰宅前に以前より懇意にされていたご婦人方の下に立ち寄ると言う行動を近頃取られているようだと言う報告が入っていた。

「それはッ……」

「……それは?!」

旦那様は瞳を閉じて、何か賢明に考えられているご様子で。
暫くその返答を待ってはみるが、一向にそれは得られなかった。

「言い逃れ……、出来ますか?」

痺れを切らせてもう一度言葉を声にしてみれば、旦那様は額に手を当てかなり深いため息を落された。
どうやら最早言い逃れは既に出来ないと観念でもしたのだろうか?

「……実は……。結婚前に付き合っていた者達と、結婚後も一度ずつだけ……会った……」

「ッ! やっぱり――っ!!」

想像はしていたが、それでもその衝撃は大きく、止まりかけていた涙が、またはらはらと零れはじめた……。

「いや、違うッ。そうでは無い!」

そうでは無いと言いながらも、会っていた事には変わりがないのに、それはこれ程までに否定するとは一体如何言う了見なのだろうか?!

「実は……、私は……。お前と結婚する当初の私は……かなりの邪な考えを持っていた。その事は許してほしいッ。本当に済まなかった!! 結婚後もお前を愛おしく思えなければ、今後も関係を続けて行く等と言う馬鹿な約束もしていて……」

(はあ?!)

それって、幾らなんでもあまりにもッ!

「酷い……」

結婚前に私の記した駄目もとの要請に、快く了承すると言ったにも拘らず、本当は微塵もその気は無かったと?!

ともすれば結婚を期に心を入れ替えてくれるつもりでは居たものの、いざ蓋を開けてみれば妻があまりに未熟すぎて結果、男としての欲求を満たす為に他のご婦人等との関係を継続する他なかったのだと……。そう思っていたのに……。

潔いと言えばそれまでなのだろうけれど、その告白に私は、はっきり言ってかなり傷ついた。
この結婚は最初から何もかも……、全てが嘘で塗り固められていたのだッ。

旦那様を上目づかいで睨みつけるように見上げると、段々と視界がぼやけて来て、とめどなく涙があふれ始めた。

「すずっ……。ぅぅ……っ、うっく……」

何度も泣いたり収まったりを繰り返しているから出てくる鼻水の量も半端ない。

「ああ、だから、違うのだッ。アーッ、もう!」

何処かイラつき自暴自棄にもなっている様子の旦那様の態度に、もう全てが終わってしまったのだと理解した。

この2月余りの旦那様との日々が、走馬灯のように脳裏を駆け巡る。
それでも……、私は裏切られていたのだと感じながらも、幸せだったと思えるのは、私と居る時の旦那様がとても優しかったから……。
離婚する前に、少しでも私に対し愛を覚えてくれていたと聞けただけでも、良かったと……、そう思う事にしようと決意したその時、突如声を荒げられた。

「良いか? 良く聞けッ!!」

「(ビクンッ!!)」

驚き、涙に濡れながらも、旦那様の声に反応し、それでもゆっくりと顔を上げる私。

「あの者達にそれぞれ会ったのは、ある確認と……、約束を反故にする為に一度ずつ会った。一・度・ず・つ・ダ・ケ・だ。後は会ってないッ」

「……っ!! わあぁーんッ、やっ、ぱりぃ――っ」

分かっていたのに念押されるように旦那様から告げられる言葉は、まるで傷口に塩でも塗りえぐられているような気分にさえさせられる。
この期に及んで、何もそこまでしなくても良いのにッ!
旦那様にはサドっ気もあったのだと、初めて気付いたその時、私の中で全ての思考が停止した。

「……きちんと別れた後、……月のモノが訪れたかの確認をした……」

「……えっ?」

“ぽかぁーん”と口が半開きになったまま、旦那様を見上げている私の姿は、きっと馬鹿みたい見えたに違いない。

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~ Comment ~

NoTitle 

あれはお友達さ!!好きなのはお前だけさ!!
('◇')ゞ
・・・・と開き直っても無理かあ。。。


・・・ん。この物語の決着はどうなるんだ!!??
(*ノωノ)
・・・ということには興味がありますね。
涼音さんの答えが垣間見えますね。

LandM様 

今日は。

はははっ、無理無理。通じません。

決着は、妻視点の辛みがありつつのご想像通りです♪たぶん(笑)
なんせ、相手はもはや溺愛としか言いようのない妻相手ですからね♪

いつもコメント有り難うございます。
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