パウリンの娘

パウリンの娘《第14章4》

 ←パウリンの娘《第14章3》 →パウリンの娘《第14章5》
ローレライが兄の部屋へ訪れると懐かしい顔があった。

「この度はゼロ様と御婚約がお決まりになったそうでおめでとうございます」

「ありがとう」

ローレライはニッコリ微笑んで見せた。
心情的には素直に喜べない部分もまだあるけれど、それを両親の許へ婚約の報告をしてくれると言う二人の前で明かす訳にはいかなかった。
そして何よりゼロとの婚約はローレライにとってはこの上ない幸せな出来事の筈だった。

「お前がここに来たって事は、正式に父上と母上に報告しても良いんだな」

「ええ。お願いします」

「では、まだ陽もあるし今から発つか」

「そうですね」

「あっ、それは少し待って。ゼロがお父様とお母様にお手紙を書くって言っているの。本来は挨拶に自分が行かなければならないのだけれど、それが出来ないからって」

「そっか。では明日以降だな」

「ごめんなさい」

「いや、ランドンも今まで随分忙しかったし、今日ぐらいゆっくりしないとな」

「いえ。私は大丈夫ですから。そんなに強硬な仕事ではありませんでしたし、ルシオン様と外にいるよりはかなり楽でしたから」

「おい。それはどう言う意味だ!?」

「ルシオン様は直ぐに何処かへ行ってしまわれますからいつも気が張っていないといけないので精神的に疲れるんです」

「そんなにフラフラしていないだろ!? それに俺もお前が離れて少しは自嘲するようになったんだ。今までお前に頼りすぎたと思ってるし」

「そうなんですか!? それは失礼致しました。ルシオン様は伯爵家の跡継ぎなんですから常にその事を念頭に置いてこれからも行動してください。お嬢様が嫁がれる事が決まったのですから貴方に何かあってもお嬢様が婿養子を取って伯爵家を継ぐと言う最後の手段は無くなったのですから」

「お前なぁ・・・・」

ランドンの憎まれ口は健在で、ローレライは微笑ましく二人を眺めていた。

「ふっふっふっ。やっぱり二人は最高のコンビだわ。ランドン、これからもお兄様を宜しくね」

「はい。勿論です」


ゼロは自室に戻りローレライの両親に向けて手紙を認めていた。
最初に挨拶に行けない事の無礼を詫び、パウリンの定めにより新王となり、ローレライと結婚する旨を伝えた。
それから自分の素性を明確にし、ローレライに伝える事の出来なかった自分の本来の気持ちも記した。
パウリンの定めを知る以前から自分はローレライに惹かれており、結婚を申し込むつもりであった事を。

書き終わり、手紙に封をし、名前を記した時だった。
部屋をノックする音がした。

「ゼロ様、ミゲルです。至急お伝えしたい事がございます!」

ゼロはペンを置くと急いで扉を開いた。

「どうした!? 何があった!?」

「エル様が戻られません!」

ゼロは愕然とした。

良かったらポチッとお願い致します^^

にほんブログ村


総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【パウリンの娘《第14章3》】へ
  • 【パウリンの娘《第14章5》】へ

~ Comment ~

NoTitle 

前略の同性愛の話ではないですが。
本音と建前ということで冠すれば、モラルは必要でないわけであって、そこに法律もないわけであって。いわゆる不文律の問題になり。社会に機能していれば何も言われないのが、この世界であるわけですが。
・・・ローレライの父親は事情知ったら、ぶん殴られるんじゃないんですか?いや、ゼロが。そういえば、両性愛者の両親は同性と一緒にになることは良しとしないらしいですね。はじめっから同性愛一直線の人は両親も諦めているらしいですが、男も女も愛せる人の両親はどうしても常識に拘ってしまうらしいです。・・・親もね、色々考えますよね。

LandM様 

ローレライの父親は娘が何か大きな運命を抱えて生まれた事は知っています。
しぶしぶ送り出した娘が、勝手に婚約したって聞いたらそりゃ父は怒り心頭でしょうね。
が、父もアイスラントの人となりは一様知っています。結構有名な騎士だったので。
最初は相手が誰だあれ狼狽するでしょうが、手紙もあるし、母が事の全てを聞いて知っているしのでルシオンと共に諭しに入るでしょう。
で、実際に会うのは随分先なのでその頃には腹もくくれている状況です。

そうですね。愛には色々な形がありますものね。突然カミングアウトされたらそりゃ親も戸惑いますよね。どちらも愛せる方となると、親もできれば普通にってどうしても考えてしまうのも頷けますね。

いつも有り難うございます^^
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【パウリンの娘《第14章3》】へ
  • 【パウリンの娘《第14章5》】へ