パウリンの娘

パウリンの娘《第14章6》

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サビエルがフリードルと屋敷に戻って来たのはそれから2日後の事だった。
ソイドは王宮を出て直ぐにフリードルに取り押さえられキールのアレイクに引き渡された。今は取り調べられている頃だろう。

「この度は色々とお手を煩わせてしまい申し訳ありませんでした」

帰って来るなりフリードルはゼロの前に深々と頭を垂れた。

「何を言っている。元々無理な事を頼んだのは私だ。書状が間に合わないのは分かっていたが、お前なら何か手を打ってくれると信じていた」

「恐れ入ります。実はその件なのですが・・・・、私の書状が正式なものとは認めて頂けたのですが、王はソイドが苦し紛れについた公爵に痴呆の気があるとの虚言を真に受けている所があり、書状の内容は誤解から招いたものだと言うふうに捉えている感があります。状況によっては罷免も罪状も受け入れられない可能性も考えられます」

「あの馬鹿が!!」

ゼロは我王の観察眼の無さに頭を抱えた。

「ソイドが後日必ず伝説の名馬を連れて来ると進言しており、それを王は今も信じられています。勿論仔馬は既にこちらの手の内に戻っていますし、マグリードで保護されている限り安全だと思いますが・・・・」

「近い内にお呼びが掛かるか・・・・」

「はい。恐らく」

「今は出来るだけその件は引き延ばすしかないな」

「はい」

乗り込むのが先か、呼ばれるのが先か、何れにしても近い内に王宮へ出向く事は決まった。

話しが終わり、部屋を出ようとした時だった。

「そうだ! こっちでも大事件が起きたんだ!!」

シドが大げさに言った。

「何が起こったのですか!?」

慌てて振り返りゼロを見ると、少し落ち着かない様子がそこにあった。

「こいつ、やっと結婚する事になったんだ」

フリードルはハッとした。

「もしかして・・・・、相手はローレライですか!?」

「そうだ。お前でも見てれば分かるよな」

「はい。それはもぅ・・・・。他の人では考えられませんから」

ゼロの今までの女性に対する態度とローレライに対する態度は明らかに違っていたし、二人の醸し出す雰囲気は、フリードルから見ても特別を感じさせるものだった。

「それは、おめでとうございます」

フリードルは深々と頭を下げた。

「ああ・・・・」

この時、フリードルはゼロの表情に少し憂いを覚えた。
ローレライとの事で、この様な不自然な表情を見せる事は今までに無かった。

「そうだ、ルシオンがお前を心配して婚約の報告にイシュラルへ戻る予定を変更した。心配ないと伝えてやれ。喜ぶぞ」

このタイミングでの話の転換は、不必要な事を悟られまいとしている様子が伺えた。

「はい。では直ぐにでも」

フリードルは気付かぬ振りをして何事も無いように振る舞った。

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~ Comment ~

NoTitle 

ゼロくん複雑だねぇ…^^
でも親に密かに本音を告げてるあたり…^m^
そしてやっぱりお兄様主従が楽しいわ♪

はのん様 

ゼロは複雑ですねぇ^^;
私は書いてていじらしくなる時があります。
ローレライには怖くて本音は言えないけど、親にならね(笑)
兄主従関係、楽しんでもらえて何よりです♪

NoTitle 

この辺で何が面倒くさいかは家族や周りが一番面倒くさいんですよね。建前の結婚でも、ありがとうございます、と軽やかに言うのが大人の嗜みというものですが、それが大人というのであれば、大人になりたくないというのも意見として真っ当だったりします。

LandM様 

そうですね。一番面倒なのは身内ですね。
一言語られば倍は詮索されるみたいな^^;
でも裏返せば一番心強い存在だったりもします。
形式的な言葉がさも当然のように受け入れられるのが確かに大人社会の一部でもあります。
深く考えると結構これも奥が深いですね。

いつも有り難うございます
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