パウリンの娘

パウリンの娘《第14章9》

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話しがあると言ってローレライがゼロの部屋に訪れたのはルシオンとランドンが屋敷を出た日の午後だった。
聞くと決めた以上早く事を起こさなければ、自分の性格からしてまたどんどん思いつめて聞けなくなってしまうと思った。
ゼロは紅茶を入れてくれて、ローレライはその向かい側へ座っていた。

「ゼロにとって私はどう言う存在!?」

行き成り唐突に思ってもみなかった事を問われて、紅茶を口にしていたゼロは少し咽そうになった。
慌てて取り繕うと踵を正した。

「大切な婚約者だ」

真面目に答えた。

「パウリンの定めた!?」

「・・・・そうだな」

そんな事は関係ないが、そう言った方がローレライが気負いせずにいられると思った。

「では、もし、パウリンの定めが無かったらどうしていた!?」

「考えたくはない」

即答だった。

「それはどう言う意味で!?」

ゼロは何故今になってローレライがこう言う事を聞くのか理解に苦しんだ。
先日この話は解決し、これから歩むべき道筋もあらかた決めたつもりでいた。

「まだ何か含む所があるのか!? パウリンの定めは絶対だ。運命には逆らえないと言ったのはお前だぞ。それを今になって覆すのか!?」

ゼロの表情が心なしか険しくなった気がした。

「そんな事はないわ! ただ‥‥少し不安になっただけなの。・・・・貴方の・・・・心が知りたいの・・・・」

ローレライは震える手を握り締めてやっとの想いで気持ちを伝えた。

ゼロは一瞬戸惑った。
これはどう捉えれば良いのか?
ここで自分の本心を告げてしまって良いものなのか?
こいつの望む答えは何だ!?
言ってしまっては、取り返しがつかない事になりはしないか?
自問自答し、そして答えを出した。

「私の心はお前の望み道理にしてやる事だ。今更確認しなくても・・・・形だけと言う約束は守ってやるから安心しろ」

ゼロは乱れる心を押し殺し平常心を装った。

“ズキンッ”と、心が痛んだ。
ああ、やっぱりこれ以上は無理!!
心が挫けそうになった。でも・・・・やはりここで勇気を出さなければと思った。
意を決し言葉を振り絞った。

「もし、私が・・・・」

ローレライが言葉を発した時だった。
トントンと扉を叩く音がした。

「アイスラント様、お待ちしておりましたハビロード様とブレイン様が起こしになりました。応接室にお待ちして頂いております」

「分かった。直ぐ行く」

ゼロはそう答えた。

ああ、やっぱりだ。
ゼロは私よりきっと・・・・。
泣き出しそうになって、不味いと思いグッと奥歯を噛みしめた。


しかし、ゼロはその後直ぐに次の行動には移さなかった。

「で、何だ? もし、私がどうした?」

ゼロは優しく聞き返してくれた。
この数日ずっと待っていたとても大切な客人がやって来たのに、その人達より自分を優先してくれている。
少なくても自分はゼロに大切にされている事が良く分かった。
もぅ、これでいい。
これ以上要らぬ心配をかけてゼロを悩ます必要は無い。
ローレライは少し心の蟠りが解けて行くのを感じた。

「ごめんなさい。お客様をお待たせしては悪いわ。直ぐに行きましょ」

ローレライはニッコリ微笑みそう言った。

「良いのか!?」

「勿論!」

そう告げゼロに微笑みかけるとローレライは愛しい人の腕を取った。

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~ Comment ~

NoTitle 

あ゛~~~~!!!
よくないっ!よくないのよ~~~!

早くすぱっと言って、と思ったら邪魔が…
がくーっ↓て感じでした(笑)

はのん様 

すみません。ここはそう言う反応を期待してました(苦笑)
でも、違う意味でのウキウキサプライズがやって来るから♪
その為に私的には必要な落としでした。
さぁ、それは一体何でしょうね!?(笑)
15章の後半からお楽しみに^^

NoTitle 

ああっ! まったくもうこのバカチンどもがっ!

イライラしますねこのふたり(^^;)

でもそのまま進んでいたら絵に描いたようなラブラブバカップルか(笑)

今も裏返しのラブラブバカップルかもしれませんけれど(^^;)

また今度来たとき続き読みますね~(^^)

ポール・ブリッツ 様 

すみません^^;
この二人の性格上、こうなってしまいます。
お互い相手の気持ちに自信が無いって凄いじれじれ感ですよね(笑)

勿論そのまま進んでいれば間違いなくかなりのバカップルです!(爆)
かなりのじれじれ作品ですが、そのジレジレ感を楽しんで頂ければと思います^^
また、お待ちしております♪

いつも有り難うございます^^

NoTitle 

運命の赤い糸。
運命の扉。
糸は結ばないと意味がない。扉は開けないと意味がない。
結局のところ。
自分が原因なんですよね。運命の人に出会っても、その人と添い遂げるかは自分次第なんですよね。

例えば、自分が結婚していて無難な配偶者がいるとする。
しかし、運命的に愛する人が見つかった。
さて、どうするか?
・・・実際にそれがあるので浮気・不倫・離婚があるわけですが。

LandM 様 

そうなんですよね。
結局は最終的には自分の判断なのです。
この二人の場合、運命にも、赤い糸にも導かれているはずなのに、どうしてここまですれ違ってしまうのか?(苦笑)

頑張れ!
現段階ではこの言葉しかみつかりません。

でも確かに、あの時こうしていればと言う事は考える事もありますね。
浮気・不倫・離婚は個人の主観の問題もあると思いますが、出来れば平穏で暮らしたいと言うのが一番のりそうだったりします。

いつも有り難うございます^^
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