信じても良いですか?旦那様ッ

  離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第7話 

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騎士と言えども酒がかなり入って来ると皆こんなものだ。

「流石は団長、もう奥様ご懐妊だそうじゃありませんかぁ~」

「あれだけやってて、婚外子一人もいないのに流石っすね。グレン、手管を教えて貰えよぉ」

「おい、お前等、そろそろ止めにしろ。悪酔いしてるぞ」

「イテッ……。団ちょー、グレンが狂暴っす」

「お前が悪い……」

手管も何も、普通危険日外して避妊さえきちんとしていれば、早々子供なんて簡単に出来るものじゃない。

「でも、うち……まだ出来ないんですよぉ……、結婚してもうじき4年にもなるのに……。やっぱり嫁が23って不味かったですかねぇ」

「別に関係ないだろ。我が姉は17で嫁いだが、最初の子は25の時だ」

「そうだな。うちも結婚は早かったが、子は2年目だったぞ」

「そうそう、お前の所、大変だったよなぁ。確か生まれたの3か月違いだっけ?」

「五月蠅いッ」

絡む奴に絡まれる奴、飲んでる割に素面なのは、おそらく私とグレン位だ。 

グレンには妻との間意外に婚外子がいる。それも妻との子の三月後に生まれており、色々あったが妻の妊娠中の浮気と言う事で、表向きは大目に見られてはいるが、実はそれ以外にももう一人居る事を私は知っている。
その事を、如何するつもりかは知らないが、とにかく今はコイツとは関わりたくは無かった。

「そろそろ送って行くか?」

ここは早々に帰宅するべきだと認識し、部下を送りがてら自分も早々に引き揚げようと思って声をかけたが、それは思いっ切り拒否された。

「もう少し後で良いだろ。じきにこいつ等も寝るし。その方が運ぶ時の手間も省ける」

絡みの入った酔っ払いを諫めながら、馬車に乗せるのも確かに一苦労する。
ここはもう少しだけ付き合うかと腹を括ったら、グレンがまた話を蒸し返し始めた。

「それに俺はお前に話があるんだ」

「私は、別にないッ!」

城では『考えておく』と漠然と言葉を放ったものの、先日から私に何処か執着しているようなこの態度をずっと訝しく思っていた。
元々何かの目的でも無い限り、このように私に付きまとう人間では無い。
私を追いかけるより女の尻を追いかけることが好きなコイツは根っからの女ったらしだ。

「良いのか? あの話し。奴の受け入れ先、決めないと不味いんだろ?」

やはり何処か含みを孕んでいる! そう思った。

「別に……。無ければなしでそれなりに対応できるかもしれない。今ならば……」

状況があの時とは違う。

「何だ? それ」

今となってみればこの件も、既に妻が他者に目を向けるような関心事では無いのかもしれない。
私の周囲の事よりも妻の頭の中は今、腹の子の事でいっぱいなのだ。
生まれてくる娘の事で……。

考えたくない思いに駆られ、グラスに入っていた酒を一気に飲みほした。

「いや、私は案外了見の狭い人間だったんだなと思って……」

「お前、なんか変だぞ? 何かあったのか?」

「いや……」

再びグラスに酒が注がれ、言葉を隠す代わりにまた酒を煽る。
もどかしい……。自分で自身の気持ちを持て余している気分だった。



結局、グレン以外の奴はそのまま眠り込んでしまい、私は自暴自棄になりながら今日の愚痴をグレンに勧められるがまま酒を煽りながら話してしまっていた。

「お前、……それの何処に何を悩む必要があるんだ?!」

「やっぱりな。お前に話した所で私の気持ちなど理解出来る筈は無いとは思っていたんだがな……」

「酷い言い草だな」

妻を……、まだ生まれてもいない娘を愛するが故の私の悩みなど、妻を蔑み、家庭を顧みず、未だに多くの浮名を流し続けているお前に理解できるはずもない。

王室には側室制度もある。
妃となるかもしれない娘に、それを認めないと主張する権利は無いのだ。

「分らないさ。己の地位を安泰させる、またとない好機を喜べないなど、以前のお前はそんなんじゃ無かっただろ?」

「以前の私か……。それは、本当の私じゃない……、本当の私は……」

愛する者に対する欲求を、抑える事の苦手な……。

「んっ……?」

何だか急に頭が重い。クラクラする。
睡魔が急激に襲ってきて……。

額に手を当て、混濁していく意識を、何とか食い止めようとしていた時、グレンが微かに微笑んだ気がした。

「まあ良い……。分かった。モルダーは私が受け入れてやる。でも、お前ばかり幸せにはさせないッ」

「グ……レン?……お前、酒に何か……」

おまけに、身体もかなり火照りを伴い始めていた。

私が手にするグラスに、グレンがグラスを合わせられ、氷が中で舞うような音がする。

「なあ、また一緒に仲良くやろうぜ」

グレンの言葉を微かに耳にしながら、私は飲み屋のテーブルにうつ伏せになると、そのまま意識を手放した。

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NoTitle 

 結婚や子どもに関してはやっぱり前田利家とまつを思い出しますね。戦国一のおしどり夫婦と呼ばれて、まつが11歳のときに結婚、妊娠。12歳で出産。11人のこどもを設ける・・・というのは戦国時代の記録上最高記録らしいですからね。
 懐妊の話か・・・。男性同志では触れないですけど、女性だと色々あるから何かと話題になりますよね。ちょっと男性の私にはドキドキする内容でした。\(゜ロ\)(/ロ゜)/

 LandM様 

おはようございます。
12歳で出産とか、想像できない世界ですね。うちの息子と同級です^^;
昔は結婚も早かったですが、いやあ、でも過去はどうあれスタンは今は妻一途なので、これからスタンベルクにとっては危機状況が待ち受けているんですが、何があっても頑張ってその苦難を乗り越えて貰おうと思ってます(笑
懐妊事項は独身の男性にとっては特に未知なる世界ですよね^^
私自身聞いていたのと実際の状況はかなり違っていて、親の言う通り頑張って悪阻の辛さに耐えてたら入院したと言う経緯もあるので(笑
これからも色々触れて来る題材なので、頑張ってお付き合いください^^

いつもコメント有難うございます。
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