パウリンの娘

パウリンの娘《第15章2》

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二人はどうしてここでエルが出て来るのか分らなかった。
こう言う事は普通側近であるシドの役割だ。
余計な口を挿むと直ぐに煙たがるシドがエルの言葉を素直に受け入れているのも不思議な事だった。

「もしかしてお前と関わりがある者なのか!?」

そう告げたのはハビロードだった。

「イシュラルの領主アシュド伯爵のご息女で、私の股従兄妹です。幼い頃から見知っているし、ゼロ様の事を付け狙うとか、そう言う事は先ず出来るような娘ではありませんから安心してください」

「そうか。それは間違いないだろうが・・・・、どのような経緯でお二人はご結婚をお決めになられたのでしょうか?」

「ああ、その事も含めて聞いて貰う為に今日は集まって貰ったのだ」

その言葉に皆は静かに二人に目を向けた。

「今から私が話す事は他言無用だ。お前達なら分かってくれると信じて話すが、もし意に沿わぬ時はその胸の内に永久に留めてくれ。それを約束できぬ者は今の時点で退出してくれて構わん。咎める事はせん」

皆無言で、息を飲んだ。
未だかつてゼロがこれ程までに慎重に事を進める姿を皆見た事が無かった。

5分程過ぎた時だった。
シドが待ちきれないと言う感じで声を上げた。

「もぅ良いだろ!? どうせこの中にはお前の考えに沿わない者は出てこないって。お前が我王の許に下るとかありえない事言い出さない限りそれは無い」

そう言い振り返ると皆が頷いた。

「実はこの私の婚約者であるローレライには私の母と同じ力がある」

「ああ、それで・・・・」

そう告げたのはフリードルだった。
何故ローレライが子供の頃にザビーネ様から誕生祝にと伝説の名馬をプレゼントされたのか納得した。

「母は表向きは王宮付のただの占い師と言う事になっていたが、実際は少し違う。祝典や吉凶を占ったりしていただけではない。パウリンと言う伝え持つ紫水晶の玉に映し出される王朝の進むべき道を示し、悪しき行いを正す方向に導いていた。裏で国を支え、王を導く影の様な存在と言っても過言ではない」

皆が息を飲んだ。信じられないと言う様子だった。
ただ、フリードルだけは少し異なる。
ローレライからトランゼに入る前に聞いた話。
あの時、生まれ持った特別な運命があると言っていた。

「それでは何故今国はこの様な状況に陥っているのですか?」

「我王と皇太后が国政を私物化し、母の助言を悉く無視しているからだ」

「では国を建てなおす方向が分かっているのに王は今までそれを見過ごして来たと言う事ですか?」

「そうだ」

「くそったれ!!」

そう告げて拳を振るいテーブルに穴を開けたのはハビーロドだった。

「血が!!」

そう言い駆け寄ると持っていたハンカチを取り出し傷口に宛がい応急処置をしたのはローレライだった。

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~ Comment ~

NoTitle 

まあ、国体というのはそういうところから崩れるものであって。
長年、引っ張り続けると私物化がどっかで始まりますからね。戦乱のときは暗愚といわれても、平和のときなら優秀な政治家という人もいますけどね。

LandM 様 

そうですね。ずっと平穏なままの国なんて何処にも無いですものね。
そう言う者が現れるのも必然ですものね。
これをどう打って来るかが今後の課題です。
平和な時と戦乱の時では対処方法も情勢も変わってしまいますから、皆が皆同じ行動を取れるとも限りませんしね^^;

いつも有り難うございます。
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