信じても良いですか?旦那様ッ

 離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第9話

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流石にこのままの状況では邸に戻れない。
御者に我が邸の主術医であるマグノーマル医術師の邸へ向かわせた。
まだ陽は昇り始めたばかり。
おそらくは寝ているであろうが、事は急を要する。許されるだろう。

「先生ッ! ……あ……けて……くれッ、先生ッ!!」

滴り落ちる流血を胸より高く掲げたままの状態を保ちながら、思いの限りに賢明にドアを必死に叩きまくった。

「医術師殿、火急の事態です。お願い致します!!」

馬車の御者も私を支えながら、助けを貸してくれた。
程なくして室内に明かりが灯り、中から人が出て来た。

「まあ、ローゼリアン伯爵様! 奥様に……!!」

出て来たのは助手している夫人で、妻に何かあって私が急ぎ来たのかと思ったような言葉を口にしかけたが、直ぐに私の傷に気付き、室内に向って大声を張り上げてくれた。


御者には今日の事は内密に済ませる約束を取り付け、何とか車内を血で汚す事を免れたが、手間賃を踏まえて通常の3倍の代金を支払って返した。
金を受け取ったのだ、今回の事が公にならない限り、自ら口にする事も無いだろう。
あのような時間に酒場街にうろついている馬車だ。こう言う経験も初めてではないのだろう。かなり様子も手馴れていた。

「神経まで傷つけてはいないようですが、危ない所でした。かなり傷口は深いです。縫合しなければなりません」

「だろうな」

あれだけ縛っても血は止まらず、上から保護に巻いたマントにもかなりベットリと血は付着していた事から、かなり深く切ってしまった事は自覚していた。

「ただ、申し訳ありませんが現在の状況と伯爵のお話をお聞きする限り、使われたのはトリエフェランと仮定しますと、痛み止めの麻酔等は使用できません。重複する効能も考えられる為、危険を伴いますので……。ですから、かなりの痛みを伴うと思いますが……」

「痛みには馴れている。頼む」

「はい、では失礼致します」

「!!…………」

痺れは残っているが、痛みの感覚は麻痺している訳では無いので流石に痛い。
皮膚を突き刺す針の音など聞こえるはずも無いのに、耳に聞こえてくるような感覚だ。
息が詰まる……。だが痛いが、耐え切れないと言う程では無い。
以前護衛の任に付き、対象者を守り横腹を切りつけられた時の痛みに比べれば何の事は無い。
それに医術師の話ではかなり酒を飲んでいれば、麻酔をしてもその効果があまり得られない事も稀にあるらしく、どのみち麻酔の効果は望めなかったかもしれない。
それを思えば自業自得だ。


何とか処置も終わり、血も今は止まっている。
痛みはまだ有るが、痛み止めの薬は午後からしか服用は出来ない。

だが、スタンも考えたものだ。
トリエフェランを使用したのも午後からの職務に支障がない事を考えての事だったのだろう。そう言う所は律儀だ。
奴の計画が成功していれば、私はより自責の念に駆られる事となっただろうが、奴にとっては何の支障も無かった筈だ。
奴は根っからの女ったらしで遊び人ではあるが、今まで自己都合による休みは結婚休暇以外取った事が無かった。
だが、今回は流石に……。
午後からどんな顔をして職務に赴くのか?
私の前に顔を見せられるのか? それとも……。
奴の今後の出方次第では、私も今後の奴の身の振り方を考えなくてはならないと思った。
昔よしみの同情など、もうしてやるつもりは無かった。

とにかくこのままでは邸に帰れないので、薬の効果が完全に消えるまで、医術師宅へ滞在させて貰うことになった。
我が家へは先程夫人に連絡に向って貰った。
帰宅途中ちょっとしたトラブルに巻き込まれて少しばかり手傷を負ったが、深夜だった為昨夜は先生宅に泊まったと言う事にして貰いその報告と、着替え持って来て貰うように頼んだ。
くれぐれも話は妻では無く、執事経由でするようにと話をつけた。


夫人の帰宅後、着替えを済ませ、私は医術師に用意して貰った利尿を促す薬湯を飲んでゆっくりと過ごした。
少しでも身体からトリエフェランを早く排出させるための処置だった。


ああ、早く妻に会いたいッ。
だが、どの様な顔をして会えばいいのか分らない。

私は『妻を裏切ってしまった』と言う事に、なってしまうのだろうか……。

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~ Comment ~

NoTitle 

大丈夫。大丈夫。
風俗い行ったって妻を裏切ったことになりませんから。
妻が妊娠中は、妻とできない、浮気はできない、家で性処理もできない。どこでやるんだ。・・・と真面目に上司に心配されますから。
そうだ。風俗に行こう。
・・・ということになるのが、男の世界なのです。
続々。
男の本音でした。

LandM 様 

これは風〇を容認するか否かの論争が巻き起こりそうだ(笑)
女性の視点では人により浮気と見なす方もいるでしょうし、そこは結婚する以前に何処までを許せるか話しておく必要がありそうですね(笑
おそらく問われて容認できる女性は少ないと思います。
バレれば喧嘩、行くならバレないように行ってください(笑

いつも勉強になるコメント有難うございます。
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