パウリンの娘

パウリンの娘《第15章5》

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ゼロは部屋へ戻ろうとするシドを呼び止めた。

「少し良いか。話したいんだが・・・・」

「ああ」

そう告げると自室に招き入れた。

何か、伝え忘れた事でもあったのか?
いや、この感じは違うか。少し、迷っているのか?

「お前に無茶は承知で友人として聞く」

シドはあまりにゼロが神妙に話し始めたので何かと思った。

「今私が私用でここを離れるのはやはりマズイと思うか?」

「それは不味いだろう! どう考えたって!!」

「だよなぁ・・・・」

ゼロは深いため息をついた。

「で、何だ。何処に行きたいんだ?」

「屋敷」

「お前のか?」

「ああ」

「それは、人に頼めない事なのか!?」

「本来、頼めない・・・・。正確に言うと絶対に頼めないと言う訳では無いが、頼みたくない。私が取りに行きたい。どうしても自分で」

シドはゼロの真剣な眼差しに、これは余程大切なものだと言う事は理解した。

「それは、直ぐに必要なものなのか!?」

「・・・・それは、見方次第だ。本来はもっと早くに渡した方が良かったのかもしれないが、急だったしな。元々私は使う予定を見出せていなかったから、まさか自分がこの様な状況に置かれるとは夢々思っていなかった」

「渡すって、もしかしてあの娘にか?」

「そうだ」

「わざわざ取りに帰らなければならない物なのか? こっちで購入するとかで済ませられないのか?」

ゼロは少し迷った。
実はその事も視野にいれて一度は考えた。
しかし、自分が形だけの物を買って渡すより、ずっと重みが違うと思った。
告げられない想いを託して渡したかった。

「いや、やはりそれはダメだ」

「そうか・・・・」

シドも真剣に悩んでいた。
王都までは強行すれば普通の者でも騎士ならば半日あれば戻って来れる・・・・。
ゼロならもっと早く行けるだろう。
だが・・・・。

「オードラル家に代々伝わるものだ。長子が成人した時に代々母から息子へ渡されて来たものらしい。母は父から婚約した折にそれを受け取り、私も母から譲り受けた」

公爵家に代々伝わる婚約者に送られるものか・・・・。

「それは・・・・人には任せられないよな・・・・」

シドはどうしたものかと考えあぐねた。

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NoTitle 

指輪?指輪?(*^m^*)
早く渡して~~~!
↑気が早いって(笑)
ゼロくんすぱっと言っちゃっていいのよ^^/(笑)

はのん様 

さぁ何でしょう♪
口に出せないもどかしさ。もぅ物渡すしかない!!(笑)
すぱっと? ゼロがぁ!? それはどうでしょうか!?(笑)
でもね、多分、楽しいと思うよ♪(あっ、でもこう言うの嫌って人もいるかな^^;)
私的にはかなり16章の終わりまで楽しんで書けました^^
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