パウリンの娘

パウリンの娘《第15章6》

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ゼロの心は既に決まっていた。
無謀だと分かっていてもやはり自ら取りに行くべきだとシドに話しながら思いは更に固まっていた。

「あいつは私に対して何か含む所がある気がする。元々パウリンの定めで決まった話だ。直ぐに私と同じ気持ちになれと求めるには無理がある。それは期待していないが、辛そうなのだ」

「何故そう思うんだ!? その根拠は何だ!?」

「・・・・あいつに、言われた。形だけの妻でいたいと・・・・」

「はぁ!?」

「つまりは、そう言う事だ。私をそう言う対象としては見れないと言う事だ」

いやぁ、さっきの二人を見た限りではとてもその様には見えなかったが・・・・。
しかし、まぁだとしても貴族同士の結婚なんて恋愛結婚が珍しい位だ。
それでもそれなりに仲良くやってる夫婦も多い。
一緒にいればその内・・・・いや、しかしはっきりと形だけだと意思表示をされているのなら表明上だけでは問題だぞ!?
結婚して、将来子供はどうするんだ?
ただの結婚じゃないんだぞ!
近い将来王となろうとしている人物がそれで良い筈がない!

「それは、結婚しても将来的に不味いだろう・・・・」

直ぐは無理でも将来的に他の女・・・・。いや、こいつが他の女を受け入れられるとは到底思えないしなぁ・・・・。

シドは困惑していた。

「将来の事は知らん。ただ一つだけ確かな事はあいつの私に対する想いがどのような形のものだとしても嫌われていない自信はあるし、何より私があいつに惚れていると言う事だ」

「それは、そうだろうが・・・・」

「実は最近少しは近づけた気になっていた。だが、どうやらそれは私の思い過ごしだったようだ。どうも疑心暗鬼になっているのか良く分からんし上手く掴めん。これ以上上辺だけの関係を繰り返すのは不味いと思う。良い関係を保ち続けたい。あいつの笑顔をずっと見ていたい・・・・。今はまだ無理かもしれないが、私は将来的な望みまで失いたくはない」

ああ。そう言う事か。こいつ諦めている訳では無いんだ。

「その話が本当なら、今まで俺の目は節穴だったのかもしれんな・・・・」

シドはゼロが嘘をついているとは思わなかったが、聞いた事が事実ならばそれは受け入れなければならない事だ。
しかし、それでも今一つ釈然としない自分がそこに居た。

「それに、私はあいつがあのように思い悩む姿を、もぅ見たくはない・・・・」

切なげに語るゼロの苦汁を耐え忍ぶようなその表情にシドはハッとした。
今は自分が納得するとか出来ないとかそう言う問題では無い。
こいつがこれだけ悩んでいるのは事実なのだ!

“行かせてやらなければならない!”

こんなに、余裕を無くすゼロは見るに偲びない。
元々あの子に関しては自分の想いを認めてから余裕は無かったが、婚約を決めてからは何か含む所はあったが、このような状況に陥っているとは夢々思っていなかった。
きっと今、状況を打破したくて必死なのだ。

「・・・・仕方ない。今から発つか? 流石に今日なら何も起こらんだろう。指示は出したばかりだし、来ても明日以降だろう」

「いや、夜留守にするのは不味い。ルシオンもいないしフリードルも出してしまった。私まで居なくなってしまってはあいつも精神的にもキツイだろぅ」

「では、無理だ。今を逃すならば王都に移ってからでないと屋敷にやれない!」

先程の話を聞いて誓いを立てた以上、本来単独で行動させる事すら制止したかったが、この目は駄目だ!
こう言う時のゼロは考えを覆す様な事を先ずしない。
それを理由に引き止めれば意地でも取りに行くと言うだろうし、ゼロのイクタシオと同等の速さで走れる馬はここには居ない。
護衛として一緒に行くのは不可能だ。
譲歩するしかなかった。

ゼロは少し躊躇した。
だが将来の為に望みを託したい。
ならば、己がどれ程大切にしたいと思っているか、それを形としてでも伝えるしか無い。

「・・・・留守の間、何があってもお前があいつを守ってくれるか?」

「勿論だ!」

「分かった。あいつに話す。お前も一緒に来てくれ」

ゼロはそう告げるとシドを伴いローレライの部屋へ向かった。

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~ Comment ~

NoTitle 

いいよ~!
ゼロくん頑張って~^^
いや~ん!次のお話も楽しみ~v-238

はのん様 

二人の為の試練だもの、頑張らないとね♪
次はローレライにとってはちょっと辛いよね^^;
でも、これもローレライの為だから^^
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