パウリンの娘

パウリンの娘《第16章2》

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ゼロがバラサインを出て約3時間半。
予想よりかなり早い時間に王都に入る事が出来た。
予定では両親が寝静まった頃を見計らい馬番に頼んで執事を呼び出し、こっそり部屋へ入るつもりだった。
しかし今は丁度夕食時でそれは不可能だ。
何処かで食事でもとって時間を潰すか・・・・。
そう思い、昔馴染の店に一度は入ろうとしたが、何処かで躊躇させる自分がいた。

“いや、折角この時刻に着いたのだ。やはり少しでも早く用を済ませて戻ってやりたい”

先立つのはローレライが心配でならないと言う想いだけだった。
そのまま店の馬屋に戻るとゼロは再び騎乗し屋敷へ急いだ。
両親に捕まれば長居する事に成りかねない。
門前を通り過ぎ裏門へまわるとこっそりイクタシオを預けに厩舎へ入った。

「アイスラント様!!」

思いがけない子息の帰宅に馬番は大声を上げた。

「久しぶりだなライス。また直ぐに出る。イクタシオの世話を頼む。食事をさせてマッサージして足を冷やしてやってくれ」

それだけ頼むと屋敷へ向かった。
さぁ、どうするか。
とりあえず、子供の頃に良く抜け出していた使用人用の通用口から入れないか探ってみる。
扉の取っ手を回すと鍵がかかっておらず、すんなり中へ入れた。
辺りを見回し、気付かれないようにこっそりと先へ進んでいると、見知った者を見つけて合図を送った。

「ぼっ!!」

ゼロを見るなり大声で呼ぼうとする執事に慌てて口元に人差し指をあてた。

(「通用口の鍵がかかってなかったぞ。不用心だな」)

(「坊ちゃま・・・・」)

この年で坊ちゃまと呼ばれるのは気恥ずかしいが、この執事は幾ら言っても治らない。
相変わらずだ。

(「居るのか!?」)

(「いえ。いつもでしたら帰っておられる時刻なのですが、今日はサイド伯のお見舞いに寄られるとの事で少し遅くなると仰られておりました」)

ツイテいる!
ゼロは胸を撫ぜおろした。

「良かった。物を取りに帰っだけだ。急ぎ戻らねばならんから父上と母上には内密にしてくれ」

「はい。しかし・・・・」

「頼む。母上はともかく、父上に捕まるのは不味いのだ」

父とはまだ仲違いしたままで、言いたい事だけ言い捨ててそのまま屋敷を出たままだった。

「はい・・・・分りました。あの、実は・・・・あっ、坊ちゃま!!」

ゼロが急ぎ自室へ向かおうと広間へ続く廊下の脇の階段を上がろうとした時だった。
広間の扉が開かれ、そこに思いも寄らぬ人物が立っていた。

「ゲッ!!・・・・」

ゼロは思わず目を背けた。

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~ Comment ~

NoTitle 

ま、親子関係が悪いとそうなりますけどね。
・・・しかし、時間が過ぎると結構うやむやになったりするものですけどね。そこまで確執があるのだろうか。。。

LandM様 

父とは確執と言えば確執ですが、世間で言う「家の敷居をまたぐな!」と、言うほどのものではありません。
父に対しても思う所はありますが、ゼロ的には黙って家を出てしまって、顔を合わせ辛いと言うのが一番大きい感じです。

いつも有り難うございます^^
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