パウリンの娘

パウリンの娘《第16章4》

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下へ降りるとエントランスの片隅に置かれてある椅子に座って姉が待っていた。
やれやれと思いつつ少しぐらい話を聞いてあげなければ、ある事ない事両親に告げ口されそうな気がして隣に座った。

「で、今回の家出の原因は何ですか? ウエラ姉様の所のように浮気をなさる義兄上には見えませんでしたけれど」

「違うわよ!! ラルフは私に夢中なんだから! 姉さまの所のあんな浮気男と一緒にしないでよ!!」

離婚すると言っている割には旦那を庇う辺り、本気で離婚する気がない事は良く分かる。
それに、この腹・・・・。

「では、何があったのですか!?」

「・・・・最近ずっと変なの。いつもお義母様のお部屋に入りびたりで、私の事なんて全然かまってくれなくて・・・・。そりゃ、こんなお腹だし以前ほど魅力的では無いかもしれないけれど、帰って来て食事終えてからずっと寝るまで入りびたりなのよ!!」

“なんだ。やきもちか”

ゼロはフッと小さく笑った。

「笑わないでよ!! やっと子供だって生まれるのに信じられない!! あんなに喜んでいたくせに私よりお義母様が大切な男なんて願い下げだわ!! 絶対に息子を生んで後悔させてやるんだから!!」

結婚して7年、やっと子宝に恵まれたらしい。
2年前に会ったきりだが義兄はとても温厚で人柄も良く優しい人だ。
こんな気の強い姉の何処を気に入ったのか分らないが、傍から見ていても姉にべた惚れなのは良く分かった。
中々子宝に恵まれないのも仲が良すぎるからだと冷やかされた事もある位だ。

「義兄上の事ですから、きっと理由があると思いますよ。適齢期の過ぎた、それも年上の姉上との結婚を苦労して認めさせたあの義兄上ですよ。とにかく私の知る限り姉上は大切にされていますから安心してください。そんなに怒っているのは胎教にも良くないのではありませんか? 何時からここに居座っているのですか!?」

「・・・・今朝、出仕を見送ってから・・・・」

「では、今頃帰って慌てふためいている事でしょうね。光景が目に浮かぶようです」

「そうかしら・・・・」

「きっと、そうですよ」

ゼロはニッコリ微笑んだ。


「坊ちゃま!! 門前に近付いて来る馬車の姿が!!」

窓際で両親が帰って来ないか様子を見て貰っていた執事が声を上げた。

ゼロはハッとした。
今両親と鉢合わせになるのは非常に不味い!!
これ以上遅れては今日中に帰り着くのは先ず無理だ!

「姉上、これ以上は勘弁ください。可愛い甥っ子が生まれるのを楽しみにしていますからあまり無茶はしないで下さいよ」

そう告げるとゼロは厩舎へ急いだ。
イクタシオを受け取り、騎乗するとそのまま即効屋敷を後にした。
門の脇で馬車とすれ違ったが、そこに乗っていたのは両親では無く顔面蒼白の義兄の姿だった。
ゼロは想像道理の状況に可笑しくなった。
夫婦喧嘩は犬も食わないと言うが、姉上宅の場合一方的に妻が怒っているだけだ。
自分たちはどのような夫婦になるのだろうか?
姉上たちのような相思相愛とは行かないからやきもちを焼いて貰えるとは到底思えないが、何かあったら自分も義兄上のようにきっと直ぐに迎えに行くのだろうなぁと漠然と思った。
どれだけの時間を費やしてでも、いつかお互いが分かりあえる正式な夫婦になりたいとゼロはこの時思った。

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~ Comment ~

NoTitle 

ふうむ、確かに甥っ子は楽しみですよね。
私もいますけど。
ゼロもそういうのが慈しめるようになると良いですね。
・・・って、今はそれどころではないですが。

LandM様 

そうですね。
とりあえず上の姉の子は嫌がってますが、状況が変われば気持ちも変わって来るものですからね。
結婚が現実のものとなりつつある今ゼロの中でも色々と見方は変わっていくと思います。
勿論、今はそれ所ではありませんが^^;

いつも有り難うございます^^
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