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ファンシーの扉

オリジナルの王道恋愛ファンタジーを中心とした小説です。最後にはホッと出来る物語作りを目指しています。(R設定がある時は冒頭に記します。独自の判断でご注意ください) 尚、過去の作品については『◆ALL』をご覧頂きページの下の方にあります「Next」を押すと過去の作品まで全がご覧頂けます。作品のキーワード検索も『◆ALL』ページ左上よりご利用頂けます。

昨夜、VAIOがw……(HDD取り外してみた)

お知らせ&感謝

昨日の夕刻の事でした。
長年愛用のVAIOを開いていると、急に充電してください表示が出てきました。

「??」

PCは電源に繋げてました。何が起きたのか、風波は一瞬理解できませんでした。
とりあえず接続を確認すると、少し緩んていたのでそのせいと思っていたら、どんどん電源のパーセンテージが減っていきます。
頭の中はプチっとパニックです。
すると……。

「ブチっ!」

「………」

電源が途絶えました。

「……ww!????」

で、焦った。
コンセントの差込口変えてみたり、コンセント曲げて接触不良を何度も確認したり。
あまりの私の焦りように、傍で勉強していた息子も

「何々?如何した??」

と、やってきました。
我が家は2年前にW10を購入したものの、それは殊の外動作が鈍く、時折動かなくなります。先日も半年ぐらい使えなかったのが調子が良くなったと思っていたら、息子が更新データ拾ったら、重くなって開かなくなり一月以上再起不能。
息子との懸命な協力体制にも関わらず、動かぬまま。
そして、ダメもとでW10を起動したものの、何十回やってもネット環境呼び込み途中でフリーズww
今朝2時過ぎに諦めました。

そして今朝9時からNECのサポートが開くので、時間になってすぐに電話。
1時間弱、色々と教わり、捜査して修復結果、W10が復活!!

で、今日はお天気で敷物入れ替えたりやりたいことも色々あったけれど、朝は精神的にまだ中々立ち直れず、おまけに旦那の病院に薬を取りに行きを頼まれたり、トイレも実は1台故障中で(2階のは健在)ウォシュレットのポタポタだけだったのが、外も水漏れが出てきて、病院近くに大きなホームセンターがあるのでそれの病院帰りに修理と買い替えの見積もり取りに行きました。
終わったら、もう13時前だったけど、PCは今日中に白黒つけたかったので行かないことは考えられず、そのまま直行。
アダプターとかコンセントだけなら買い替えるつもりでしたが結果……中でした。
こちらも電源が入らない見積もりしてもらったところ、故障個所によって変わって来るけれど3万~5万6千円と言われ、もう修理は無いなと決断。
でも諦めきれないし無い頭で色々考えました。
友達に同じVAIO持ってる人探してバッテリーに充電してもらえれば、その間は入るはずなので最低限のものだけデータ保存に走ろうかとか、いなければ中古の同じの買ってきて、使ってみようかとか……。
ですが、Twitterで呟いてたら知り合いのネット作家さんより

「HDD生きてたらデーター取れるよ」


と教えてもらい。目から鱗!!

今HDDだけ取り出せればケースに付け替えて使える優れものがあるんですね。
私の予測では多分HDDは生きていると思うので、色々調べてみたら

『データ復旧大図鑑「起動しないPCからHDDを取り出し、別のPCに繋いでデータ復旧」』

今は、こちらで何とかできそうな気になってます。
まだ、100%ではないけれど、可能性は大いにあるので、近々実行に移してみたいと思う所。

だってね、小説……、外部のUSBに保存したの最後は11月www

まあ、年末からあんまり父の件とかで色々あって書けてませんでしたけど、それでも新しい案が浮かんだら、プロットもどきのものを入れたりアイディアは纏めてました。

なので、ちょっとこの件でもバタバタですが、来週は息子の大会や高校見学なども会あるので更新はどうなるかわかりませんが、とにかく書きかけのものは今は消えてるので、ご理解いただいて小説の方はもう少しお待ちください。

とりあえず、HDDだけは生きていることを祈ってて。。。

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婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第2話 ……何をしているんですか?殿下ッ

婚約者候補筆頭なんて知りませんッ

 剣の道を最初に意識したのは、10歳の頃。
 その才能を、婚約者候補である私の誕生祝いの席に訪れた王太子殿下に認められた。

『この歳でこれだけの腕前ならば、女騎士も夢ではありませんね』

 祝いの席で、手合わせを願い出た際に、煌びやかな笑顔でそう告げられたことがとても嬉しく、今でも鮮明に記憶している。

 騎士を多く輩出している我がローゼリアン家の女性は、護身の為の手習い事の一つとして5歳になると短剣を扱う事を覚える。
 下の妹達は、好んで剣を握る事をしなかったが、私はその練習がいつもとても楽しく感じられ、男子が鍛練用に使用する刀剣を、父におねだりをして使用するようになったのは、その翌年だった。

 当時の我が家は女姉妹ばかりで、跡取りに恵まれて居なかった。
 父の事を尊敬していた私は、幸いにして長子。父譲りの剣の才能を見出されていたこともあり、段々と女剣士の道も悪くは無いかと漠然と思い始めるようになって行った。
 その後待望の後継ぎとなる弟が誕生したが、これがかなりの病弱で、持病に加え月に何度も風邪や原因不明の発熱を繰り返す始末。
 両親は子供たちを誰一人分け隔てる事なく可愛がってくれていたが、後継ぎである弟の事をいつも一番に心配し気にかけていたのは事実。
 このまま無事育ってくれたとしても、将来的に歴代の跡取りの様に騎士として達成し我がローゼリアン家の伝統を守り続ける事は難しいだろう事は私も感じていた。
 ならば長子として生まれた私が如何するべきなのか?
 ずっとその事が気がかりでいた私は、14歳と言う社交教育の節目となる年にある決断をした。
 誕生日の祝いの席で、何時もの如く駆けつけてくれた殿下を前に、誰もが意表を突く言葉を口にしたのだ。

『剣を振るう妃など聞いたことがありませんし、本日を持ちまして私……、殿下の婚約者候補をご辞申し上げたいと思います』

『何を突然言い出すの? フィフィッ!』

 母はその言葉に卒倒しかけた。

 私は生まれた時からこの国の、王太子殿下の婚約者候補に祭り上げられていた。
 予てよりその事を切望していたらしい母は猛反対をしたが、父は剣の道に進むことについては私の希望を尊重してくれて『何があってもローゼリアン家の者としての誇りを失うことなく鍛練に励むように』と諭すと認めてくれた。
 翌月、私は父を推薦人とし、侍女としてではなく従騎士として城に上がる事を許された。

 当時より歳の割に身長はあったが、それでもあの頃はまだ剣を持っていてもドレスの似合う可愛い娘だったと思う。
 その事を思い出しながら自嘲気味に微笑んでいれば、背後からの気配を感じ、私は慌てて振り返った。

「……殿下……」

「やあ、フィフィ。偶然だね、休憩かい?」

「……何処が、偶・然・な・ん・で・す・か?ッ」

 上目づかいに私を見下ろし微笑みかける相手を睨み付けながら、私は深いため息をついた。


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婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第1話 女騎士、体調不良を覚える。

婚約者候補筆頭なんて知りませんッ

 王城、シュヴァルブルグ城内には、騎士団演習用敷地内に見晴らしの良い丘がある。

 護衛騎士団に所属している私は、時間を見つけてはいつも好んでそこを憩いの場としている。
 青く澄んだ空と緑の大地に広がる爽やかな空気を胸いっぱいに吸い込めば、いつも疲れた身体と心を癒して貰える。
 少しぐらい体調が悪い時でも、この場所を訪れれば自ずと自身の中に蔓延る悪い気が浄化されるように感じられ、いつも気分が晴れて来ると言うのに如何言う訳か近頃それが今一つ上手く行かない。

「うーん。如何したのかな、最近……」

 昨夜は久方ぶりに十分な睡眠を貪る事が出来た筈なのに、体調はあまり良いとは言えない。
 病と言う程では無いように思えるのだけれど、最近やたらと眠くなるし、気分も今一ついつもとは違う。
 特に起き抜けが最悪で、真面に食をとろうとすると吐き気が酷くなってしまう……。
 ハードな日常を思い、朝食はいつもしっかり取るようにしているにも関わらず、最近は如何しても胃が受け付けてくれず、もっぱらフルーツだけで済ませている日もあり困ったものだ。

 今まで感じた事の無い微妙な体調の変化に思いを巡らせ、周囲でよく耳にするストレス性の要因を結び付けてみるが、特に病的と思える程のものがあるとも思えずにいたのだが、今朝がた同僚から告げられた一言で、ある出来事が頭を掠めた。
 自身としてはそれ程苦痛とまでは思っていなかったのだが、近頃確かに環境的変化があった。

 実は近頃、社交界デビューを迎えたばかりの妹に、良く色々と付き合わされている。

「毎回護衛と称して付き合わされて、揚句あからさまだと困ると言われ、ドレスアップを強要されるのは、確かに少しキツかったかもしれないわよねぇ」

 自身も11か月前に社交界にはデビューを果たしているものの、そういった席に正式にドレスアップして訪れたのはデビュティ以来。
 14歳の頃に従騎士として城に上がるようになってから、女性らしい正装をすることもそれまで無くなっていた。
 好んで出席しなかった訳ではなく、現在護衛騎士団に身を置いている為、王室に籍を置く方々の出席される夜会などが開かれる際は護衛を担っており、そういう機会に恵まれて居なかったと言うのが正しい。
 如何いう訳かほぼ毎回王太子殿下就きという事に何らかの策略の意図を感じる事もあるが、職務中は出来得る限り護衛の任に徹するようにしている。
 そういう経緯もあり、そのような女性としての正装ははっきり言って慣れていないし苦手だった。女性としての磨きをかける年頃に、剣を片手に修行をしていたのだ。それは当然の事だと思う。
 その事に後悔はないが、女として生まれて来たにも関わらず、その事が自身でも気付かぬうちに体調不良を覚える程の負担になっていた事に気付けば、思わず深いため息の一つもつきたくもなる。
 先頃妹に付き沿い、夜会の席に訪れた折に鼻腔を刺激した流行りの香水が漂い密集する匂いなどは、今思い出しただけでも、気分が悪くなる。

「ああ、せっかく収まりかけていたのに、また吐き気が……ぅっぷ……」

 女性としての身だしなみの一つとされる流行りの香水にすら、身をゆだねることの出来ない自身に、既にこのままでは女として末期だと感じずにはいられない。
 
 だから、きっと……、私になんて務まらない。
 それにあの方には、私よりも……。

 内に秘めた思いを打ち殺しながら、私は今日も自嘲気味にほほ笑んだ。
 後2週間やり過ごせばれば、私はきっと救われる……筈。
 そう自らに言い聞かせながら……。

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離婚しましょう? 旦那様ッ 【番外編】愛する家族

離婚しましょう? 旦那様ッ

我がローゼリアン伯爵家は沢山の子供たちの声で溢れかえっている。
出張中だったこの日、私が帰宅すると、出迎えはかなり賑やかとなった。

「父様、お帰りなさ~い。父様いなくてシアとっても寂しかったのぉ」

帰宅するなり、一番に駆けつれてくれたのは、7歳の四女プリシアだ。

「ただいま。そうか? 父様も寂しかったぞ」

私に抱きつき、すり寄り甘える姿はかなり可愛い。
抱き上げると笑顔まで振りまいてくれる。

「お父様、お帰りなさい。スエルデンってどんなお国でした? お土産のジェロマの香水忘れてない?」

「ただいま。勿論だ。可愛い娘の頼みを、誰が忘れるものか」

続いてやって来たのは、二女の妻に良く似た顔立ちのシルリル。
好奇心旺盛でおねだり上手のおしゃまな12歳。
近頃少し背伸びをしたいお年頃のようだ。

「お父様、お帰りなさい。お母様、少し具合良くなくて……。今度のはかなりきついみたいなの」

長女のフィフィアナは13歳。可愛そうに私に似て少し凛々しい顔つきで、女だてらに剣への興味も示している。

「ただいまフィフィ。ああ、さっき聞いた。いつも悪いな……」

二女シルリルとは11か月違いの年子だが、シルリルよりかなり精神的に大人で自立しているようにもみえる。
2歳になる長男シルベルトを抱きかかえ、まるで小さな母親のように世話も焼けるしっかり者。

「謝らないで、ほらシベル父さまよ。お帰りなさい……って」

「やーっ、とーちゃ、めーっ!」

「……忘れられたか?」

最近出張が多かったからかと思っていれば、どうやら原因は妻らしい。

「違うの。お母様が、お父様の帰りを待ちわびて……、寂しかったみたいで、時々、色々と……、泣いていらしたりもしていたから……」

「何だ?シベルは父にヤキモチか?」

2歳にして父にやきもちを焼く息子を笑っていたら、妻が少し青白い顔をして姿を現した。

「……お帰りなさいませ。ああ、旦那様ッ……」

「シルビア! 起きて来て大丈夫なのか?」

妻は今、私との間に6人目となる子を身ごもっている。
今回はかなり悪阻がきつそうな様子だった。

妻の傍に駆け寄った時、その視線の背後の柱の傍で立ちすくんでいる美しい顔立ちの少女の姿を見つけた。

「ただいまマリー」

「……」

言葉無く、妻に隠れて軽く会釈をするのは10歳の三女のマリーサ。誰に似たのか内向的だが、とても優しい。

「私は大丈夫よ。旦那様のお顔を見たら、もう気分もすっかり……。それにマリーサも傍にずっと付いていてくれたから」

「そうか」

「いつも、お母様についていてくれて有難う。マリーサ」

そう告げるとにっこりと微笑んでくれる笑顔は、妻のそれに良く似て愛らしい。

「とーちゃ、チャイなのぉ!」

久方ぶりに妻と抱擁を交わしていると、私と妻を温かい目で見つめる何処か呆れたような姉達の間から聞こえてくる可愛い叫び声。

「おお、怒ってる、怒ってる。シベルは可愛いなぁ」

そんな家族に見守られながら私は久方ぶりに妻と熱い口づけを交わした。


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離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第32話(エピローグ)

信じても良いですか?旦那様ッ

移りゆく季節の中で、時も確実に満ちて行く。
悪阻の経過が心配されたローゼリアン伯爵邸の妻シルビアも、爽やかな日差しの季節になった頃には悪阻もすっかり収まり安定期を迎え、この半年間は日々夫と共に園庭散歩を楽しんでいた。

「まあ、旦那様。フィフィリア草の蕾が、ほら」

「今年は早いな。どうりで寒くなってきた訳だ。お前が嫁いで来た頃にもこうやって二人で満開の花を眺めた事があったな。覚えているか?」

「勿論です。とても可憐な白いお花で、旦那様は、私に良く似合うと言い摘んで下さり、髪にさして下さいました。私はその事がとても嬉しくて……」

妻は当時を思い出し、嬉しそうに頬を染める。

「そうか」

妻へと芽生えてしまった感情に戸惑うままに、初心の妻を毎夜抱き潰してしまう訳にはいかないからと、己の邪念をぬぐい去る為に、せめて気分転換にと園庭散歩に連れ出していた私の気持ちなど、妻には知る由も無いのだろう。
当時の私は、いつも今後の関係性に悩んでいたのだが、それも今では懐かしい想い出の一つだ。


フィフィリア草は、ふゆ月に用いられる代表的な花で、寒い季節でもしっかり根付き綺麗な花を咲かせることから、多くの屋敷の庭園を彩る花としても使われている。

「私が幸せな気持ちになると、この子は良くお腹を蹴るのよ。賢い子だわ。さっきから元気過ぎてお腹が痛いくらい」

「大丈夫なのか?」

「ふふっ、大丈夫よ」

妻には内緒だが、先日医術師のマグノーマル先生より、月齢のわりには幾分胎児が下がっていることを告げられた。
それが意味することは早産と言う文字。
だが、間もなく臨月を迎える事から、過度のストレスを与えるよりも良いだろうと、このまま普通に過ごす事を勧められた。
例え早産になったとしても、この時期ならば十分育ってくれるだろうと。
幸いにして我が子はすこぶる元気だ。妊娠初期のような問題は全くない。
とは言え、満期を迎えて出産できるに越したことは無い。
その事もあり、しばらくは出来るだけ日勤帯で仕事を終えるように心がけ、書類などは邸に持ち帰るようにしていた。私室では、何かあればすぐに対応できるように心がけている。

「シルビア」

「何?」

「幸せかい」

「勿論よ。毎日こうやって、旦那様のお傍にいられるんですもの」

「私もだ」

自然と見つめ合い、唇が近づくと互いの熱を伝え合う。

「んんっ……」

貪るような口づけは、自らの欲情を煽ると分かっているから、出来るだけスマートに済ませようと思っているのに、妻の口元から零れ落ちる甘美な声を聞けば、それだけではおさまらなくなってしまう。

「……んぅ……、はぁ……、だんな……さま……っ」

口内の隅々までを舐めまわし、執拗なまでに舌を絡め合う。
妻の身体に触れたくて仕方がない。
これ以上密着し続ければ、己の欲を抑えきれなくなるッ。
決死の覚悟で、妻から身を離した時だった。

「いッ……」

妻が急に顔をしかめたかと思うと、腰から崩れ落ちるように倒れ込み、私は慌ててその身を支えた。

「シルビア! 大丈夫か? 如何したんだ!?」

蹲る妻の姿に、慌てふためく。
頭の中に、先生が口にしていた、『早産』と言う二文字が浮かび上がる。

「大丈夫……。直ぐに治まるわ。さっきも……、大丈夫だったもの」

「さっきもって……、何故黙っていたんだ!?」

「だって、旦那様とのお散歩……、お休みしたくなかったし、大したことないもの」

「…………」

そうだった。すっかり失念していた。
妻が自らの身体状況に、かなり疎い傾向にあった事を……。

「とにかく中に入ろう、シルビア。風も少し強くなってきたし、身体を冷やすと良くない」

「……そうね」

明日の朝一にでも、マグノーマル先生に診て貰おう。
このままでは、妻が心配でおそらく仕事もままならない。

抱き上げて連れて行こうとすると、傷口が開いたら大変だからと拒否された。
暫く様子を伺い、痛みが治まるのを待ってから、妻の腰に手を回し、ゆっくりと歩き始めたその時だった。

「ぁっ……」

妻が急に立ち止まり、身を固くした。

「シルビア!?」

嫌な予感が脳裏をかすめる。
妻の顔からは、みるみる内に血の気が引き、その表情は正に蒼白。
ただ事ではない事態に陥っている事を察知した。
妻の身に、何かが起こっているのか?

「……旦那様……、たすけて……」

妻の差し迫った言葉に、急いで抱き上げようとしてハッとした。

腕に触れる生ぬるい液体。
まさか……、これは……。
破水……したのか!?
だとすれば、少し早いが、おそらく出産が始まる事になる。

「だっ、大丈夫だ。私がついている。大丈夫たッ!」

「旦那様……」

自らに言い聞かせるように怒号すると、私は妻をその場で抱きかかえ、急いで邸の中へと運んだ。



「旦那様、少し落ち着いてください」

「無理だ!」

執事の問いかけに、私は即答した。
落ち着ける筈がないッ!

あられかすぐに人をやり、医術師のマグノーマル先生が到着し、妻は診察を受ける。
やはり破水しており、既に陣痛が始まっていた事から、このまま出産になると告げられた。
シルビアが蹴られて痛いと言っていたのは、微弱陣痛が始まっていたせいだと考えられると告げられた。
……陣痛に気付かない妊婦とか、聞いた事がないぞ。
もっと早くに気付いていれば、出産を遅らせる事も出来たのだろうが、既に大量に破水してしまった今となってはもう遅い。
早くに出産する以外に胎児を守る方法は無く、促進薬を使っての出産を了承した。


破水した場合の、一般的な出産時におけるタイムリミットは24時間。
分娩が開始され、既に19時間をまわっており、抗菌作用のある薬湯を飲んでいることから妻の身は感染症から守られるかもしれないが、長引けば胎児の生存が危うくなってしまう。
胸に仕舞った懐中時計を何度も取り出しながら時間の経過を伺うが、中々時間(とき)は進んではくれない。
意味もなく、出産が行われている扉の前を落ち着きなく、何度も歩き回る。

「旦那様、少し座りませんか?」

「……はあーっ……」

大きなため息をつき、一度ソファーに腰を下ろすが、それも長くは続かなかった。

とにかく妻と子が心配でならなかった。
頼むから、如何か……。

「……どちらでも良いから、無事に生まれてくれ……」

最初は思う所もあったが、もう後継ぎでなくても関係ない。
女の子でも構わない。
とにかく無事にさえ生まれてくれさえすれば……。

殿下の婚約者候補の件ついては、この父が何が何でも早い段階で殿下の縁談を取り纏め、お前を守ってやるのだと、強く心に誓った。
その時だった。
隣室から、けたたましい赤子の声が聞こえて来た。

「あっ……」

「どうやら、無事、お生まれになられたようですね。旦那様、おめでとうございます」

「ああ……」

……生まれた……。

嬉しくて……、心が満たされて言葉にならない。

やがて、開かれた隣室から現れた、医術師に告げられた。

「おめでとうございます。女のお子様です。少しお小さいですが、とてもお元気で、肺の発達も悪く無い。おそらく今後の成長に、大きな問題は無いかと……」

「妻は?」

「少し発熱しておりますので、暫く安静が必要です。大変良く頑張られました。ねぎらって差し上げてください」

「勿論だ」

医術師のマグノーマル先生に促され、隣室の扉を開く。
そこには疲れ切ってはいるが、満面の笑みで隣に横たわる娘を愛し気に見つめる、妻の姿があった。

「旦那様……」

「シルビア。良く頑張ったな。可愛い娘を……有難う」

「ふふっ、女の子なのに、旦那様にそっくりなの。きっととっても美人さんになるわね」

「そうかな?」

「殿下はこの子を気に入って下さるかしら?」

「今は何も考えるな。ゆっくり休め」

「はい……」

妻の出産に伴い、仕事を休んだ事で、子供の誕生も直ぐに殿下の許へも伝わるだろう。
出生届も提出しなければならない。
その時、殿下は本当に我が娘をお妃候補に望まれるのか?
陛下の許しは既に得ているらしく、後は殿下の一存ですべてが決まる。
妻の容姿に見惚れていた殿下の姿を思えば、一部の望みはあるようにも思われるが、娘の将来が危ぶまれてならない。

愛しい妻との間に生まれた、初めての娘。
私は命を懸けて、この娘を殿下から守り抜くのだと心に決めた。


この時のローゼリアン伯爵は、やがて生まれ来る娘と共に相次いで、お妃候補に我が娘が名を連ねることになる事を、知る由もなかった。

それはまだ、もっと未来の物語――。


≪Fin≫

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プロフィール

風波 涼音

Author:風波 涼音
オリジナルの王道恋愛ファンタジーを書いています。(ハッピーエンド推進)〇〇年振りに執筆を再開しました。少しずつ自分のペースで書いていきたいと思います。

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