パウリンの娘
パウリンの娘《第6章7》
氷を貰い、戻って来たローレライはゼロの傍で相変わらずジュリアスの治療を手伝っていた。
ゼロはジュリアスの足首を触り頷く。
「貼り薬を作る」
「何を用意すれば良い?」
「布・イモ・ビネガー・小麦・・・・パンでも良いぞ」
聞いてきますと言うとまたローレライはバタバタと馬屋を出て行き、後をサビエルが追う。
その行為が既に何度も繰り返されていた。
ローレライのその様はまるで物語に出て来る小間使いのようで、それを嫌と言うよりむしろ楽しんでいる様に見受けられる。
シドとフリードルは『役に立つ』と言う先程のゼロの言葉を思い出し“確かに”と納得をした。
フリードルはローレライがあの険しい表情の主の傍でも子供の頃から変わらない大らかで伸び伸びとしている姿に笑みが漏れる。
きっとローレライに苦手な者などいない。
子供の頃から人間も動物も生き物全ては同じ感覚で捉える事が出来る不思議な娘。
ローレライなら確かに主の女性観を変える事が出来るかもしれない。
シドは何か考えている様だったが、事はそう簡単ではないだろう。
きっと主は馬が傍にいなければああはならないだろう。
どう言う考えなのだろうか!?
「それにしても良いコンビだな」
「そうですね」
「このコンビ続けさせるぞ」
「どうやって!?」
「まぁ、見てろ」
そう言われて、フリードルは再びシドに連れて行かれ二人で策を練る事になった。
ローレライは宿の者に聞いてジャガイモ、ビネガー、小麦は揃える事が出来た。
ただ布と言われてもそれは直ぐに用意できなかったので自分の胸巻き用の布は使えないだろうかと部屋へ戻った。
予備に持って来ていたものを荷物から取り出すと、今着けているものは外してベッドの柵に引っ掛けた。
先程からバタバタ行ったり来たりして暑かったし、かなり汗臭かったので着けているのが嫌だった。
“どうせ今は何の危険も無さそうだし、別にいいわよね”
そう自分に言い聞かせると、何とか言われた物を揃えることが出来たので馬屋へ戻った。
「布はどんなものか分らなかったからとりあえずこれを持って来たのだけど、良かったかしら?」
「ああ良い。これを剥け」
腰に差していた短剣とジャガイモを渡されローレライは皮を剥く。
ゼロは布の端を軽く噛むと慣れた手付きで同じ幅に裂き始めた。
それを3枚程作ると1枚を折り畳んだ。
「貸せ」
そう言われて剥き終わったジャガイモを渡すと、ローレライが居ない間に見つけて来たのか粗目の石を持ち出し桶にすり下ろす。
小麦とビネガーをそこへ混ぜ合わせると短剣で折り畳んだ布に均等に薄く延ばして行く。
「足、押さえてろ」
痛めたジュリアスの足を少し持ち上げるとゼロが患部に薬を塗った布を押し当て残りの布で後は巻いて行く。
「暫く繰り返せば治りも早い」
ローレライは感嘆した。
「凄い!」
手を叩き無邪気に喜びを表すと満面の笑みを浮かべゼロに抱き付いた。
それは感謝の意を表していつもするローレライの大らかな表現だった。
ゼロは自分の胃の辺りに何か柔らかい物を感じ“おや!?”と思うと、それが何だったのか直ぐに気付いた。
「・・・・本当に女だったんだな・・・・」
抱き付き、有難うと言おうとした時にゼロの口から発せられた突然の言葉にハッとするとローレライは直ぐに手を離した。
一歩二歩と後退する。
今は縛ってあった布も外していて胸に何の枷も無くなっていた事を思い出す。
ローレライは顔を真っ赤に染め、手で顔を覆いながら更にジリジリと後ずさりをする。
「・・・・あの・・・・ごめんなさい・・・・」
蚊の鳴くような声でポソリ呟くと背を向け、そのまま一目散に馬屋から飛び出した。
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ゼロはジュリアスの足首を触り頷く。
「貼り薬を作る」
「何を用意すれば良い?」
「布・イモ・ビネガー・小麦・・・・パンでも良いぞ」
聞いてきますと言うとまたローレライはバタバタと馬屋を出て行き、後をサビエルが追う。
その行為が既に何度も繰り返されていた。
ローレライのその様はまるで物語に出て来る小間使いのようで、それを嫌と言うよりむしろ楽しんでいる様に見受けられる。
シドとフリードルは『役に立つ』と言う先程のゼロの言葉を思い出し“確かに”と納得をした。
フリードルはローレライがあの険しい表情の主の傍でも子供の頃から変わらない大らかで伸び伸びとしている姿に笑みが漏れる。
きっとローレライに苦手な者などいない。
子供の頃から人間も動物も生き物全ては同じ感覚で捉える事が出来る不思議な娘。
ローレライなら確かに主の女性観を変える事が出来るかもしれない。
シドは何か考えている様だったが、事はそう簡単ではないだろう。
きっと主は馬が傍にいなければああはならないだろう。
どう言う考えなのだろうか!?
「それにしても良いコンビだな」
「そうですね」
「このコンビ続けさせるぞ」
「どうやって!?」
「まぁ、見てろ」
そう言われて、フリードルは再びシドに連れて行かれ二人で策を練る事になった。
ローレライは宿の者に聞いてジャガイモ、ビネガー、小麦は揃える事が出来た。
ただ布と言われてもそれは直ぐに用意できなかったので自分の胸巻き用の布は使えないだろうかと部屋へ戻った。
予備に持って来ていたものを荷物から取り出すと、今着けているものは外してベッドの柵に引っ掛けた。
先程からバタバタ行ったり来たりして暑かったし、かなり汗臭かったので着けているのが嫌だった。
“どうせ今は何の危険も無さそうだし、別にいいわよね”
そう自分に言い聞かせると、何とか言われた物を揃えることが出来たので馬屋へ戻った。
「布はどんなものか分らなかったからとりあえずこれを持って来たのだけど、良かったかしら?」
「ああ良い。これを剥け」
腰に差していた短剣とジャガイモを渡されローレライは皮を剥く。
ゼロは布の端を軽く噛むと慣れた手付きで同じ幅に裂き始めた。
それを3枚程作ると1枚を折り畳んだ。
「貸せ」
そう言われて剥き終わったジャガイモを渡すと、ローレライが居ない間に見つけて来たのか粗目の石を持ち出し桶にすり下ろす。
小麦とビネガーをそこへ混ぜ合わせると短剣で折り畳んだ布に均等に薄く延ばして行く。
「足、押さえてろ」
痛めたジュリアスの足を少し持ち上げるとゼロが患部に薬を塗った布を押し当て残りの布で後は巻いて行く。
「暫く繰り返せば治りも早い」
ローレライは感嘆した。
「凄い!」
手を叩き無邪気に喜びを表すと満面の笑みを浮かべゼロに抱き付いた。
それは感謝の意を表していつもするローレライの大らかな表現だった。
ゼロは自分の胃の辺りに何か柔らかい物を感じ“おや!?”と思うと、それが何だったのか直ぐに気付いた。
「・・・・本当に女だったんだな・・・・」
抱き付き、有難うと言おうとした時にゼロの口から発せられた突然の言葉にハッとするとローレライは直ぐに手を離した。
一歩二歩と後退する。
今は縛ってあった布も外していて胸に何の枷も無くなっていた事を思い出す。
ローレライは顔を真っ赤に染め、手で顔を覆いながら更にジリジリと後ずさりをする。
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HANON.H様
じれじれも大好物ですか!?
良かったわ^^
では、思いっきりじれじれをこれから楽しんで下さいね♪
ちがうって(笑)
良かったわ^^
では、思いっきりじれじれをこれから楽しんで下さいね♪
ちがうって(笑)
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NoTitle
早く~と思いつつ、じれじれも大好物なので(笑)
自分で書くとじれったいけど
人のを読むのは楽しいです~~~^^