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記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《2.心 情》

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アーリアがずっと夢を見るようになった物語は、伝記として古くから国に伝えられる『ラルとリア』に良く似ていた。
この悲恋物語を、かつて実際にあった出来事だと実しやかにささやく者も中にはいるが、それはおそらくこの伝記の熱烈なファンが勝手に風潮しているだけに過ぎない事を多くの者は知っている。
事実は分らないがアーリアも今まで何処かでただの伝記だと思っている節があった。
だが、この夢を見るようになってからは異なる。

この話を最初に知ったのはまだずっと子供の頃。
子供向けの童話として広く書き下ろされたものを母から読み聞かされたものだった。
その頃の童話のくくりは、お姫様と王子様のお蔭で二つの国は仲良くなり今の平和訪れましたと言うハッピーエンドストーリィだった。
だが、大きくなり分厚い原書となる伝記を手にし、実はこの国にまつわる壮大な悲恋物語であると知った時、胸がとても熱くなった。
何故このように酷く悲しい物語がずっと読み継がれているのか?
この伝記の作者は一体何を思い、この本を執筆したのだろうか・・・・。
悲しくて、悲しくて、一度読んだだけのお話。
そして何故だか何処か怖くて本棚の奥にずっと仕舞い込んだまま、以後一切触れる事もしなかった。

あえて強制的に自ら蓋をしていたにも関わらず、以降断片的に時折フッと何故思い出してしまうのがとても不思議だった。
印象深い内容だからと言うだけでは説明のつかない何かが頭の中を駆け巡る。
そして思うのだ。友人たちの辛い恋の話を聞けば・・・・。

(「生きているだけで良いじゃない」)

と、思っている自分がそこに居るのだ。

アーリア自身、当時まだ初恋の経験も無かった為、現実として捉える事は無かったが、友人等に感じた事をそのまま告げればいつも『恋もした事が無いからそんな事が言えるのよ!!』と、非難された。

そして今、その事が現実となり我が身に降り注いでいる。
初めての恋を知り、そして思う。
やはり自分はあの方と共に過ごせなくとも、同じ世界に生きていてくれると思うだけで、何処か満たされる気持ちになるのではないかと・・・・。
相手が身分の違う従者だからそう思うのか、諦めの姿勢が強いからそう思わせるのかは分らない。

切なる想いに蓋をしようと心に決めた時、ナント闇の中の扉が開かれたのだ。
ずっと忘れ去っていた筈の物語の主人公の王子とヒロインとして。
諦めようと決めたのに、今になって何故突然夢の中に?
報われぬ恋が無意識に見させているものなのか、或いは自分の願望なのかもしれない。
何度も夢見る中で、それはやがて報われずとも、夢の中だけでも恋人であり続けたいと心が叫び始めていた。

それが本心だ。友人らに告げて来た言葉こそが詭弁だったのだと身を持ってアーリアは今実感していた。

「本当に夢の中ではまるで自分がリア姫になったように、いつもとても悲しいの・・・・」

もう偽れない。それが、今の自分にとっての嘘偽り無い現実なのだから。

とは言え、ずっとこのままでは居られない。いて良い筈は無い。
自国の王子に対してずっと背を背け続ける訳にはいかないのだから。

王子との婚約を受け入れ、この恋に終わりを告げればもぅこのように辛い夢は見なくなるのだろうか?

ただ、一つ不思議な事は伝記で書かれていない物語も、夢の中にたまに出て来ると言う事。

(「これは本当に夢!? 私の願望!? それとも・・・・」)

先の見えない夢に翻弄され、あても無く心はさ迷い続ける。

この夢に終わりがあるのか?
アーリアは、迷いの沼に落ちて行くような不思議な感覚に陥っていた。

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~ Comment ~

NoTitle 

雰囲気がまた違った感じでいいですね~^^

これから何がどうなるのか…
とても楽しみです♪
早く出会って欲しいなぁ~(^m^)
(いっつも私こればっかですけど 笑)
夢がどう関わってくるのかなぁ…

はのん様 

そうですね。前作より恋愛傾向が強いしまた違いますよね。この感じも気に入って頂けたようで、良かったです^^

これからはですねぇ、急展開ですよ♪
パウリンみたいに相手探さなくても、もぅすぐ傍に近づいてるし(笑)
出会いも、パウリン考えるとめちゃくちゃ早い!!
もぅ直ぐです。ええ、ホントにもぅ直ぐですよ。
次来た時にももぅ出会っちゃってますよ♪(笑)
夢がどう関わっていくのか、お楽しみに(^m^)

いつも有り難うございます^^
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