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記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《25.御 為》

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王妃は青ざめた表情で言葉を口にする。
突然息子に平然と今まで毒を盛られていたと告げられ、落ち着いて等いられる筈は無かった。

「どうしてですか? 何故私には一言もお教え頂けなかったのですか?」

王妃は徐にハンカチを取り出すとハラハラと泣き出した。

「はっ、母上。だからです。母上は告げれば黙ってはおられないでしょう? 直ぐに口に出してしまわれるではありませんか!」

母は本来嘘をつけない性格なのだ。思った事を直ぐズケズケと言ってしまう。
良く言えば屈託のない、悪く言えば口が良いとは言えない。

「そんな事は無いわよ! 貴方の命に係わる事を私が軽々しく口にする筈は無いでしょ? 貴方たち二人の素性だってここにいる者とファンネ以外の者とは話したことが無いもの!!」

「・・・・それは認めますが、・・・・でも、母上は私が毒を盛られたと知れば色々と調べようとなさるでしょう? それが困るのです。今動かれるのは不味いのです」

セイラルは現在祖父と話し合い、前王の政権下にあった信頼のおける重鎮等を使って諸々事を探っていた。
今その黒幕が誰であるかを正に追っている最中なのだ。
それも秘密裏に行われている。
そんな時に母に邪魔立てされ、相手に危機感を募らせては不味いのだ。
ここは少しでも多くの毒を盛って貰い、証拠を掴むのが先なのだ。

「何故急にそのような事を!?」

「アーリア嬢の身の危険を守る為です」

「アーリア嬢の!?」

「アーリア様はセイラル王子より先にサニエル様が目を付けられた方なのです」

「・・・・何を言っているの!?」

「私が予てより探していたアーリアを見つけ出し、求婚を求めた事は母上も御存じの事実ですが、実はその場にはサニエルも居合わせたのです。町でサニエルが執着し、連れ去ろうとした所を私が救い出しました」

「なんですって!?」

王妃はその言葉に一瞬固まった。

サニエルがかなりシツコイ性格である事は王妃も十分理解していた。
そして鬼畜な性癖も。

「ですから私は奴よりも早くアーリアを手に入れなければならないのです。彼女自身を」

その言葉の意味に王妃は真っ赤になった。

「あっ、あ貴方はそのような下賤な心を抱いて、このように早々と婚約に至ったと言うのですか!?」

「他に、命を狙われているこのような時に、彼女をも危険に巻き込むかもしれない所行を本来私が行う筈がないでしょう?」

元より愛しい者をその胸に早く抱きたいと思うのは男の嵯峨だ。
この事を母に分かって貰おうとは思わないが、母にとってはショッキングな内容だったかもしれない。

「では、アーリア嬢には全てを話すのですね!?」

「・・・・・さぁ、それは、どうでしょうか?」

苦笑いしてそう答えれば、母は眉間に皺を作って考え込んだ。
ここでこれから行おうとしている所行を伝えれば反対される事は目に見えている。

「では、貴方は・・・・」
「母上、そんなに考え込んでいては眉間の皺が増えますよ」

「まぁ!!」

その言葉に王妃は慌ててそっぽを向くと額を障って皺を伸ばし始めた。

何か言おうとした言葉は恐らく息子に疑念を抱く言葉だったに違いない。
それをセイラルはこうして遮った。

セイラルは祖父である前王とかつての重臣等とこうして接点を持ち秘かに自分の覇業の土台となる人材をも固めていた。

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