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記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《36.混 乱》R-15

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心の中で何度も何度も御免なさいと囁きながらアーリアは毛布の中に身を隠してしまった。
『穴があったら入りたい』、そんな心境だったのかもしれない。

すると子供をあやす様にラルに頭を何度も撫ぜられた。
切なさに涙が溢れて来て、もう心ははち切れそうだ。
もう抗えないかもしれない。この優しさに触れる度にリアでありたいと心が叫んでいた。
リアであればラルを受け入れる事に対し何の障害も無い。
リアの心を解き放ちさえすれば、今の自分は楽になれる気がした。

何故彼はこんなにも優しいのだろうか。
強く言えないまでも、明らかに拒絶しようとしている自分に対し、どうしてラルは自分にここまで出来るのだろうか?
彼のリアに対する想いの深さを痛感した。
それはこの宵闇の夫ラルが自分をリアと信じて疑わないからだ。
もし、自分がリアで無かったら、この優しい腕はどうなってしまうのか?

「もし・・・・私がリアで無かったらどうするのですか? もしかして、他に記憶を持つ人が何処かにいるかも・・・・」

その言葉は一つの賭けだった。

「それだけは有り得ません!」

とても強い口調でラルはそう言い切った。

声音と共にとても強い視線を感じ、距離を取ろうとすると再び肩を抱き寄せられた。

「あれ程までに焦がれ続けた貴女を私が見間違う筈無いではありませんか! 貴女を見た瞬間、それは雷にでも打たれたような衝撃でした。次から次へと貴女との想い出が走馬灯のように頭の中に溢れ出し、止められませんでした。だからこの記憶も確かです! 愛を告げた瞬間の記憶も・・・・。再会したその場で私は貴女に想いを伝えました。『愛しています、リア』と・・・・」

優しく甘みの含んだラルの声に心がドキリと震え、再び身がまえた。

ああ、もう抗えない。
リアとしての自分はこんなにもラルを欲している。

再び唇が降って来て啄まれた先からは、次第に今までとは違う熱い吐息が漏れ始め、舌を絡められて行く。
あの時のサニエル王子に受けたものとは全く違い、自然と愛撫に応えようとしている自分がそこに居た。
流されては駄目だと分かっているのに抗えない。何も考えられなくなって行く・・・・。

「ああ、そうです、リア・・・・。私たちはこうして愛を確かめ合って来たのです」

切なげにそう告げるラルの手がやがて夜着の上からアーリアの肌を愛撫する。
ゆっくりと胸元に添えられた手に恥ずかしい想いはあったが決して嫌では無かった。
自然と彼を受け入れている自分を感じた時、やはり自分こそが本当のリアなのではないかと信じたくなった。

「ああ、アーリア、リア・・・・。貴女も私を愛してください・・・・」

甘いささやきに何かが呼び起こされた。

『貴女も私を愛してください・・・・リア』

『ああ、ラル愛しています私も・・・・』

遠い記憶が激しい口づけと共に呼び起こされ、自分もその言葉を紡ぐ。

「愛しています、ラル・・・・」

夢中で貪り合う様な長い口づけの後、セイラルは初めてアーリアの身に纏われたナイトドレスの中に手を差し伸べた。

「あっ‥‥」

優しく這う手の動きはなぞる先から記憶を呼び起こしていく。
彼を助けた川辺で再会し初めて交わした口づけ。
治療したあの小屋で将来を誓い合い、初めて愛を交わした。
休戦中とはいえ、二国の関係はまだ多くの火種を抱えている事は分かっていた。
それでも彼と離れる事は考えられなかった。
家族と離れ、生まれ育った家を去る事になっても、例え国を捨てる事になろうと、彼と共にありたいと願ったのは自分だった。

「ラル・・・・ああ、ラル・・・・」

愛しさが溢れ出し、自らもラルの背に手を回した。

「・・・・想い出したのですか!?」

「マチビスの丘って言ったのに貴方は現れなかった・・・・」

自身がリアである事を認めた瞬間だった。

「あの時は閉じ込められて・・・・。戦火の中、何とか抜け出し後日駆け付けたのですが・・・・」

「あぁっ‥‥」

いつも夢に苛まれたあのシーンが走馬灯のように目の前を駆け巡った。
溢れ出す涙を止めることが出来ず、唇を震わせれば更に強く抱き寄せられた。

「こうして再び巡り合えた事こそが真実ではありませんか?」

再び降りて来た宵闇の夫の深い口づけに何も考えられなくなり、そのまま力なく身を任せた。

少しだけR度UPバージョンは、毎日0時00分更新の⇒『こちら』の「36.混 乱」をご覧ください。

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