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記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《46.情 動》

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一瞬何を言われているのか理解出来なかった。

「・・・・忘れ・・・・る?・・・・」

「はい・・・・」

「マジミール・・・・さまを!?」

「・・・・宵闇の夫ラルが、マジミールであると言う事を・・・・」

「そんなのは無理です・・・・。私は今の貴方を・・・・、マジミール様を愛していますもの!!」

「私も貴女を愛しています。ですが、今は許されないのです。貴女は、今は未だあのセイラル王子の婚約者だ。今の私は一介のセイラル王子付の第一従者に過ぎない」

「ならば婚約は解消します! 貴方さえ傍に居てくれたら、私何も要りません! 何も怖くない!! それにもぅ私は貴方と・・・・。もぅセイラル王子の婚約者には戻れません!!」

アーリアは声を荒げて泣き出してしまった・・・・。

ああ、やはり告げてしまうのはマズかったと思っても、それは後の祭りだ。
言わないままと言う選択肢が最善の策であった事を分かっていた筈なのに、耐え切れず己の感情に振り回されてそれをやり通せなかったのは明らかに自分の失態だった。
告げてしまえばこうなる事は目に見えていた。
なのにアーリアの気持ちを知り、愛を分かち合いたいと言う想いをどうしても拭いきれなかったのだ・・・・。
計画を無視した身勝手な己の感情が今、アーリアを傷つけている・・・・。
それなのにアーリアの言葉が身に沁みる。
何の障害も無ければ何よりも嬉しいものの筈なのに、それを素直に喜べない今の己の状況がとても歯痒い。そして、悔しかった・・・・。

過去にあれだけリアを苦しめた分、もし出会えたならば彼女には今度こそ平穏な幸福を齎してやりたいと常々思っていた。
それなのに・・・・。
今の自分は最低だ!! また彼女を泣かせてしまった・・・・。
このように筈では無かったのに・・・・。

だが今の状況で「はいそうですか」と簡単に受け入れられるものでは無い。
今の自分には危険な障害が多すぎる。その状況にだけは彼女を巻き込みたくはない。
ならば今出来る事をするしかないのだ!
これ以上何も明かさず、彼女をこれ以上傷つける事無く分かって貰う方法を模索するしか・・・・。

「そうですね・・・・。出来る事ならば私も貴女との関係を公にしてしまいたい。ですが事は重大です。簡単に二人の関係だけで周りを振り回して良いものではありません。今ここで公にする事は得策では無い。貴女の家は一族諸共先ず城には出入は愚か公の場に出る事は困難になるでしょう。それに私も任を解かれ、即刻帰国させられるのは間違いない。それは分かって貰えますよね」

「分りません!!」

「アーリア!!」

「・・・・分りたくありません・・・・」

「・・・・アーリアッ・・・・」

唇を震わせ、瞳にいっぱいの涙を浮かべるアーリアを、今は抱きしめる事しか出来なかった。

「・・・・マジミール様・・・・」

マジミール様とこうなってしまった以上、これからの道のりが困難な事は分かっていた。
でも、この様な事を告げられるとは思っても見なかった。
最初は宵闇の夫ラルと告げられ、それはセイラル殿下だと思い翻弄され、でも全くの別人で戸惑いの中で告げられたマジミール様と言う真実。
幸せだったのに・・・・。とても幸せだったのに・・・・。
目覚めたら、愛しい者の姿が横に有り、こんな満ち足りた気持ちは初めてだったのに。それなのに・・・・・。

「アーリア、そう深く考え込まないで・・・・。私は貴女を否定したい訳では無い。貴女と幸せを掴みたいだけなのです。その為には今全てを明かす事は得策では無い。ですから今はこのまま何も聞かずにセイラル王子の婚約者で有り続けて下さいませんか?」

何? 今度は何を言っているの!?
私を愛していると言いつつ、何故そのような事を言えるの!?
もぅ、何もかもが分らない事だらけで、如何すれば良いのか自分では判断できない。

唯一つ確かなものは、何があってもこの目の前にいる人を愛していると言う事実。
例えこの人がこの国を揺るがす者であったとしても、この国を、家族を裏切る事になろうとも、この愛から逃れる事等出来ないと言う事実だけだった。

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