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記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《48.説 伏》

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このままだらだらと会える、会えない、の話をしても堂々巡りでしかないと思ったセイラルは、話すべきでは無いと思っていた宵闇の夫ラルの存在理由を述べる決意をした。
アーリアにとっては思い出したくも無い事であるだろうと触れる事を躊躇っていたが、ここまで事が拗れてしまってはきちんと話す事以外心を開いてくれそうにないと思ったからだ。
もし、知れば少しは考えを改めてくれるのではないかと期待した。

「一つだけ正直にお話しします。宵闇の夫ラルの役目は、サニエル王子に貴女の貞操を奪われない為の処置でした。あの時サニエル王子に出会ってしまった貴女は、あの時点から彼の獲物でした。見初めた初心者を我が物にし、飽きるまで奉仕させそして捨てる。それが彼のやり方です。でも、貴女にその様な事はさせられない。ですから私は彼より先に貴女と愛を分かち合う必要があった。やっと巡りあえた愛しい貴女を私以外の者に触れさせる等とても耐えられなかったから・・・・」

「・・・・では、サニエル王子の件が無ければ、この様な事にはならなかったと言うの!?」

「はい。一従者マジミールとしての役目を全うするつもりでおりました」

「そんな・・・・」

「ですが、何があっても、どのような状況下にあろうとも、私は貴女を見つけ出し今度こそ二人で幸せになるのだと決めていました。今回の婚約は予定外の出来事でした。ですから当初の計画道理とは行きませんでしたが、だからと言って昨夜の貴方との一時を決して後悔等していない!」

「その事が分かっていたのなら、なぜもっと早くに私を連れ出してく下さらなかったの? そうすれば、このような事になる事も無かったわ。セイラル王子をも巻き込んで、結果裏切る事になってしまって・・・・。何故もっと早くに・・・・」

「出会ったあの時、貴女を連れ出し逃げれば良かったのか!? それこそ無謀だ」

「そして貴方は全てを知りながらセイラル王子の求婚劇を知りながら敢て放置した。そう言う事なのね」

「・・・・必要な事でしたから・・・・」
 
色々な意味でアーリアを守るためには最終的に囲い込むことが一番安全だと思った。
四六時中サニエルに付きまとい行動に探りを入れる事が出来ない以上、城に置き、監視させることが一番の安全だと思い婚約した。
まさか兄の婚約者となってまであからさまに手を出して来るとは思っていなかったから油断をし、アーリアに辛い思いをさせてしまったが、今後そのような事は起きないと自負している。
ただもし何かあるとすれば、計画を削がれてしまったサニエルがどのような報復に出て来るかと言う事不安だけだった。

「最悪だわ・・・・。私あんなに悩んだのに・・・・。貴方への想いを絶ち切ろうと必死で・・・・。馬鹿みたい・・・・。全ては最初から貴方の手の平の上で動かされていたなんて・・・・」

「波乱幕開けの出会いでしたが私はあの巡り合せに感謝しています」

「不思議だわ。貴方と言う方を知れば知るほど唯の従者には思えなくなって来るの」

不味いと思った。これ以上口が過ぎれば・・・・何か感づかれては全てが水の泡だ。

「私は唯の従者ではありません。従者である前に騎士です。表向きは従者と位置付けられておりますが私の仕事の最たるは殿下の護衛です。従者行為はその延長に過ぎない。これは殿下も御認め下さっております」

敢て騎士であると言う言葉を主張して、そう印象付ける様に畳みかけた。

「では、貴方はその主であるセイラル王子を利用したと言う事になるのね。ならばセイラル王子は被害者だわ。一国の王子を謀るなんて・・・・」

「今はどのように取られても構わない。唯一つ確かなものは、私にとって貴女以上に大切な物は何一つ存在しないと言う事です。サニエル王子の思わぬ行動で計画は変更せざるを得なくなってしまい貴女と今の段階でこういう関係に至ってしまいましたが、今となってはそれも必然だったのだとさえ思える。当初の私は何があってもマジミールとして貴女を抱く気は無かった。ですから、せめてラルとリアとしてでも貴女に私を受け入れて欲しかった。それだけの筈でした」 

「ならばラルのまま無理矢理私を抱けば良かったのよ! そうすれば私を説得するなんてややこしい事も起こらずに全て上手く行ったのではないの? 私も今になってこんなに悩む事なんてッ」

思わず口から出てしまった言葉にハッとした。
そろりと顔を見上げて見れば伏し目がちに項垂れた横顔。

「あの、違うの・・・・。そんなことが言いたいのではなくて・・・・、あの・・・・」

「・・・・そうするつもりでした」

「えっ!?」

「何と言われようとそう言う心積もりで昨夜はこの部屋を訪れました。だから最初は無理矢理事を進めようとして・・・・、貴女を泣かせてしまった。でも、貴女の口から漏れ落ちた名を聞き、どうしても耐え切れなくなった・・・・。貴女とは何があっても心から一つになりたい。それこそが私が真に求めるものだったから・・・・。私がラルとリアに固執していたのは貴女に愛されていた記憶があったからだ。だが、過去に囚われる事無く貴女と愛を確かめられるかもしれないと思ったら、もぅ抑えが利かなかった・・・・」

「マジミール様・・・・」

「・・・・・」

「それ程までに私を思って下さっているのに、今セイラル王子との婚約破棄する事を貴方は望まないとおっしゃるのね?」

「・・・・はい・・・・」

アーリアは涙を拭くと愛しい者をじっと見つめた。

「では、私に護身用の剣を下さい」

「アーリア!?」

彼女は何かを決断した様だった。

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~ Comment ~

NoTitle 

うわあ。

セイラルくん、なんかしゃべればしゃべるほど事態が悪化していくぞ。

だから正直にすべて話したほうがいいのではと……(^^;)

ポール・ブリッツ様 

喋れば喋る程ドツボ、しかし喋れば喋ったで問題が・・・・。
人の感情ってホントに難しいですね。

で、更にまた選択を突き付けられ、出した結果は?
頑張れ!
今はその言葉しか掛ける言葉が見つかりません(笑)

いつもコメント有り難うございます。

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