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「記憶の彼方とその果てに」
記憶の彼方とその果てに番外編

待ちわびて12~記憶の彼方とその果てに番外編~

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王妃様の体調が落ち着くまで王妃業務の代行を王様より直々に言い付かったアーリアだったが、サロンから3日後、思いがけず近隣諸国の官僚を接待中にパーティ会場で目眩を起こし壁にもたれ掛ってしまうと言う状況に陥ってしまった。

「王太子妃殿下? どうされたのですか?」

「少し会場の熱気に当てられたようですわ・・・・。申し訳ございませんが少しあちらで休ませて頂いても?」

「勿論です」

倒れる事までは無いものの、少しふらつく身体を側に居た官僚に支えられながら近くにあった長椅子に腰かけた。
直ぐにその様子を見て近くに待機していた侍女のターニアが飛んできた。

「妃殿下! どうされたのですか!?」

少慌てたような仕草のターニアを見て、大丈夫だからと告げると少しホッとしたようだったが、会場の熱気に当てられたのだと言えば、急ぎ冷水と濡れタオルを用意してくれた。

「あの・・・・。私はもう大丈夫ですので・・・・。お楽しみの所を申し訳ございませんでした」

不快を覚えさせてはならないと、出来得る限りの力を総動員して精一杯の微笑みを作りお礼を述べていると、凄く険しい表情をしたセイラルが突如目の前に現れた。

「私の妻が何か!?」

何故か助けてくれた官僚に睨みをきかせているこの状況・・・・。
絶対に何か誤解をされていると気付き、アーリアは慌てて更なる言葉を付け加えた。

「違うのです殿下。この方は私を助けて下さって・・・・」

「・・・・助け・・・・て!?」

思ってもいなかった状況だったのか、セイラルは一瞬だけピクリと眉を動かすと後は少し呆けたように立ち竦んだ。

「そうなのです殿下、妃殿下は少し熱気に当てられたらしく眩暈をおこされたようで・・・・」

「・・・・熱気に当てられて、・・・・眩暈を!?」

セイラルは少し眉を顰めてアーリアを食い入るように見つめると、そっと頬に触れた。
ピタリとその手を止めると、少し考え込んだような素振りを見せた後。

「・・・・・そうか。それは申し訳無かった。妻がご迷惑をおかけした」

「いえ。私は何も・・・・」

「ここは私が付き添いますので、貴殿は引き続き我が国の特産品を使用した料理の数々を堪能なさって下さい。お手間をお掛けし申し訳無かった」

深々とその場で頭を下げる一国の王太子の姿に官僚は少し恐縮していたが、別に悪い印象は与えていないらしき様子に、見ていたアーリアは安堵した。

一礼し、その場を後にした官僚を見送るとセイラルはこちらに視線を落し、深いため息を一つ零した。

「ラル?」

小首を傾げて見上げれば、セイラルは苦笑いを浮かべていた。

「アーリア、もう良いだろう? 母の事を心配してくれるのは嬉しいが、もう無理はしないで欲しい・・・・」

「無理だなんて、私していないわ。本当に少し慣れない人ごみに酔って熱気に当てられただけで・・・・」

この様な場で迷惑をかけたくなくて少し強がりそう言ってみたが、セイラルは全くその言葉を聞き入れてくれずに大きく首を横に振った。

「違うよ、リア。これは熱気に当てられたんじゃない。その逆だ」

「えっ!?」

セイラルはアーリアの手を取りそっと自分の頬に押し当てた。
そして今度はアーリアの頬に優しく己が手で触れてみる。

「なっ、分かるだろう? リアの頬はこんなにも冷たい。つまりは火照っていないと言う事だ。顔色は化粧ではっきりとは分らないがあまり良くないと思う。それにこの真っ白な爪。リアは貧血を起こしていると私は思う」

「・・・・貧・・・・血?」

「座ったら、ふらつくような感覚が急に治まった感じは無かったかい? ずっとリアの口から言ってくれるのを待っていたのだけれど、多分私の思っている事は外れていないと思う。直ぐに事情を話して侍医に診て貰うんだ」

「・・・・あの・・・・セイラル?」

「私がリアの事を何も気づかないとでも思っているのか!? 色々頑張っていたから口には出さなかったけれど、ずっと心配していたんだ。でも、ターニアからリアが事を慎重に進めたがっていると聞いていたから・・・・、だからもう少しだけ口を出さずに待っているつもりだった。けれど、それももう限界だと思う。もし、何かあってから・・・・、取り返しのつかない事になってからでは遅いんだ。だから・・・・」

今まで貧血になどなった経験が無く、そう言われて少し戸惑った。
だが、妊婦が貧血になりやすいと言う事は、王妃様の妊娠で色々調べていたから知っている。
そして、貧血が齎すリスクも・・・・。

「あっ・・・・、あのねラル、実は私・・・・」

ずっと迷っていたが、黙っていた事を言わなければならないと思った。

「うん。知っているから。ずっと一緒に居るんだから、この所リアの月のものが滞っていた事も勿論知っている。でも、色々あったから精神的なものからの遅れかもしれないからとも思っていて、そして私の事も気遣ってくれて事を慎重に運ぼうとしてくれたんだよな。でもこの所ダイエットとか言ってあまり食事もまともに取ろうとしていなかっただろう? 実はそれも本当は違っていたんじゃないのかい? 最近口内もいつもより温かい気がしてずっと気になっていたんだ」

「やだ、ラルったら何、変な事言って・・・・」

恥じらいながら気になり周囲に目を向けた。

「変な事では無いよ! 事実だ。加えて今度は貧血症状。流石に暫く見守ろうと決めていた私の心は今、酷くかき乱されている。やはりこれは思わず期待したくなる状況だよ、リア。その意味は分かるだろう?」

「・・・・ラル・・・・」

「私が思っている事が確かか・・・・調べさせてくれるね!?」

真剣な眼差しで告げられればアーリアに断る術は既に無かった。
それに先程の症状が本当に貧血だったと言われれば、流石のアーリアも迷っている場合では無いと感じてしまったのだ。

アーリアはセイラルの熱望する言葉を受けると、小さくコクリと頷いた。

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先日紹介させて頂きましたブロ友の佐倉紫さんの書籍がついに発売されました。


シンデレラ・マリア―ジュ

『シンデレラ・マリアージュ 』 著佐倉紫
ノーチェ / 単行本(小説>恋愛) 2014年02月14刊行
マリエンヌは伯爵家の娘ながら、“愛人の娘”と蔑まれ、メイドとして働く毎日。そんなある日義母妹のマーガレットに求婚者が現れた。相手は悪名高い不動産王アルフレッド・ロークス。しかし実際の彼は、色気が漂うほどの美しい紳士だった。「成金になんて嫁ぎたくない!」という妹の我が儘のせいで、マリエンヌが妹のふりをして彼のもとに嫁ぐことに。夜毎淫らなふれあいを求めてくる彼に戸惑いながらも、のめりこんでいくマリエンヌだったが、身代わりが発覚するのは時間の問題で――。甘く危険なラブファンタジー。



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