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ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《34.急 心》(アレク視点)

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従者リレントを伴い急ぎ邸へ帰り、着替えを済ませてマリーの許へ駆けつけようとしている時だった。

「旦那様、大変です!!」

「如何した?」

「よっ、ヨハンナが怪我を・・・・」

「えっ!? 何だって!」

何故母の別邸にマリーと居る筈の乳母がここに?!
慌てて着替えもそこそこに、上着を引っ掛け急ぎ別邸の予備鍵を懐のポケットに入れると下まで駆け降りた。
するとそこには全身雨に濡れで足を引き摺り泥だらけになり、擦り傷を幾つも作って疲れ果てていながらも、凛としている乳母の姿があった。

「申し訳ございません。旦那様!」

「如何した? 何があったのだ!?」

「天候が急変して、暖炉にくべる薪が心許なかったので急ぎ取りに戻ったのですが、途中大きなぬかるみに足を取られ馬車が動けなくなってしまったのです。仕方なく馬車を捨て騎馬で邸まで人手を頼みに行こうとしたのですが、突如大きな雷鳴が響き渡り、驚き馬が暴走してしまったのです。その後何とか徒歩でここまで辿り着いたのですが、この様な事になり、お嬢様を長い時間お一人にさせてしまう事に・・・・。申し訳ございません・・・・」

大体の事情は呑み込めた。
とにかく今乳母をこのまま戻らせる訳にはいかない。

「ああ、分かった心配するな。お前は、今日は本邸でゆっくり休め。私が行く!」

「いえ、でもそれでは・・・・。外はこの様な状態ですのに旦那様を向かわせる訳には・・・・。ここは何とか私が表からもう一度馬車で戻って・・・・」

「無理をするな。大丈夫だ。こんな雷雨など関係ない。元々直ぐに行こうと思っていた所だった」

「別邸に、お一人で向かわれるおつもりなのですか!?」

「当然だろう。マリーには毎日顔を出すと約束しているんだ。それにこのような状況で、何より一人にはさせられない! とりあえず私は直ぐに馬で出るから、後でリレントに最低限必要な薪と簡単な食事を馬車で運ばせてくれ。良いな、バチウス」

「えっ!? あっ、はいッ旦那様」

乳母は少しおどおどしながら不安そうに私の姿を凝視し、じっと見つめていた。

「何だ!?」

「・・・・本当に・・・・お一人で、行かれるのですか? 分かっていますか!? 外は凄い雷雨なのですよ?」

「そうですよ。旦那様ッ」

・・・・・二人とも・・・・、いったい私を何だと思っているのだろうか?

「そんな事・・・・、構っていられるか!!」

「あっ、旦那様!!」

玄関先に先程掛けたばかりで既に水滴の垂れている雨天用のコートを急ぎ手に取ると、心配する乳母と執事の言葉を振りきり、足早に厩舎へと向かった。
確かに今までの自分からは想像出来ない行動かもしれないが、不思議とマリーが今一人で心細い思いをしているかもしれないと思うと、とにかく早く傍に居てやりたい、自分を頼って欲しいと言う思いだけが頭の中を駆け巡っている。

繋ぎ止めていた愛馬に跨ると急ぎ厩舎を飛び出した。
道がぬかるんでいようと関係ない!
最も近い裏道へ手綱を引くと、私は愛しいマリーの待つ別邸へと馬を走らせた。

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~ Comment ~

NoTitle 

雷雨ですね。
・・・・大体常套手段として、
雷雨のときにこそ親しい異性に連絡をする。
というのは効果的ですけどね。
知っててやると策略以外の何物でもないか。。。

LandM様 

雷雨いい機会ですよね(笑)
策略的にはしたくなかったし、アレクのマリーに対する強い思いと葛藤を書きつつ良いように流れにくみこみたくて今回こういう手段に使わせて頂きました。

いつも有り難うございます。
引き続き楽しんで頂ければ幸いです。
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